そこで、世に言われる痔に関する話題をピックアップし、所沢肛門病院・院長の栗原浩幸先生に真偽を聞いてみた。
【アルコールや辛いものは痔を悪化させる】 → ○
「お酒を飲むと痔から出血する人は多いですね。特に痛みがある時や出血する時にはアルコールを避けましょう。また、極端に辛いものや刺激物を食べると、直腸に刺激や負担を与えて便秘や下痢の原因にもなるので、痔にはよくありません」(栗原先生 以下同)
「【いぼ痔は切れなければ治らない】→ ×
「切らなくてはいけないのは全体の2割ほどで、ほとんどの患者さんは薬で治ります。ただ、排便後に脱出したいぼ痔を指で肛門のなかへ押しこまなくてはいけない場合や、歩いているだけでいぼ痔が肛門から出てくるような場合は手術の対象になります」
【痔の人には温水便座がいい】 → △
「おしりの拭き過ぎ防止という面では温水便座はいいのですが、使い方次第では悪化させてしまうことがあります。例えば、長時間温水を当て過ぎたり、頻繁に使用しすぎたりすると皮膚の健康に必要な皮脂成分まで落ちて、かゆみやただれの原因にもなります。温度は中以下で使い過ぎないように気をつけてください。また、最近は温水便座の水圧を上げて浣腸のように使う人もいますが、この方法は絶対に止めましょう」
【痔は親から子どもへ遺伝する可能性がある?】 → ○
「親子は顔の形が似ているように、肛門の形が似ていることも多い。いぼ痔(内痔核)ができる静脈叢の大きさは、体質や遺伝が関係しています。静脈叢の大きい人は、便秘が続いたり、排便のときに必要以上にいきんだりする習慣があると、静脈叢がうっ血しやすくなり、その積み重ねで痔の症状が出てきます」
また、ママもお子さんも便秘になりがちという家庭では、食物繊維を含む野菜の量や水分量が足りていない場合がある。実は、この生活習慣も痔の要因になるのだとか。肛門の形は変えられないが、食事内容や生活習慣の見直しはできる。家族みんなのおしりの健康を考えて「痔の予防」に取り組んでみよう。
(川野ヒロミ+ノオト)