どうして子どもが痔になってしまうの? 所沢肛門病院・院長の栗原浩幸先生に聞いてみた。
「まず、赤ちゃんや子どもたちに多いのは、きれ痔です。赤ちゃんや小さな子どもたちは、食べる量が少ないので便の量が少なく、便秘がちになることが多い。便秘になるとウンチが硬くなり、排便時に肛門が切れてしまいます。そして痛いからつい我慢して、ますますウンチが硬くなるという悪循環に陥ってしまうのです」(栗原先生 以下同)
この悪循環を断ち切るのに大切なのが、食生活の改善だという。
「子どもに食物繊維を多く含んだ食材を食べさせてみましょう。食物繊維は腸の中で水分を吸収して膨らんで、便を軟らかくしてくれます。さつまいもやごぼう、わかめなどの海草類がいいですね。また、水分も多めに摂るのが大切です。便がスルッと出れば肛門も痛くありませんから。患者さんからは、ヨーグルトを食べさせることで便が改善したという話もよく聞きますよ」
とはいえ、なかなか症状が改善されない場合は、やはり病院に連れていくしかなさそうだが…どのタイミングで判断すれば?
「出血した時と、肛門の傷が膿みを持っていたり腫れたりしている時に受診しましょう。出血では直腸にポリープがあることもあります。まれではありますが、赤ちゃんでもいぼ痔が肛門の外に出てくることがあります。また、きれ痔で排便を怖がる時も一度は受診したほうがよいでしょう。肛門科や専門病院では溜まっている便を浣腸で出して、軽い下剤などで便を柔らかくして排便を怖がらないようにします」
ちなみに、きれ痔が慢性化すると、肛門の横に“見張りいぼ”ができる場合も。これはいぼ痔ではなく、きれ痔の炎症で起きた皮膚のたるみ。炎症がとれると多少小さくなる。
「そのほか、生後3カ月までの男児だけにできる “乳児痔瘻(ろう)”もあります。これは肛門の中にある小さな穴からばい菌が入り炎症をおこすもので、切開をして膿みをだして様子をみます。繰り返す場合もありますが、成長するにしたがって治ってしまうことがほとんどですね」
自分のおしりが痛いのもつらいが、痛みに泣く子どもを見るのはもっとつらい…。受診先は様々な検査ができる肛門の専門病院が一番だが、近所にない場合はまずは小児科で診てもらい、必要に応じて専門病院を紹介してもらおう!
(川野ヒロミ+ノオト)