日本を代表するトップクリエイターたちが集結した完全新作SFアニメーション「ムーンライズ」。4月10日からNetflixで世界独占配信される本作で、主人公ジャックを演じた声優の小林千晃と、物語の鍵を握る少女、マリーを演じ、書き下ろしによる主題歌「大丈夫」も担当したアイナ・ジ・エンドに、作品への思いなどを語ってもらった。
豪華スタッフが集結した完全オリジナルストーリーが展開
Netflixシリーズ「ムーンライズ」は、小説「天地明察」や、「蒼穹のファフナー」「PSYCHO-PASS サイコパス」といったSFアニメでシリーズ構成・脚本を手掛けたことで知られる冲方丁さんが原案、アニメ化もされた「鋼の錬金術師」「銀の匙 Silver Spoon」で知られる漫画家、荒川弘さんがキャラクター原案をそれぞれ担当。そして、テレビアニメ「進撃の巨人」シーズン2、3でタッグを組んだ肥塚正史監督とアニメーションスタジオ「WIT STUDIO」が再結集したSFドラマ。
西暦2XXX年の地球を舞台に、人類を導く国際AIネットワーク〈サピエンティア〉が進めた月開拓事業によって対立した“地球の住民“と、地球からの解放を企てる“月のレジスタンスたち”の戦いを圧倒的なハイクオリティ映像で描く。
近年は、人気コミックやライトノベルが原作となることが多いアニメーション。先々の展開が原作で描かれている他タイトルとは異なり、完全オリジナルストーリーの「ムーンライズ」は、豪華スタッフの布陣と、地球と月が舞台となるSFというプロット以外は、秘密のベールに包まれている状態だった。
小林「完全オリジナルストーリーなので、最初は台本からでしか情報は得られなかったのですが、それだけでもすごく興味をひかれていました。当時は映像が鋭意制作中だったのですが『これは完成したらすごいことになりそうだな』という気配はひしひしと感じておりました」
アイナ「今回、主題歌『大丈夫』を作詞作曲させていただいたのですが、今まで、月と地球の関係というものを深く考えてきたことがなかったんです。でも『もしこれを音にするならどんな音だろうな?』とか、曲を作るにあたって、プロットを読み込んだのですが、すごく想像が膨らむばかりで、アニメの完成が楽しみで仕方なかったです」
若手実力派声優から聞いた、人気アーティストの声の演技は?
小林はCreepy Nutsによる第2期オープニングテーマ「Bling-Bang-Bang-Born」が大ヒットしたことで知られるアニメ「マッシュル-MASHLE-」の主人公、マッシュをはじめ、さまざまな人気作品でメインキャストとして大活躍中。一方のアイナは、2022年に日本で公開された映画「SING/シング:ネクストステージ」日本語版でポーシャ・クリスタル役を担当して以来、声優の仕事は2度目となる。
アイナ「マリーを演じると決まった時は、本当に不安でしょうがなかったです。でも、本作の音響監督が『SING/シング:ネクストステージ』でご一緒させていただいた三間雅文さんで、『できると思うからがんばって』と、手取り足取り教えてくださったんです。毎日『ムーンライズ』のことを考えるだけで、不安が募るばかりだったんですけど、いざアフレコ現場に行くと、楽しい空気にしてくださって、あっという間に時間も過ぎちゃって。本当に三間さんのおかげでできたなって思います」
歌声はハスキーで情熱的なアイナだが、マリーとしての声は、普段の会話以上に温かくて柔らか。本職の小林は、彼女の演技について、どのような印象を抱いたのだろうか。
小林「三間さんから『SING/シング:ネクストステージ』でのアイナさんの演技がすてきだったと聞いていたので、ご一緒できてすごくうれしかったです。初登場シーンから、マリーは明るくていい子なんだろうな、というのは、脚本を読んだだけでも伝わってくるのですが、ジャック視点からだと、彼女が敵なのか味方なのかわからないんですよね。でも、アイナさんの声がつくと『嘘つかなそう』『この子は裏切らなさそう』といった印象になるんですよ。ちょっとハスキーでかっこいい声なんですけど、同時にすごく親近感を持たせてくれる優しさがあったので、マリーの魅力を親しみやすさという方向に引き出しているな、と思いました」
2022年に制作決定のニュースが届いてから、今年の4月の配信まで、約2年半。細部にまでこだわり抜いたハイクオリティな映像が制作されるなか、声優陣も22年10月から24年5月までという長期間、じっくりと役柄と向き合っていった。
小林「全18話という話数で、アフレコに1年半以上の時間をかけることはなかなかないので大変さもありました。でも『ムーンライズ』のアフレコがあるうれしさというか、『がんばらなきゃ』という気合いとか、定期的に発破をかけられるような作品があったことで、とても充実した1年半だった気がします」
アイナ「スケジュールにアフレコの予定があると、ちょっと不安になったりしていたんですけど、ロボットが大好きな三間さんがコレクションを現場に持ってきて、遊ばせてくださるという楽しみもあったんです。なので、『どうしよう』と焦るばかりではなく、すごく救われる時間もありました」
近年は米アカデミー賞で「DUNE/デューン 砂の惑星」シリーズが作品賞にノミネートされ、日本でも大ヒットを記録するなど、SFという作品への注目度は再び高まりつつある。
小林「僕は映画が好きで、いろいろな作品を見ているなかでSFというジャンルもあった、という感じです。『スター・ウォーズ』や『スター・トレック』といった名作はもちろん見ていたので『ムーンライズ』の“月と地球との対立“や”なぜ月側はここまで地球を敵視するようになったのか”といった設定も、すんなり理解できました」
アイナ「私も、もともとSF系の映画が大好きです。この『ムーンライズ』は、SFというジャンルの作品なんですが、主人公のジャックと幼なじみのリース、そしてマリーとの関係といった、ちょっと恋愛っぽい描写も多くて、親近感がわきました。臨場感たっぷりの迫力の映像だけでなく、私たちの身近で起きていそうな物語も描かれているので、スッと作品に入れるという魅力を感じました」
毎週1話ずつ放送するテレビアニメとは異なり、Netflixでは“イッキ見”と呼ばれる、全話ノンストップ視聴も可能となっている。
小林「一気に見たいタイトルもありますけど、僕は毎話、ちゃんと時間を置いて見られる派です。でも、『ムーンライズ』は一気に見た方がいいかもしれないですね。30分ぐらいでサクッと見られるので、そういう意味でも連続で見やすい作品だと思います」
アイナ「私はもう、1話見たら、次のエピソードをガンガンクリックするタイプです。もちろん『ムーンライズ』も、イッキ見をオススメします!」
配信: iza!
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