高齢出産 自分に合った産院選びは自分の体を知ることから
片桐医師は、まず「高齢出産に向けて自身に健康リスクがあるかどうかがひとつのポイントです」と話します。
「高齢妊娠・出産の場合、妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病などといった母体への健康リスクの発症が高い傾向にあります。それまでは健康だったのに、妊娠を機にこうした症状が現れることも多く、高齢妊娠の場合その確率も高いのです」(片桐医師、以下同)
また、自身の両親の疾病歴とその時の発症年齢を把握しておくことも重要だと片桐医師。病気のなかには遺伝傾向の高いものも多く、自分の両親と同じ年齢になったときに同じような症状があらわれるということもあるのです。
「高齢妊娠だからという理由だけで、高次医療機関を選択する必要はありませんが、今の自分の健康状態や合併症などを きちんと把握して 医療機関を選ぶようにしましょう」
ハイリスクケース 増加で分娩施設が集約化 産院は減少傾向に
ところで、最近では「産院が減少している」という話も聞きます。出産を控える人にとって、産院の選択肢が減ることは何とも不安ですが、いったいどうして?
「背景には、高齢出産が増えたことなどによって、合併症を有する ハイリスクな出産症例が増えていることが上げられます。リスクを伴う分娩には、相応の施設や設備が必要となりますので、最近では分娩取扱施設の集約化が起きていることは事実です」
ちなみに、最近では産科、産婦人科という言い方ではなく、レディースクリニックという病院もあります。これらの違いについては?
「産科や産婦人科など、”産”という名前が入っている病院は、妊婦を扱っている医療機関 となり、妊婦健診 や分娩を取り扱っています。 産婦人科は、産科の領域だけでなく、婦人科の領域の診療もしている医療機関です。厳密なルールはありませんが、レディースクリニックの場合は、婦人科診療に加え、美容やエイジングケアなどにかかわる診療や、 女性医療全般を 対象とした診療を行っている医療機関が多いです 。なかには、妊娠ごく初期 の診察については対応している病院もあると思います」
晩婚化や高齢出産の増加。こうした社会構造の変化は、施設数の増減に大きくかかわっているものの、最近では、産院の減少も下げ止まり傾向にあると片桐医師は続けます。自分の求める医療やサービスと、医療機関の特性のバランスをよく考えて、 自分にピッタリな産院を見つけましょう。
(文・団子坂ゆみ/考務店)