〝タリフマン〟ことトランプ米大統領の就任で自動車業界も関税問題で大きく揺れている。アメリカの自動車産業を守ろうという意図もあるのだろうがメーカーにとっては死活問題だ。アメ車といえば日本での影は薄めだが、大統領専用車を提供するキャデラックは知名度も高い。高価で巨大というイメージから抜け出そうと登場したのがXT4だ。日本の道路事情にマッチしたサイズと豪華な装備のコンパクトSUVに試乗した。
2021年にデビューしたXT4は全長4605ミリ、全幅1875ミリとトヨタのRAV4とほぼ同じ大きさで、キャデラックのSUVでは一番小さい。ちなみに最も大きなエスカレードは全長5・4メートル、幅が2・1メートルもあり、XT4はコンパクトといっても差し支えはないだろう。
昨年末にマイナーチェンジが施され、内外装ともにデザインを刷新した。特にインテリアは、滑らかにカーブした「33インチアドバンストカラーLEDディスプレイ」が圧倒的な存在感を放つ。
本革のシートやリアルカーボンのドアトリムなど上質な素材を惜しみなく使うキャデラックの伝統を受け継ぐ。オーディオはオーストリアの名門「AKG」がプロデュース、14個のスピーカーを搭載して車内をコンサートホールに変える。
パワーユニットは、2リッター直列4気筒のエンジンをターボで過給し、最高出力は230馬力、トランスミッションは9速ATを採用する。
日本に導入されるのはスポーツの1グレードで価格は790万円。ブルーのステッチが施されたシートは座面が厚くスペースも広い。
スタートボタンを押してエンジンを始動すると、車内に適度なエンジン音が響く。ギアをドライブに入れてスタート、1・8トンの車体が、滑らかに走り出す。
車高が高く見通しがいいので運転しやすい。左ハンドルだがこのサイズならエスカレードほどには緊張しない。ちなみに現行のキャデラックで右ハンドル車はEVのリリックのみとなる。
高速道路の合流でアクセルを踏み込むとエンジンが気持ちのいいサウンドを響かせる。
AKGのオーディオでジャズを流してみたが、わずかなピアノの音から、トランペットの高音域まで、車内とは思えない美しいサウンドを奏でていた。
欠点というわけではないが33インチのディスプレーは、横長の画面を生かした多彩な表示をのぞみたい。
無駄を排した重厚な仕上がりで、一つ一つのパーツがしっかりと作りこまれている。はやりのアンビエントライトなどの派手な演出もなく、質実剛健という言葉が似合う。XT4は広大な大地をひた走るというアメ車らしさを満喫できるSUVだ。
■キャデラック XT4 スポーツ
【定員】 5人
【全長】 4605ミリ
【全幅】 1875ミリ
【全高】 1625ミリ
【車両重量】 1760キロ
【エンジン】 1997cc直列4気筒
【最高出力】 230馬力
【駆動方式】 四輪駆動
【ミッション】 9速AT
【車両本体価格】 790万円(税込み)
配信: iza!