「病児保育」を行う3つの施設って?
先ほど、大川さんが言っていた「3つの施設」。これらについて、解説してくれました。
「ひとつ目は、病院やクリニックに併設されている『医療機関併設型』。2つ目は、幼稚園や保育園などに併設された『保育園併設型』。そして3つ目は、『単独型』というものです」(大川さん、以下同)
では、それぞれの施設はどのような特徴があるのでしょうか?
「『医療機関併設型』は、おもに病気は治っていないけど、悪化する可能性の低い子どもを預かる『病児保育』を担当していて、『保育園併設型』は、病気は治っているけど、円や学校には行けない子どもを預かる『病児後保育』を担当しています。というのも、いずれの場合も子どもの容体は安定しているとはいえ、悪化する可能性はゼロではありません。そのため、『病児保育』は医師が常駐している『医療機関併設型』で担当することが多いのです」
「医療機関併設型」、「保育園併設型」の違いはわかりましたが、もうひとつの「単独型」は?
「『単独型』はNPO法人などが運営している施設です。地域のドクターがチームを組んで、今日は○○病院、明日は××病院といったように、当番制で担当しています」
これらの施設には課題も
このように、病児を受け入れてくれる施設はありますが、「まだ課題もある」と大川さんは続けます。
「『子ども・子育て支援新制度』が施行された2015年以前から『病児保育』の取り組みはありました。当時は、病児2人に対し、保育士・看護師がひとり付くことになっていましたが、現在は、人員不足の観点から、保育士・看護師ひとり当たり3人になったのです。しかし、これでは病児へのケアが不十分になるとの懸念もあります」
また、定員が少なく、現状は預けたくても預けられない状況もあるそうで、その点も解決すべき課題だと大川さん。
共働き世帯や働くママが増え、病児保育の需要が高まっている昨今。子ども・子育て支援新制度が充実するには、まだ時間がかかりそうです。
(文・明日陽樹/考務店)