夫婦の性生活に関するニュースは、こうして時折目にします。しかし、そのたび「だったらどうすれば良いのだろう」と思うのが正直な気持ち。こちらが求めても、相手にその気がなければレス解消はできず。また、そもそもセックスが無いからと言って夫婦関係が悪いわけではなく、なかには「もう無い方が良い」というママの意見もちらほら。
夫婦間で“なきゃ”いけないものなの? 産婦人科医で一般社団法人性と健康を考える女性専門家の会・会長の早乙女智子さんにお聞きしました。
たかがセックス・されどセックス 健康効果も見逃せない
「セックスレスの問題はあくまでも、どちらかが不満がある場合に発生する問題ですから、おっしゃる通り、双方がもういらないと感じているなら何の問題もありません。ただ、性とは『たかがセックス、されどセックスで』、連帯感や安心感、満足感など様々な効用があり、健康長寿の秘けつでもあるようです。なければならなくはないけれど、あればラッキーという感じでしょうか」(早乙女さん、以下同)
セックスによって分泌される通称・愛情ホルモン オキシトシンには、その他、ストレスの緩和や免疫力向上などの効果も期待できるという調査結果もあるというから、単に夫婦関係改善だけでなく、健康面のメリットを見てもメリットは多そうです。
夫婦のセックスレスの原因は加齢によるホルモン変化だけではない
ちなみに、夫婦がセックスレスになる要因として、男性と女性のホルモン分泌のピークの違いがあると聞いたことがある人も少なくないでしょう。男性は10代後半から20代に男性ホルモンの分泌が盛んに、女性は女性ホルモンのひとつであるエストロゲンが30代後半から減少することによって、それぞれ性欲が高まりがちということですが、ともすればセックスレスの理由は年齢とタイミング?
「男性の性欲は10代後半から20代、女性は30代後半からと言われていますが、もちろん個人差もあります。また、単純な性欲以外の要因もあります。婚姻届けを出した後、同居を始めた時、妻が妊娠・出産した時やその後、夫の不貞が発覚した時、どちらかの体形が変わった時、子どものことで意見が合わない時、家事分担の不公平感がある時など…。性は大脳が喜ぶ作業なので、性ホルモンだけに単純化することはできないでしょう」
年齢は一因ではあるものの、それがすべてではなく、環境や互いの関係性に依るところも大きいそうです。
やっぱり、夫婦ともにお互いを求めあいたくなるよう工夫し続けることが重要そうですが、新婚時代のように好きであり続けるというのは、なかなか難しいような…。早乙女先生は、次のようにアドバイスをくれました。
「目新しさや容姿を重視すれば、飽きるのは早いでしょう。どこまでイケメンでも美人でも、3日で飽きるとも言われます。逆に、不細工は3日で慣れるとも…。問題は、性行為とは何をすることなのかの定義次第だと思います。相手を癒し高め合うことだとしたら、飽きることはないでしょう。食事と同じで、もちろん工夫は必要ですが、ご飯と味噌汁の他にどのようなおかずを用意したら食事に満足できるのか、人生はそのようなものだと思います。これも男性、女性の差はありません」
セックスを特別視せず、夫婦間に起こる当たり前の行為と考え、その時相手はどうすれば喜ぶのかを意識する。食事のように、相手の気持ちを汲み取り行動することが、セックスレス解消の第一歩になりそうです。
(文・団子坂ゆみ/考務店)