学校で教える「情報モラル」とは?
現在、学校教育の現場では「情報モラル教育」の充実をはかるため、文部科学省でも指導要綱を作成。先生向けに「『情報モラル』指導実践キックオフガイド」なども出しています。そもそもここでいう「情報モラル」とは、「情報社会で適正な活動を行うための基になる考え方と態度」のこと。つまり、ネット上のマナーやコミュニケーションにどう向き合うかを学ぶというものです。では、具体的にはどのような指導が行われているのか、学校でのネット教育に詳しい教育ネットの大笹いづみさんにお話を聞きました。
「現代のネット教育は、子どもの発達段階に応じたカリキュラムが組まれています。例えば小学校低学年の場合、情報をやり取りするうえでのルールやマナーを守ることの重要性を知るというところから始まります。具体的なメールのやり取りや掲示板の利用などから、『相手を思いやる気持ち』『言葉の表現』などを学びます。小学校の中学年になると著作権などのモラルの指導も行われています。こうした指導にあたっては、これまで体育館に子どもたちを集めて講習を行うという方法が多かったのですが、最近では道徳の時間などを使い授業の一環として教室内で学ぶ機会も増えています」(大笹さん 以下同)
また、ネットを介したコミュニケーションについてもしっかり考えさせることが大切と大笹さんはいいます。
「Twitterのつぶやきやブログで表現することは、家族や友達と会話しているのと同じような感覚。自分の発言が世界に発信されていることに対する怖さについて、今の子どもたちはあまり実感がないですね。そのため、友達とのトラブルなども以前とはかたちが変わってきています。例えば、まだまだ数は少ないですが、ネットを介した子どもたち同士のトラブルも、校内や近隣の学校に留まらず県をまたいで起きることもあります。そうしたことが起きないためにも、情報の扱い方だけでなくネット上のコミュニケーションを考えさせる教育も必要だと思います」
ますます複雑になっていく情報化社会において、子どもがいらぬトラブルに巻き込まれてしまうのは防ぎたいもの。そのためにも、教育現場でもさまざまな指導が行われているようです。
(文・末吉陽子/やじろべえ)