【プレママ必読】妊娠中につくられる「胎盤」の正体は?

第2回 意外と知らない「胎盤」にまつわるアレコレ
陣痛の末にとうとう赤ちゃんが無事誕生! 喜びと安心の直後、体内から出てきたレバー状の巨大なものを「胎盤ですよ」と見せられて、ぎょっとした経験を持つママもいるのでは? 医師や病院によって胎盤の処置は異なるため、まったく見なかったママもいるだろう。

胎児とともに子宮で大きくなり、分娩時には一緒に外の世界へ出てくる胎盤。だがそもそも、この胎盤、何でできていて、どんな役割を果たすのだろう? 日本産科婦人科学会にも籍を置く、浜松医科大学の金山尚裕医師に教えてもらった。

●そもそも「胎盤」ってなに?

まずは「胎盤」とは何かをおさらいしよう。胎盤とは、女性が妊娠したときに形成される新たな「臓器」のことだ。妊娠したほ乳類にだけ形成されるもので、女性の体内にもとからあるものではない。着床した受精卵から分泌されたホルモンによって作り出される、いわば血管の固まりだという。

「胎盤は、お母さんの血液・酸素・栄養を赤ちゃんに供給する臓器です。子宮の内側に付着した胎盤は胎児へと栄養や酸素を送り続け、妊娠4カ月後半、15週ごろになるとほぼ完成します」(金山医師 以下同)

【プレママ必読】妊娠中につくられる「胎盤」の正体は?

●胎盤が果たす重要な役割とは?

母体の栄養や酸素を胎児に届けることのほかに、胎盤にはもうひとつ大事な役割がある。それは胎児から出た二酸化炭素などを受け取ること。つまり、肺や消化器官などの機能も胎盤は一手に引き受けているのだ。

「胎盤のほぼ中央についているものが、臍帯(さいたい)、つまりへその緒です。臍帯の先をたどっていくと、胎児のおへそに行き当たります。ここを輸送経路として、胎児に必要な栄養や酸素を送り届け、そして二酸化炭素などを受け取るのが胎盤の果たす重要な役割です」

胎盤がきちんと形成されると、母体のホルモンの状態も徐々に安定してくる。妊娠5カ月以降が「安定期」と呼ばれるのは、ここに起因する部分が大きい。

「ただし、安定期に入ったからといって、羽目をはずしたり、暴飲暴食に走ったりするのは危険です。つわりのピークは10週といわれていますが、胎盤がほぼ完成するのは15週頃。実はこの10~15週のあいだが、胎盤が形成される上で最も重要な時期。無理は禁物です」

胎盤が完成するまで、無茶や無理は厳禁。プレママさんは大事な赤ちゃんが無事にこの世に出てくるまで、栄養と睡眠をたっぷりとり、規則正しい生活を心がけていこう。
(取材・文:阿部花恵 編集:ノオト)

お話をお聞きした人

金山尚裕
浜松医科大学理事・副学長
研究テーマは羊水塞栓症、早産、妊娠高血圧症候群、不妊症。日本産科科婦人科学会所属。
研究テーマは羊水塞栓症、早産、妊娠高血圧症候群、不妊症。日本産科科婦人科学会所属。