男の子と女の子2人のママであり、泌尿器科医である岡田百合香先生の連載。今回は「応用行動分析で考えるトイレトレーニング」、全3回シリーズの2回目をお届けします。「応用行動分析」とは行動の変化を促すために科学的なアプローチをすること。療育の現場などで多く使われています。「お母さん・お父さんのためのおちんちん講座」ママ泌尿器科医#58です。
行動のあと、できるだけ早く、60秒以内に「ほめる」ことが大切
岡田 前回に引き続き、特別支援学校で教員をしている亀田准季先生に、「応用行動分析」の観点からトイレトレーニング(以下、トイトレ)についてお話を聞きたいと思います。よろしくお願いします。
亀田 よろしくお願いします。さて、前回はトイトレを開始する際に、“2つの作戦を立てるといい“という話をさせていただきました。
岡田 「届くほめ言葉/ほめ方を考えよう」と「目標を分割しよう(課題分析)」でしたね。
亀田 そうです。「応用行動分析」では、子どもがとった行動の後に、本人にとっていい結果を与えることで、その行動を増やすことを狙います。ここで言う“いい結果“とは「ほめられる」ことです。そのため、「ほめ方」というのはとても重要になってきます。
岡田 なにかポイントはありますか?
亀田 まずは、前回も述べた「届くほめ言葉」です。大人もそうですが、ほめられた本人にとってうれしい言葉であることは重要です。そして、なるべくすぐにほめるということが大切です。これは子どもがとった「行動(頑張り)」と「結果(ほめられる)」を結びつけるために必要です。
岡田 具体的にはどれくらいがいいのでしょうか。
亀田 応用行動分析の中では「60秒ルール」があります。人間にとって60秒を超えると、「行動」と「結果」が結びつきにくいとされています。もちろん、60秒内でも早ければ早いほどいいです。
岡田 そうだったのですね。つい「後でほめよう」と後回しにしてしまうことがあります。
亀田 忙しい育児の中だとなかなか難しいですよね。無理のない範囲で大丈夫なので、ぜひ意識してみてください。
「挑戦した事実」をほめて次につなげる、「試み強化」も大切
岡田 ほかにもポイントはありますか?
亀田 そうですね。やはり、「ほめられるタイミング」が増えると子どものモチベーションは上がります。そこで「試み強化」という方法を取り入れてもいいかと思います。
「試み強化」とは、たとえ課題を達成しなくても、「挑戦した事実」をほめて、次につなげる方法です。私の二男は現在トイトレ真っ最中で、トイレを怖がってしまっています。“トイレに入ること“が目下の課題ですが、調子によってはそれすらも嫌がる日もあります。たとえ、入れなかったとしても、トイレの扉に近づいただけで「怖いのに近づけたね、すごいな」と言葉をかけるようにしています。
岡田 目標を達成しなくてもほめていいのですね。
亀田 目標を達成できないことが続くようであれば、「スモールステップの再設定」はする必要があるかもしれませんが、それは大人が考えることです。子どもには挑戦するモチベーションをもってほしいので、「挑戦している以上、絶対ほめる」くらいの気持ちでいいと思います。
配信: たまひよONLINE