大掃除終了のサイン!? 正月飾りのアレコレをおさらい

第1回 大人なら知っておきたいお正月のルールとマナー
ついこの前まで「♪ジングルベ~ルジングルベ~ル」なんてのんきに歌っていたと思ったら、あっという間にお正月に突入。ご自宅の玄関に正月飾りを飾っているという人も多いのでは? でも、正月飾りの意味や飾っておく期間など、よく考えてみると知らないことだらけ…。そこで、國學院大學の新谷尚紀教授に、正月飾りについてお話をお聞きしました。

正月飾りは掃除が終わったサイン

たとえばクリスマスツリーやお雛様、兜、こいのぼりなど、季節のイベントごとに飾るものは色々ありますが、正直何のために飾るのか、詳しくは知らないという人は少なくないはず。正月飾りもそのひとつですよね。まずは正月飾りが何のためにあるのかを教えてもらいました。

「正月飾りというのは、年神様(としがみさま)をお迎えするための飾りのことで、『きれいにお掃除しましたよ』という目印です。しめ縄を張れば、『ここに神様にいらしていただいても、安全にお迎えできる場所ですよ』というサインになります」(新谷教授、以下同)

大掃除終了のサイン!? 正月飾りのアレコレをおさらい

つまり、神様を迎えるにあたって大掃除で部屋をきれいにし、その完了のサインになるのが、正月飾りということ。「今年は忙しくて大掃除ができなかった」という場合はどうするのか聞いてみたところ、「掃除しないで正月飾りを飾るというのは、最悪です。お風呂に入らずにパンツだけ変えているようなものです」とのこと…。

普段手の届かない場所を念入りに掃除するだけが大掃除だと思っていましたが、新年を迎えるにあたっても大切なことだったんですね。

正月飾りを飾る期間と処分法

続いて、いつからいつまで飾っておけば良いのかをお聞きました。

「12月20~28日の間に飾り始めて、新年1月14~15日まで飾っておくのが一般的です。毎年1月14日か15日にどんど焼きが行なわれますので、そのタイミングでお焚き上げをするのが良いでしょう」

誰にでもうっかりはあるもの。もしもどんど焼きに出せなかった場合は、どうしたら良いのでしょうか?

「そのままゴミに出すことになるでしょうね。しかし、ゴミに捨てるよりは、当然神社やお寺といった神聖な場所で処理するほうが良いので、近くでお焚き上げをしてくれる場所を探すのも良いでしょう。どちらかというと、これはマナーの問題です」

出して終わりではなく、きちんと片付けをするところまでがワンセット。手間をかけないためには、どんど焼きに間に合うように日ごろから注意しておくのが賢明です。

正月飾りを飾る時の注意点は?

最後に、正月飾りのNGマナーを聞いたところ、「夜に飾るのはダメです」と新谷教授は話します。

「夜は縁起が悪いので、夕方や夜に飾り付けるのは避けてください。午前10時~12時くらいの間に飾るのが良いタイミングです。これはルールではありませんが、礼儀の問題。福の神は礼儀正しいところには来てくれますが、無礼なところには貧乏神が来てしまいますよ」

正月飾りという縁起物も、タイミングを間違えばそうではなくなってしまう…。先述の掃除をしていない家に飾るというのも同様です。2018年、貧乏神ではなく福の神が来てくれるよう、正月飾りのキホンを覚えておきましょう!
(文・明日陽樹/考務店)

※本記事の情報は執筆時または公開時のものであり、最新の情報とは異なる可能性がありますのでご注意ください。

お話を聞いた人

新谷尚紀
國學院大學教授
1948年広島県生まれ。71年早稲田大学文学部史学科卒業、81年同・大学院文学研究科史学(日本史)専攻博士課程後期単位取得退学。國學院大學文学部・日本文学科教授。専門は、日本民俗学。『家族で楽しむ 子どものお祝いごとと季節の行事(日本文芸社)』、『日本のしきたりがまるごとわかる本(晋遊舎)』 、『氏神さまと鎮守さま 神社の民俗史 (講談社)』など著書多数。
1948年広島県生まれ。71年早稲田大学文学部史学科卒業、81年同・大学院文学研究科史学(日本史)専攻博士課程後期単位取得退学。國學院大學文学部・日本文学科教授。専門は、日本民俗学。『家族で楽しむ 子どものお祝いごとと季節の行事(日本文芸社)』、『日本のしきたりがまるごとわかる本(晋遊舎)』 、『氏神さまと鎮守さま 神社の民俗史 (講談社)』など著書多数。