とはいえ、昨今の保活状況を考えると、保育園に入れるかどうか不安になってしまう…。そんなとき、子どもの預け先の別の選択肢のひとつとして挙がるのが「認定こども園」だ。
認定こども園は 一般的に“保育園と幼稚園の良いとこ取り”ともいわれるが、一体どんなメリットがあるの? 現在の保育園や認定こども園の現状に詳しく、保活専門家として活動する山下真実さんはこう語る。
●ライフスタイルの違う子どもが集まる空間で、お互いがいい刺激に
「こども園の場合、基本的には3歳児クラス以降では朝から14時までの時間は幼稚園としての生活がベースとなっています。午前中から14時までの時間に、集団行動を意識した活動がコンパクトに詰まっています」(山下さん 以下同)
となると、認定こども園の内容は幼稚園に近いの?
「いえ、実際のところ、現在は幼稚園でも保育園でも園内で行われる教育的な内容に差はありません。というのも、幼稚園、保育園、認定こども園のそれぞれが指導要領で『育ってほしい姿』を定めていますが、その記載はほぼ同じ内容となっているからです」
また一方で、通う子どもにとってのメリットも期待できるという。
「ひとつのクラスに幼稚園として通っている子と保育園として通っている子が混在しているのは、子どもにとってちょっとしたダイバーシティ(多様性)になるのではないかと思います。保育園だと基本的には共働き世帯ばかりですが、認定こども園の場合は家庭環境にもいろいろなパターンが。14時で帰る子、日によって帰宅時間が違う子、延長保育する子…そういった違いも子どもにとっては良い刺激になるのではないでしょうか?」
●見学する際は保育園部門を重点的に確認しよう
「認定こども園は保育園や幼稚園以上に、園による違いが大きいのが特徴です。入園を考えるなら、必ず事前に見学したほうがいいですね」
具体的に、見学時にはどういったところを確認したらいい?
「乳児をはじめとする保育園部門の子を通わせる場合は、システムはもちろん保育室内での日々の保育の様子を必ずチェックしましょう。保育園部門と幼稚園部門とで施設がわかれていることも多いので、それぞれ下見する必要があります。」
ほか、どのタイプの認定こども園であっても、共通して確認したほうがいいのは、以下のポイントだ。
・運営主体の考え方
保育理念や方針などは園内に掲示されていることも多いが、それがきちんと浸透しているか?いくら素晴らしい理念を掲げていても、現場の保育者がそれを意識していなければ意味がない。
・空間の使い方と設備の充実度
施設の規模に大きな差は見られないかもしれないが、空間の使い方や設備の充実度は差が出やすい。同じ広さでもレイアウトが違うだけで子どもの過ごし方が変わる。
・立地と周辺の環境
園庭がある保育園でも近くの公園などにお散歩することも多い。
・先生やスタッフ
見学時に保育者とすれ違ったら「こんにちは」と気さくに挨拶してくれるかどうかを見るだけでも、先生たちの人となりや雰囲気が分かる。
認定こども園を取り巻く状況はまだ過渡期で、方針などは園によってバラバラなケースも多い。だからこそ必要なのは「見学」。時間の許す限りたくさん足を運び、園を見極めてほしい。
(取材・文:高山惠 編集:ノオト)