なぜ自分の子だと必要以上に怒ってしまうのか。日本心理教育コンサルティング代表・櫻井先生に聞いた。
「その理由は、自分の子には育てる責任があり、他人の子には責任がないからです。これは仕方ない部分もあります。また、粗相を目にする頻度の違いもありますね」(櫻井先生 以下同)
例えば、友だちの子がお茶をこぼすのを目にするのは月に1回程度でも、自分の子の粗相は毎日目にする。そのため、「うちの子ばかり」というイメージを持ってしまうそうだ。
「これは”自分の目線”のみで見てしまう点が大きいですね。言葉遣いがおかしい、ミスをするなどは子どもなら当たり前のことなのに、つい『自分はできるのに、この子はなんでできないの?』と思ってしまう。職場で上司が、自分より経験の少ない部下に対して感じてしまう苛立ち・怒りと同じですね」
さらに、公の場で我が子を厳しく注意する人は、子どものことよりも、「自分はきちんとしつけをしている」という他者へのアピールを無意識にしてしまっている可能性もある。
子どもを叱るのが必要な時はもちろんあるが、問題なのは、一人で子育てしていてストレスが溜まっている場合だと櫻井先生は指摘する。
「例えば、ご主人との関係がよくなくて、イライラしている時。日頃溜まっている鬱憤をどこかにぶつけないといられなくなる状態を『スケープゴート』というのですが、イライラが子どもに向かうケースがよくあります」
要は、やつ当たりということ。一番距離感が近いだけに、ちょっとした粗相や自分の思い通りにいかないことで、怒りのスイッチが入ってしまうのだ。
普段なら許せることも、自分がイライラしているために、許せなくなって、子どもにあたってしまう。つい怒ってしまうのは子どものせいじゃなく、自分の精神状態のせいなのかもしれない。
子どもに怒ってしまった時は、怒る前の自分の気持ちがイライラしていなかったか、普段も同じことで怒っているかどうかを見直してみる必要がありそうだ。
(田幸和歌子+ノオト)