どのタイプの洗濯洗剤も洗浄力に大きな違いはない
毎田さんは粉末や液体、ジェルボールの違いによって、洗浄力に大きな差があるわけではないとしたうえで、それぞれの特徴について教えてくれました。
【粉末】
「粉末洗剤の強みは、様々な酵素をプラスしやすい性質から、泥や汗、臭いなどを落とす洗浄力が高めのものが多いこと。そして何より、液体洗剤よりもリーズナブルなことです。液体洗剤より溶けにくいとはいえ進化していて、汗をかきやすい夏の高温期は粉末も溶けやすくもなるため活躍が期待されます」
【液体】
「液体洗剤は粉末洗剤より水に溶けやすく、洗濯物全体に浸透しやすいといえます。液体洗剤には濃縮されたコンパクトサイズの商品も多いのですが、収納スペースを取らないことはもちろん、働く女性が増えたことなどから、お勤め帰りにも買って帰りやすいというコンセプトも込めて開発されました」
【ジェルボール】
「ジェルボールはなんといっても手軽さが利点。計量しないでポンと入れるだけというのは、一度体験するとやめられなくなりそうなくらい。こぼしたり、手について手荒れする心配もほぼありません。発売当初は洗浄力に疑問の声もありましたが、新商品が出る度に進化中。柔軟剤入りもあります。ただし、洗濯に支障はないようですが、洗剤が包まれている素材は湿気を吸いやすく、高湿度や高温の場所に長期間置いていると、ジェルボール同士がくっついたり、色褪せのようになったりするので保管場所に注意と密封必須です」
多少の違いはあるものの、「最近はどの洗剤も進化していて、有名メーカーのもので落ちにくいものは無いといえます」と毎田さんは続けます。
どの洗濯洗剤を使う場合でも、水温に気を付けて!
先ほどの特徴を聞いた際、毎田さんが「洗濯をする時の注意点」についても教えてくれました。なんでも、「水温」に気を付けると良いのだそう。
「液体、粉末問わず、洗剤が一番効力を発揮してくれるのは、水温が30〜40℃の時です。冬の10℃前後の水ではどちらも最大限のパワーが出にくいので、お風呂の残り湯を洗いの時に使ったり、あらかじめ洗剤をお湯に溶かして入れるなど、工夫をすると良いでしょう。ちなみに、最近は低温でも溶けやすい液体洗剤も発売されていますよ」
ほかに、衣類との相性も重要なポイントで、「生成りや淡い色の衣類は蛍光増泊剤や漂白剤で変色や色落ちの心配が。濃い色のものは漂白剤入りの洗剤で一気に色落ちする心配がある」とのこと。
また、「人気の洗剤」だからと選んでいる人も要注意。
「どの洗剤もですが、洗浄力を強めるために様々な界面活性剤を使っています。また、界面活性剤を使用していない洗剤でも、『漂白剤』『蛍光増泊剤』などが入っていることがあります。お肌に合わないものもあるので、少し使って気になるようなら早めに切り替えましょう。一般的に人気があっても、お肌へのダメージが強めのものや、以前は環境によくないと言われたけれど今は多くなければ下水道で浄化できるという原料を使っていることもあります。赤ちゃんや幼児がいるご家庭なら、お肌への影響が少ない『石けん洗剤』や『専用洗剤』を選ぶのがおすすめです」
洗濯洗剤と柔軟剤のタイミングも意識すると◎
最近の洗濯洗剤には、「柔軟剤入り」となっているものもあります。でも、「洗剤と柔軟剤を同時に入れないほうが良い」という声もあるけれど…。
「柔軟剤がすすぎのタイミングで溶け出すようにコーティングされていますが、それでも洗いの時に柔軟剤も溶けだしてしまうことを“覚悟の上で”使うこと。一緒に投入すると、汚れが柔軟剤にコーティングされて洗い流されない可能性もあります。つまり、汚れ落ちに影響がないといえません。両方の効力を最大限に発揮したかったら、洗剤と柔軟剤は別々がおすすめです」
それぞれの家庭で家族構成やタイムスケジュールが違うように、洗剤もその時々で最適なものは変わってくるもの。粉末や液体といった区別だけでなく、「ウタマロ石けん」のようなさらに細かいケアができるものもあります。
また、強い香りが苦手という人も多いものですが、洗濯物を干す時、服を着る時にほんのり香ることで気分が明るくなることもあるので、「好きな香りで選ぶのも一案です」と毎田さんは話します。
「いきなりそれらを見極めるのは難しいですが、『今の自分の家庭』に合うものを選ぶように心がけるだけで、だんだん、使用感やその時々の家庭の状況に合う洗剤が選べるようになります。香りやふんわり感など、好きな仕上がりになるものを探すことを楽しんでみてください」
洗濯って、機械まかせとはいえ、手間のかかる家事ですよね。でも自分に合った洗剤を見つけることができれば、今よりもちょっとだけ洗濯が楽しくなりそうです。
(文・明日陽樹/考務店)