【4ステップ!】天体望遠鏡は家でも手作りできる!?

第1回 子どもと観よう! 2018年注目の天体イベント
月や星を見る時、裸眼でも見えるけど、天体望遠鏡があればなおよし。しかし、本格的な望遠鏡を買おうとすると、置く場所もないし、値段は結構お高め…。天体望遠鏡って、手作りすることはできないものでしょうか? そこで、天体望遠鏡や双眼鏡などを取り扱う総合光学機器メーカーのVIXENに取材。手作りで望遠鏡を作れるものか、お話をお聞きしてきました。

手作り望遠鏡キットも売っている

VIXENでは、望遠鏡を手作りするワークショップを不定期で開催しているそう。その時に使うのが、手作り望遠鏡キット。最近では、これらキットをネット通販で購入することも可能だとVIXENの研究開発部・開発課課長の加島信次さんは話します。

さすがに望遠鏡を手作りするというのは難しいかもしれないと思っていましたが、キットを使えば簡単に作れるんですね。でも、結局キットを買わなきゃいけないのか…。

と、思ったのですが、キットの中身を見てみるといたってシンプルで、トイレットペーパーの芯のような筒がひとつと、レンズが2枚(接眼レンズと対物レンズ)入っているのみ。これならキットを買わずとも作れるのではないか…。そう思い、無礼を承知でキットを買わずに望遠鏡を作る方法を聞きました。

【4ステップ!】天体望遠鏡は家でも手作りできる!?

100円ショップの虫メガネと余っている筒でレッツトライ!

まず望遠鏡を作るうえで必要なものを聞いたところ、「トイレットペーパーやサランラップの芯、お菓子の空き容器などの筒状のものと、凸レンズが2枚あれば“ケプラー式”の望遠鏡を作ることができます」とのこと。

一般的な天体望遠鏡よりもレンズとしての性能は落ちてしまうようで、例えば土星の環っかまではさすがに見えないそうですが、月のクレーター程度ならその存在を見つけることができるのだとか。

では、さっそく作り方をご紹介。

【ケプラー式望遠鏡の作り方】
材料
・大きさの異なる虫メガネ…大小それぞれ1個
・大きさの異なる筒…大小それぞれ1個
・黒いフェルト…適量
・テープ…適量

作り方
1)大小それぞれの筒の内側全体にフェルトを貼る
2)大きいほうの筒に大きいほうの虫メガネをくっつける
3)小さいほうの筒に小さいほうの虫メガネをくっつける
4)それぞれのレンズが外側に来るように組み合わせたら完成!

作り方の手順としては、たったこれだけ。子どもと一緒に作ることもできるので、楽しくチャレンジできそうです♪

作り方は簡単だけど注意点もたくさん!

作り方自体はとっても簡単なのですが、筒や虫メガネの選び方のコツって? Q&A方式で疑問を解決してもらいました。

【ちょうどいい筒がない!】
「筒と虫メガネの大きさがピッタリ合うのは、なかなか難しいものです。そんな時は、レンズの円周のサイズに合わせて厚めのボール紙で筒を作れば、ちょうどいい大きさに調整できますよ」(加島さん、以下同)

【なぜ筒を2つ使うの?】
「それは、ピントを合わせやすくするためです。筒がひとつだと毎回決まった距離のものしか見えなくなりますが、2重なら前後に動かせるようになるので、ちょうどいいところを発見しやすくなります」

【大きさの異なるレンズじゃなきゃダメ?】
「同じ大きさのレンズでも問題はありませんが、接眼レンズ側を小さくて比較的倍率が高いもの、対物レンズを大きいものにするとさらに扱いやすくなります」

【筒は長ければ長いほどよさそうなイメージがあるけど…】
「筒の長さは、虫メガネと太陽を使って、どれくらいのところで焦点が一番小さくなるのか、目検討でもいいので、測って決めるといいです。その焦点よりも若干長めにするといいでしょう。ただし、子どもだけでやると危険なので、必ずママやパパがやってあげてください」

【黒いフェルトは何のために使うの?】
「望遠鏡で見るものは、月がメインになるかと思います。当然、月はかなり明るいので、内面が光りやすいと乱反射して見えにくくなるのです。そのため、黒のフェルトをおすすめしています」

2018年の1月は、2日のスーパームーンや4日のしぶんぎ座流星群、31日の皆既月食など、天体イベントが盛りだくさん。手作り望遠鏡が大活躍しそうですね。
(文・明日陽樹/考務店)

※本記事の情報は執筆時または公開時のものであり、最新の情報とは異なる可能性がありますのでご注意ください。

お話を聞いた人

株式会社Vixen
総合光学機器メーカー
天体望遠鏡や双眼鏡、顕微鏡などの製造・販売を行う。また、望遠鏡を手作りするワークショップや星空展望会などを開催し、イベントも積極的に行う。
天体望遠鏡や双眼鏡、顕微鏡などの製造・販売を行う。また、望遠鏡を手作りするワークショップや星空展望会などを開催し、イベントも積極的に行う。