でも、そもそも学習机って必要なの? 子どもの自立心と学習机の関係性について、植草学園大学発達教育学部の小川晶准教授は次のように話す。
●学習机は必ずしも必要ない?
「子どもの成長において、学習机がなければいけないとは思いません。わざわざ学習机を用意しなくても、リビングのテーブルで良いと思います。むしろ『どこでも学習できる環境を整えること』や『学習机に学習をゆだねないこと』が大切だと思います」(小川先生 以下同)
学習机に学習をゆだねてしまうこととは、「子ども部屋に学習机を置き、『自分の部屋で勉強しなさい』と言うことだそう。
「親が『勉強しなさい』と言ったからといって、勉強する子にはなりません。それよりも、子どもは親が家で本を読んでいるのか、テレビをずっと見ているのかなど、日頃の行動に影響を受けます。また、親が子どもの近くにいて、安心感を得られるほうが、子どもの自発的な行動につながります」
●子どもの呟きに応じられる場に学習机を置こう
もし学習机を購入するとしても、どんなものを買うかよりも「置く場所」が大切だとか。
「特に学童期の勉強は、発達段階的にも学習内容的にも、ひとりで集中して行うというより、何かブツブツ呟きながらやるほうが多いです。そのため、ひとりで部屋にこもるより、何か音がしていて安心できる環境に学習机を置くほうが良いですよ」
ただし、親が励ましたり、子どもに張り付いたりして勉強を見てあげる必要はない。ときどき「できた?」と声をかけ、「めんどくさい!」という子どもの呟きがあれば「そう。面倒くさいんだ~」と相槌を打ってあげるだけで十分だそう。
「子どもが宿題に取り組んでいるとき、お母さんは雑誌を見ていたり、お父さんはPCを開いたりして、その空間に一緒にいてあげるだけでも良いと思います」
親が心がけたいのは、子どもにいかに勉強させるかではなく、子どもとの時間を共有すること。
そうした親子の関係性は、良い学習机を与えることよりもずっと、子どもの学習意欲を高めることにつながるようだ。
(取材・文:田幸和歌子 編集:南澤悠佳/ノオト)