自然渋滞であれば高速道路を乗り続ける
「高速道路が渋滞しているなら、並行している一般道も混んでいる可能性が高いです。高速道路に乗ったままのほうが目的地に早く着けることが多いので、一般道に降りることはあまりおすすめできません」
そう話すのは、NEXCO東日本でお馴染みの東日本高速道路株式会社の5代目渋滞予報士・外山敬祐(とやまけいすけ)さん。
とはいえ、なかには例外もあるそうです。
「ただし、事故などで3車線が2車線になるなど、車線規制が行われているときは、場合によっては一般道に下りたほうが早いこともあります。ですが、下りる場合は土地勘があることや、十分に下調べができる場合のみです。やみくもに一般道へ下りるのはおすすめできません」(外山さん、以下同)
NEXCO東日本では、自然渋滞と事故渋滞を区別しており、高速道路上の情報版に「事故渋滞●km」と表示されている場合、かつある程度土地勘がある場所でのみ、一般道に下りると早く目的地に到着できる可能性があるそうです。
ちなみに、高速道路の渋滞の大半は「サグ」が原因で発生しているそう。サグとは、下り坂から上り坂にさしかかる凹部のこと。上り坂になっていることに気づかず、車の速度が低下することで、後続車にブレーキを踏ませてしまった結果、渋滞が発生してしまいます。現在NEXCO東日本では、サグ標識の設置を進めており、もし上の画像のような標識を見かけたら、速度低下に注意しましょう。
渋滞中はリムジンバスの後ろをついていく?
日ごろから車をよく運転する人であれば、リムジンバスなどは遅れが許されないことから、会社内での交通情報の共有が徹底しており、「高速道路で渋滞にハマったらリムジンバスの後ろを走行するといい」という話を耳にしたことがある人もいるはず。
「リムジンバスなどは遅れが許されないため、渋滞を抜けやすいルートで走るということは、よく聞く話ですよね。リムジンバスの後ろを走行するというのもひとつの方法ですが、近年では道路情報板のほかインターネットや地図アプリ、SNSなどから誰でも最新の道路情報を得やすくなったことから、私たち一般ユーザーとリムジンバス会社が得られる交通情報の差は縮まってきているのではないでしょうか」
とのこと。であれば、自分で渋滞情報をチェックして、安全運転を心掛ける運転も、方法としてそれほど劣るとはいえなさそうです。
では、3車線や4車線などの大きい高速道路での渋滞時に、どの車線を走行するのがベストなのでしょうか?
「結論から言うと、車線に制限がない限り、渋滞中はどの車線もほぼ同じ速度で動いています。渋滞のなかでは、アコーディオンが伸びたり縮んだりする動きのように、停止・発進を繰り返しています。この停止・発進の波の周期は、車線によってズレています。そのため、一時的に他の車線が流れているように見えますが、実際はあまり変わりません。むしろ、車線変更を繰り返すことは、後続の渋滞を悪化させる要因になるので、控えていただくことを推奨しております」
年末年始のような交通混雑期の事故原因の約半数は渋滞時に起きており、要因のひとつは車線変更なのだとか。
渋滞はできるだけ早く抜けたいものですが、焦ってジタバタすると、余計に遅くなる可能性あり。同乗者がいるならば、スマホで渋滞情報をチェックしてもらい、まずはどういう状況で渋滞が起きているのか、確認することから始めましょう。
(文・奈古善晴/考務店)