有機リン剤中毒の前兆や初期症状について
有機リン剤中毒は、偶発的な事故などにより発生することが多く、前兆は定義できません。ただし、農薬散布などの作業に関わった直後に体調に異変を感じた場合は、それらが前兆となり得ます。
症状のあらわれかたには、有機リン化合物の種類による差がありますが、代表的な初期症状としては、「涙や鼻水が出る」「呼吸が苦しくなる」「瞳孔が収縮する」といったものがあります。
重症例では、嘔吐、失禁、呼吸困難、全身のけいれんなどさまざまな全身性の障害へと発展し、呼吸不全などにより短時間で死亡するケースもあります。
有機リン剤中毒の検査・診断
有機リン剤中毒の検査・診断は臨床所見などから総合的におこなわれます。
問診により曝露状況の聞き取りが可能であれば、診断の参考になるほか、有機リン化合物に特徴的なガーリック臭などが参考になるケースもあります。
ただし、有機リン剤中毒の症状は、同じく農薬中毒としてよく見られるカーバメート中毒とほぼ共通するため、臨床的に鑑別するのは難しいとされています。
毒性や症状の程度を評価するため、血液検査をおこなうことがあります。
有機リン剤中毒では、患者さんの尿を分析し、有機リンの定性分析をおこなうことなどによって確定診断を下すことができます。
配信: Medical DOC