マンガ『彼女のいる彼氏』の作者・矢島光が語る恋愛スイッチの入れ方
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マンガ『彼女のいる彼氏』の作者・矢島光が語る恋愛スイッチの入れ方

恋愛シーンで自分に自信を持つには? 
大手IT企業(株)サイダーエイジ・ジャパンを舞台に、主人公の小泉咲をめぐるこじれた恋愛模様や、仕事に奔走する姿を描いたマンガ『彼女のいる彼氏』。タイトル通り、二股という一筋縄ではいかない恋愛を題材に扱っているところや、仕事で四苦八苦する描写が反響を呼んでいます。

ネットでは「この恋愛事情、心当たりありすぎる!」「こんなふうに仕事がデキる人になりたい!」「こんなデキる男と付き合いたい!」という女子たちの共感と羨望の声が。

そんな『彼女のいる彼氏』の作者・矢島光さんに、同作の裏話、そして主人公・咲のような、変わりたいのに一歩踏み出せない“いもむし女子”の恋愛について独自の見解をお聞きしました。

■『彼女のいる彼氏』が生まれたきっかけ

-マンガを描きはじめたきっかけを教えてください。

「りぼんっ子だったんですけど、種村有菜先生が好きで。『イ・オ・ン』の扉絵がすごくキレイだから、私もこれをやりたいと、小学校3年生のときからノートに描いていました。

編集さんにはいろんなダメ出しをされるのですが、一方で、テンポがいいとか、マンガにおける運動神経がいいなどと褒められましたね。これは小学生のときに培ったものかなと思います」

-では、小3のころからずっと漫画を?

「いえ、中高がバトントワリング部で365日練習だったので、全然描けなかったんです。その時期に画力が伸びるはずなので、描けなかったことは悔やまれますけど。大学でマンガ描きたいんだったって思い出して再び描きはじめました」
-『彼女のいる彼氏』はどういう経緯で描きはじめることになったんでしょうか。

「編集さんの助言ですね。私は恋愛漫画を描くつもりは全然なかったんです。最初は、自分はギャグが向いていると思っていたので、そちらを描いていましたね。ちょっとなんだか恥ずかしいじゃないですか、恋愛マンガって。だから編集さんに言われるまで描こうと思わなかったんです」

-若い女性がターゲットなのかな、と思っていたんですが、実際にはどの辺りの層に向けて執筆されていたのでしょうか。

「ROLAというサイトで連載していたので、20代後半から30代の働く女性をターゲットにしていました。でも、Webってみんな読めるじゃないですか。男性にも読んでもらえるように、途中で仕事パートは丁寧に描きました。徳さん(咲の同期・PRプランナー。少しチャラいがデキる男。女性の扱いには慣れている)の活躍する仕事パートは、男性からの感想が多かったですね。『すごくかっこいい』とか、『俺も徳さんみたいになりたい』って言ってくれてました。

女性からは咲(いもむし女子要素あり)と佐倉(咲の後輩、有能なデザイナー。草食男子)のイチャイチャを見せてくれっていう要望が多くて。やっぱり女子はみんなラブが読みたいんだなと感じました」

■恋愛ご無沙汰女子はどうしたらいい? 矢島さん的見解

-「いもむし女子の恋愛」について、矢島さんはどのように捉えていらっしゃるのでしょうか。

「まず、自分もいもむし女子要素が往々にしてあることは自覚しています、と前述した上で、申し上げますね(笑)。いもむし女子は私の周りにもいるんですけど、やっぱり受動的かなと思います」

-咲さんも受動的ですよね。そういう「待ち」のスタンスで自分から積極的にいけない「いもむし女子の恋愛」から卒業するにはどうしたらいいんでしょう?

「自分の経験則から、思うに、男友達といっぱい遊ぶことは大事かなと。それが恋愛でなくてもいいんです。遊ぶだけでいい。一念発起して、いもむし女子のフェイーズから脱しようと思うと空回りすることが少なくないので……。

あとは、やれるところからオシャレをすること。普段からキメるのはしんどいかもしれませんが、せめてデートのときくらいは!」
-やっぱり見た目は大事ですか?

「私は、自信を持つことは生活する上で大切なことだと考えています。だから、メイクやオシャレをすることで、手っ取り早く、ある程度の自信は持てるからするべきかなと。

ルミちゃん(咲の同僚で友だち。キラキラ女子)のモデルになった子は、『お化粧が自分のスイッチだから、すっぴんの人がいつスイッチをオンにしているのか不思議だな』と言っていましたね」

■世の中は二股だらけ!? リアルな恋愛事情

-同作では、咲には気になる異性が2人いて、どちらも彼女がいるという設定ですが、どうして二股という設定にしたのでしょうか。

「大人になるにつれて、あまり正統派とは言えないような恋愛を目にすることが増えました。不道徳な恋愛がスタンダードなのか思ってしまいそうな時期もあったほどです。それなのに、恋愛漫画っていつも王子様がまっすぐな気持ちを伝えてくれるものが多いんですよね。それってリアルじゃない。だから私は少なくとも自分の周りのリアルな恋愛を描こうと思ったんです」
-矢島さんご自身の恋愛についてお聞かせください。

「連載中は忙しくて、正直それどころではありませんね。隔週連載だと、10日間は作画、4日間はネームで、10時~0時で働いていましたし。忙しいと恋愛に気持ちが向かないんですよね。それはもうカサカサで、誰かと会える状態じゃなかった。だけど、連載が終わってから『彼女のいる彼氏』の担当さんに『仕事と恋愛は両方サボっちゃいけない! 彼氏は作ってください!」と言われました。なので、それからは意識して恋愛するようにしています」
(C)矢島光
-じゃあ今彼氏は……?

「います」

-でもそんなにご多忙で、一体どうやって出会うのですか?

「フリーランスの友だちとよく呑んでいるんですけど、その子が結構パリピなので、私を外に引っ張り出してくれて、そこで出会います。あと既婚者の友だちがいるといいですよ。自分が恋愛の一線から退いているから、いろいろ世話を焼いてくれます!」

-その経験が作品に活かされたり?

「恋愛においては、不幸にならないとマンガのネタにはならないと考えているので、今のところはネタになる要素を冷静に探している段階です。ただ幸せなことを描いたっておもしろくないじゃないですか。なので今の恋愛がネタになるのは不幸になったときです(笑)」

■自分を好きになるには“自分を気に入ること”が大事

(C)矢島光
-ちょっぴり自分に自信がない……そんないもむし女子は多いと思うのですが、どうやったら自分のことを好きになれると思いますか?

「そんなに頑張らなくていいんじゃないかな。いもむしな自分を受け入れて気に入っちゃえば楽しいし。とは言え、努力して成果が出ないと自信がつかないのは難しいところですよね……!」

-ついつい、周りの評価を気にしてしまって、ありのまま生きることができなくなっている子も多いと思うんですが……。

「私たちアラサーの年代ってちょうど結婚ラッシュじゃないですか。そういう状況下で『結婚ってしなくちゃいけないものじゃないのに、次は誰が結婚するんだろうって、競争みたいになってるのが生き辛い』ってしんどくなってる友達がいて、その言葉には私も深く共感しました。

私自身は、結婚はタイミングと勢いと運だと考えているので、焦って結婚するくらいなら、自分がやりたいことをやって、たまたまその延長線上で一緒に生きやすそうな方がいれば……くらいに思ってます」
-最後に、次回作について聞かせてください。

「7月くらいにはバトンをテーマにした漫画が始まります。『スラムダンク』が好きだったので、そんな明るくて楽しいバトン漫画にしたいです。

あとは……今まであまり興味がなかったんですけど、出産を経験できたら嬉しいです。自分なりの子育て漫画を描いてみたいので」
仕事でも恋愛でも自信はなかなか持てない、そんないもむし女子たちに勇気をくれる矢島さんの言葉の数々が聞けました。次回作も楽しみにしております!

(ふくだりょうこ+編集/藤田佳奈美)
アリシー 編集部
アリシー 編集部
アリシー編集部は、30代を目前に漠然とした不安を抱くも、なかなか一歩前に踏み出せない女性(=いもむし女子)に向けて、いつもの日常がちょっと豊かになるようなコンテンツを提案しています。きっと自分らしい生き方を見つけるきっかけになるかも。
アリシー編集部は、30代を目前に漠然とした不安を抱くも、なかなか一歩前に踏み出せない女性(=いもむし女子)に向けて、いつもの日常がちょっと豊かになるようなコンテンツを提案しています。きっと自分らしい生き方を見つけるきっかけになるかも。
女性向けに情報を発信するWebメディア「アリシー」は、2019年6月13日をもってサービスを終了しました。グルメやファッション、マンガ・エッセイなどアリシーの一部コンテンツは、姉妹サイト「ママテナ」に移管しております。引き続きお楽しみください。
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