トラブルを起こす子どもへの対処とは

トラブルを起こす子どもへの対処とは

第4回 子が原因のご近所トラブル 正しい解決法は?
日頃からしっかりとしつけをしているつもりでも、子どもが小さいうちはなかなか言うことを聞いてくれず、周囲に迷惑をかけてしまうことがあります。騒音やマナーなど、物事の分別がつかない年頃の子どもの行動が原因でトラブルが起きた時、親はどのように我が子を叱り、理解させればいいのでしょうか? その向き合い方について、横浜心理ケアセンター代表でカウンセラーの椎名あつ子さんにお話を聞きました。

「叱る」と「怒る」は違う

「子どもがトラブルを起こしたときの注意の仕方ですが、お母さんには『叱る』と『怒る』は違うということを理解していて欲しいと思います。大きな声を張り上げて怒っているお母さんは、とても感情的で言葉遣いも悪いんですね。子どもへの注意よりもお母さん自身が、周りに迷惑を掛けて“自分が恥ずかしい思いをした”という考えになってしまうから、そうした態度になってしまうのだと思います。そうではなく、きちんと落ち着いて『どうしてこんなことしたの?』というように、子どもに問いかけることが大切です。

たとえば、家のなかで走り回るのを止めない子どもに対して、『何で静かにできないのか』とか『足音が周囲に迷惑になってしまうので、走り回ってはいけない』ということだけを伝えるのではなく、なぜ走りたくなるのかという根本の理由を、まずお母さんが考えることから始めていただきたいと思います。そのうえで冷静に言い聞かせ、理解させないといけません。最終的に、『自分がやっていることが本当に悪かった』と子どもが素直に思えているかどうかが大事です」(椎名さん 以下同)

親の感情を優先するのではなく、子どもの目線に立ち「自分のふるまいの何がいけないのか」を本人にしっかり分からせることが必要なようです。ちなみに、小さないたずらをしてしまうのは、子どもにとってごく自然なことなのだそう。

トラブルを起こす子どもへの対処とは

社会性は成長するにつれ自然と身につく

「小学校に入るまでくらいの子どもは、お菓子やおもちゃを人に分け与えるまたは、貸してあげるという感覚が乏しい状態です。そのため、分ける貸してあげるという行為は小さい子どもはストレスなんです。何かを隠したり物を壊してしまうというのは、独占したいという子どもらしい感情の表れなのです」

そうした感情は成長していくにつれて落ち着きをみせ、少しずつ社会性を身につけていくものなのだそう。ただ、成長しても親をはじめ周りの言うことをなかなか聞かない場合は、「発達障害」の可能性もないとは言い切れないようです。

「たとえば、注意してもなかなか落ち着かず、動き回るのを止めない子どもは、ADHDという多動性の障がいの可能性があります。この場合は、落ち着きなさいと言ってもなかなか落ち着けるものではありません。ほかにも、物に執着してしまうアスペルガー症候群の場合は成長しても人に物を譲ることができずに、揉めてしまうことも多いです」

他の子はできるのになんでできないの…と比べてしまうことは、子どもにとって心の傷になってしまうとか。しつけのしにくさや育てづらさを感じたら民間のカウンセリングや小児科医に相談してみることも考慮した方が良さそうです。
(文・末吉陽子/やじろべえ)

【取材協力】

椎名あつ子
椎名 あつ子
横浜心理ケアセンター代表 心理カウンセラー
2000年にカウンセリングルーム「横浜心理ケアセンター」を設立。 海外駐在でのさまざまな経験を活かし、治療目的のカウンセリングを中心に、特に、親子や夫婦などのファミリーカウンセリングを得意とする。その他、企業向け講演や従業員支援プログラム(EAP)なども行い、各種医療機関や弁護士と協力体制のもと、多種多様な心の問題に対応している。 横浜心理ケアセンター 住所:〒231-0023 神奈川県横浜市中区山下町256-609 Tel:045-226-9733
2000年にカウンセリングルーム「横浜心理ケアセンター」を設立。 海外駐在でのさまざまな経験を活かし、治療目的のカウンセリングを中心に、特に、親子や夫婦などのファミリーカウンセリングを得意とする。その他、企業向け講演や従業員支援プログラム(EAP)なども行い、各種医療機関や弁護士と協力体制のもと、多種多様な心の問題に対応している。 横浜心理ケアセンター 住所:〒231-0023 神奈川県横浜市中区山下町256-609 Tel:045-226-9733