あまり笑わず、言葉の発達がゆっくり…3歳で2語文だけ「男の子だから?」「個性?」だと思っていた【自閉スペクトラム症体験談】

あまり笑わず、言葉の発達がゆっくり…3歳で2語文だけ「男の子だから?」「個性?」だと思っていた【自閉スペクトラム症体験談】

熱性けいれんを起こしたことで脳波の検査を。脳波には「異常なし」と言われて

もっくんママが自閉スペクトラム症を疑ったのは、もっくんが3歳になったころです。

「くるくる回るものが好きで、室外機や車のおもちゃのタイヤが回る様子をずっと見たりするんです。

言葉の発達もゆっくりなままで3歳のときは『パン食べる』『ジュースちょうだい』など、2語文で自分がしたいことだけを伝えてくる感じでした。

もっくんは、1歳から3歳までに熱性けれんを3回起こしています。かかりつけの小児科で『一度、大きな病院で検査したほうがいい』と言われて、大学病院を紹介してもらいました。検査のとき、医師に『自閉スペクトラム症を心配している』と伝えたところ、『いくつかの検査の中に脳波の検査もあります。脳波の状況で自閉症かどうかわかりますよ』と言われました(※1)『脳波の検査の結果、異常は見られない』とのことでした。

『そのときはもっくんの様子は発達障害ではなく、個性なんだ・・・』と思いました。でも、育てにくさは変わらずで、心配、不安は続いていました」(もっくんママ)

【精神科医さわ先生より】子どもの発達が気になるときは専門医に相談を

(※1)もっくんの体験談にある、「脳波の状況で、自閉症かどうかわかりますよ」というのは誤解です。脳波の検査で自閉症についてはわかりません。そもそも神経発達症(発達障害)の診断が、何かひとつの検査の結果だけで確定診断がつくというものではありません。

しかしながら、インターネット上にはたくさんの間違った情報があふれており、育児に困って一生懸命情報を調べる親御さんたちが間違った情報に左右されて困ってしまうということも多々あるだろうと思います。あくまでも、クリニックや病院など専門家のもとで診断は受けてほしいと思います。

また、自閉スペクトラム症は、何歳になれば診断ができるというものでもありません。早い子どもであれば、1歳や2歳ごろに診断がつくこともありますが、3歳や小学校にあがってから、遅い方だと大人になってから気づかれるというケースも少なくありません。

発達が心配になったり、社会生活や家での生活に支障をきたしている場合は、早めに専門医に相談することをおすすめします。
また、すべての自閉スペクトラム症のお子さんが授乳が苦手ということはありませんが、中には食欲にむらがあったり、空腹や満腹などの感覚に鈍感という特性からうまく授乳や離乳食が進まないという特徴がみられることもあります。

お話・写真提供/もっくんママ 監修/精神科医さわ先生 取材・文/麻生珠恵、たまひよONLINE編集部

自閉スペクトラム症は、脳の働き方によって起こるもので、しつけなどが原因ではありません。主な症状は、目と目が合わない、笑いかけても笑い返さない、まねが少ない、言葉の発達が遅い、こだわりが強い、感覚の過敏さ、集団行動が苦手なことなどがあります。しかし、すべての方がこれらの症状があてはまるわけでもありません。また、これらの症状がなくても自閉症と診断されることもあります。

インタビュー後編は、もっくんが自閉スペクトラム症と診断されたことや下の子が生まれたときのこと、就学について紹介します。

YouTubeチャンネル「もっくん&かりんとう」
https://www.youtube.com/@mokkun.karintou

「 #たまひよ家族を考える 」では、すべての赤ちゃんや家族にとって、よりよい社会・環境となることを目指してさまざまな課題を取材し、発信していきます。

※国立大学法人弘前大学「5歳における自閉スペクトラム症の有病率は推定3%以上であることを解明」(2020年5月26日)より

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