「有機リン剤中毒」を発症した人に起こる症状をご存じですか?【医師監修】

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有機リン剤中毒の治療

有機リン剤中毒の治療は、拮抗剤(解毒剤)の投与を中心におこないます。
有機リン化合物への曝露からあまり時間が経過していない場合は、吸収阻害を目的とする応急処置として、曝露部位の洗浄、胃洗浄、活性炭の投与などが試みられることもあります。

有機リン剤中毒の主な急性症状である、急性コリン作動性症候群に対する拮抗薬として「アトロピン硫酸塩」が使用されます。追加の拮抗薬として「プラリドキシムヨウ化物」などが投与されるケースもあります。

有機リン剤中毒が重症化した場合、呼吸不全によって死亡する恐れが高いとされています。そのため、拮抗薬を用いた治療と同時に、必要に応じて適切な人工呼吸器管理がなされる必要があります。

有機リン剤中毒になりやすい人・予防の方法

有機リン剤中毒は、有機リン化合物を含む農薬や殺虫剤の取扱いを誤ることで起こり得ます。
現在は世界的に、毒性の強い有機リン系の農薬は販売終了・製造禁止となる傾向にあります。日本国内では、家庭用の殺虫剤としては有機リン剤はほぼ使用されていません。しかし、農薬の一部には実用・販売されているものもあります。

したがって、有機リン剤中毒になりやすい人は、農業従事者など有機リン剤を含む薬品を扱う機会の多い人と言えます。農薬の調剤中や散布中においては、経皮曝露や吸入をしないよう慎重に作業し、正しい取扱い方法や使用量を守ること、適切な防護具を使用することで、有機リン剤中毒の発症を予防できます。

また、故意の内服、あるいは誤飲事故を防ぐため、有機リン化合物を含む薬品類の保管にはじゅうぶんに注意する必要があります。万一、殺虫剤や農薬を誤って身体に浴びる、吸入するなどした場合は、すみやかに医療機関を受診することが推奨されます。

関連する病気

農薬中毒

カーバメート中毒

パラコート中毒

ジクワット中毒

参考文献

アセチルコリンエステラーゼ阻害剤 (有機リン剤)

よくあるご質問 園芸殺虫剤 | 日本農薬株式会社

日本救急医学会|エージング(有機リン中毒)

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