幼少期からのネット教育で正しい倫理を身につける
SNSや動画サイトに悪ふざけの画像や動画を投稿し、炎上する騒動が後を絶たない昨今。大人だけではなく子どもの間でも、深く考えずに面白半分でネットに投稿してしまった行動や言動が思わぬところから非難を浴び、学校から停学を言い渡されたという例も少なくないようです。「ネットリテラシーは自然に身につくものと、教えないと身につけないものがあります」と話すのは、子どもとネットの関係性に詳しい教育ネットの大笹いづみさん。
「いまの子どもは生まれたときからネットが身近にあり、またネット上で何かを表現するのが当たり前の時代。直感的に操作できる機器も増えているので、検索の仕方やメールなどの送り方は自然と身に付きます。一方で、メールや投稿の内容はこれが正しいという正解がない分、子どもたちにとっても『これはよくて、これはダメ』という線引きが難しいものです。例えば、絵文字ひとつとっても表現を間違えると、友達との関係がこじれるきっかけにもなってしまいます。そうしたことを防ぐためにも、『これは送った相手にこういう意味に捉えられそうだよね』など、具体的なケースごとに親子で一緒に考えることが、ネットリテラシーを高めることにも繋がります」(大笹さん 以下同)
親も一緒に学ぶ姿勢が重要
とはいえ、さまざまなSNSやアプリサービスがどんどん増えていくなかで、利用自体に苦手意識を持っている親も多いかもしれません。
「親も一緒に学ぶつもりでSNSやアプリや触って体験して、興味を持って学ぶというスタンスが大事です。『正しい使い方を教えなくては』というよりは、どういうところが面白いんだろうという歩み寄りの姿勢でいるようにしましょう。もちろん、親として『人を傷つけたり、後々後悔するような発言はネット上でもしてはいけない』という常識を伝えることは大切ですが、それだけでなく『ネットだとこういうところが伝わりにくいよね』『こういう言い方は誤解されそうかもしれないね』というように、絵文字や文章などの表現方法などを具体的に示しながら、子どもの考えも聞きつつ会話を重ねることが大切なのです」
SNSなどでのちょっとした行き違いでいじめに発展してしまったり、ネットへの投稿が瞬時に世界中へ拡散してしまう時代。一度ネットにアップしてしまうと消すことが難しく、一生後悔することにもなりかねません。取り返しのつかないことになる前に、子どもが小さい頃からネットの使い方について親子で一緒に考えることが重要なのかもしれません。
(文・末吉陽子/やじろべえ)