離婚経験者が思う、結婚してくれない人と恋愛する意味。
この記事は「アリシー」から提供を受けて掲載しています

離婚経験者が思う、結婚してくれない人と恋愛する意味。

第7回 20代の離婚白書
【20代の離婚白書vol.7】

仕事が楽しい20代後半。葛藤や苦悩も伴うけれど、だんだんできることが増え、いつしか仕事が生きがいになっていった。その過程で、結婚生活のプライオリティが二番手に下がっていく。仕方がないよね、生きていくために頑張って働かなくては。でも、そこまでして私は一体誰と生きていきたいんだっけ?

パートナーに対して、仕事に捧げた情熱と同じ熱量を持ってして接することができなかったことがトリガーかもしれない。10年も一緒にいたのに、同じタイミングで同じ気持ちでいられなかった。30歳を目前にして、私たちは離婚した。
来月で離婚してから1年が経つ。

そして今私は、同じ気持ちを共有でき、とても愛情深く、だけど結婚する気がない人のことを好きでいる。

好きな人のことで毎日怒ったり、嫉妬したり、心が苦しい。既婚時代は悲しみに明け暮れ、今は怒りを飼いならすことに四苦八苦。私はいつまでひりついた気持ちを抱えながら生きていけばいいのだろう。

早く報われたいのに、相変わらず試練が多い人生だとつくづく思う。
だけど、仕事以外にやりがいや情熱を感じているのは、とても久しぶりだ。

--この連載は、私が20代で経験した結婚・離婚を糧にするための備忘録です。まだ結婚の予定はないけど、いつか結婚したいと思っている同世代の女性にも読んでもらえたら、と思い筆をとっています。

連載7回目となる今回は、「結婚してくれない人と恋愛する意味」について話したいと思います。

■結婚は幸福の担保にならない、結婚にとらわれない人生を。

まずは少し昔話からさせてください。

元旦那さんは、仕事とプライベートをしっかり線引きしたいタイプ。というのも、彼は結婚と同時に転職したばかりで、仕事でやりがいを感じるフェーズではまだなく、新生活に日々疲弊していくばかり。家では安らぎを求めていて、とても精神的な余裕はなかったように思えます。

一方私は、全てを共有したいタイプ。自分の仕事の話ばかり彼にしていました。今思えば、新境地で頑張る彼の心境を慮り、仕事の話は控えるべきでした。でも、私は仕事ばかりしていて、仕事の話以外話すことがほとんどなかった。

おわりの予感が漂い始めた頃には、私が話したい時は許可制で会話をはじめる始末。最終的には元旦那さんの背中に向かって勝手に話をしていました。

言うまでもないですが、こんな調子だから体の関係はあっという間に消滅。平然として私の下着をたたむ彼を横目に、胸を引き裂かれそうな気持ちでいっぱいでした。仕事も結婚もどちらの充足も手に入れたかったけど、それはとても難しかった。

私を含め、多くの人は、仕事も恋愛も友達も趣味も女性としての幸せ全般、全てを手に入れたいし、全ての項目において幸福でありたい欲張りな生き物なのではないでしょうか。その傲慢さはとても人間らしい。

ですが、働き盛りのアラサー女性にとって、その全ての欲求を満たそうとするのは並大抵のことじゃない。全てのバランスをとりながら生きていくのは、多分できない。優先順位がついて、どれかはおざなりになる。私の場合、仕事が一番で、恋愛はもう少し後ろだ。
忙殺される日々の中でよくあるのは、行きたいところや食べたいものがたくさんあったはずなのに、それがいったい何だったのか思い出せなくなること。
四季の彩りや移り変わりも、日が沈み外がもう暗くなっていることも、気づかないうちに1日が終わっていくこと。
五感のどれかをひとつずつ、ゆっくり失っていっているような感覚……。

そのうちに余裕がなくなって、周りに優しくできなくなる。おそらく甘えからか、大切な人ほど傷つけてしまう。仕事に生きる人ほどそうなりがちだ。

元旦那さんの当時の心境も、おそらくこんな感じだったのかなと、今になってわかるようになりました。なぜなら私も今、こんな状態だから。

そんな中で、性別も年齢も生まれ育った環境も全く違う人間ふたりがうまくやっていくことはとても難しく、とても奇跡的なことなんだと思います。

うまくやっていくということは、喧嘩しないことや傷つけ合わないことではありません。うまくやっていくためにと思って我慢して、笑って受け流していくことのほうが、結果的にうまくいかなくなる。それは離婚した私がそうだったから身にしみてわかるんです。

うまくやっていくために摩擦はつきもの。摩擦はお互いの関係を諦めていないからこそ生じるもの。喧嘩は消耗するけど、分かってもらいたい、本当はこうしたいという願望のぶつけ合いで、関係をより良くするための作業でもあったりします。
私は今の恋愛で、元旦那さんと結婚していた時には想像つかないくらい、嫉妬と怒りにまみれてたくさんの摩擦を起こしています。

思い通りにいかないと癇癪を起こすようになってしまって、私はもうすぐ30歳になるというのに、どんどん赤ちゃんのように退行していき、感情のコントロールができないでいる。心は丸裸。こんなに激しい感情が、私にあっただなんて。

それが正しい恋愛感情なのかはわからないのですが、少なくとも、私は結婚していた時より高温の情熱を持ってして相手を思っていることは確かです。

たとえ、私の好きな人が結婚する気がない人だとしても、うまくやっていこうと摩擦しながら情熱の火を灯すことができるのはとても幸せなことなんだと思っているし、そう思える貴重な相手に巡り会えたと思っています。結婚しない人と恋愛する意味を、私はここに見出しています。

だって、ぶつかり合って向き合うって、誰とでもできるわけじゃない。ぶつかり合って、それで終わりの人もいる。私は元旦那さんとぶつかり合うことすらできなかったらから。結婚できない可能性が高い恋愛をしている、私の強がりでしょうか。

離婚して思うのは、結婚は幸福の担保にはならないということ。幸せが手に入るわけではないし、ましてやゴールではない。だからこそ、摩擦しながらもうまくやっていこうとお互い思いあえるかどうかのほうが、結婚してくれるかどうかより重要なんじゃないかな。

■自分をご機嫌にする恋愛、葛藤が多い恋愛、どちらが正?

恋愛や結婚でうまくやっていくためには、摩擦はつきもの。そうは思っていても、今の恋愛は極端に怒りの感情に支配されていて、穏やかな気持ちでいられることが少なくなりました。

多分、ゴール(=結婚)が見えなくなってしまったから。

私も彼と同じく結婚願望はほとんどないのですが、ない者同士で恋愛する意味を見失う時がたまにあります。私たちは一体、何に向けて摩擦を繰り返しているのだっけ。深い愛情に憎悪はつきものだけど。でも、一緒にいる時は怒っているより笑っているほうがいいのに。

私はアンガーマネージメントの本を読んで、相手にイラッとしても脊髄反射的に言い返すのをやめて6秒待ってみたり、運動で憂さを晴らすべくボディコンバットを習い仮想敵を殴ったり、私なりにいろいろと工夫をして感情と向き合っています。

それでもまだ私は自分の激しさを抑えきれないまま。好きな人に嫉妬や怒りをむき出しにして、それがまるで自ら嫌われにいってるみたいで、たまに自分が嫌になる。

だけど、怒りや嫉妬は向上心の表れだと最近思えるようになりました。

だってそれは、自分が欲しいものを我慢しようとして、それを手に入れるべく、必死にもがいて、なんとかしようと努力している状態に起きる感情だと思うから。だから私は本を読んで勉強しようとしたり、ボディコンバットを始めたり、新しいことに挑戦できたわけだから。怒りや嫉妬がなかったら多分やらなかった。

嫉妬が私を「もっと上へ!」と突き動かすし、きっと嫉妬が今の私を形成したんだと思います。恋の痛手も不幸な結婚も、全ての負の感情が原動力になっている。今こうしてこの原稿を書き進める力ですら。

そのうち怒りもコントロールできるようになったら、私は今よりご機嫌になれるのでしょうか。ご機嫌な恋愛がしたいけど(ご機嫌な結婚があったらしてみたいけど)、今の私は向上していたい。嫉妬が私を磨くのだから、今は安心を手に入れ向上心を忘れてしまうよりは、これでいいのかもしれない。機嫌がいいだけの恋愛や結婚は、きっとだらしがない私をダメにする。
安心が手に入って、情熱もあって、努力も続けられて、ご機嫌でいられる。そんな、私にとって夢のような結婚があるなら、結婚してみたい。でもまだ、私はその段階ではないから葛藤しているんだと思う。

未熟な私だからといって、こんなにストイックに思う必要はないかもしれないけど、そう思うことで怒りや嫉妬を私の一部として受け入れられそうな気がしてる。

このように、私は自分について考察し、向上できる恋愛をしているから、結婚が見えない恋愛をしていられるのだと思います。そして、不機嫌になりがちな私と向き合ってくれている好きな人に、本当に感謝をしたい。

だから結婚できなくても、私はこれで十分幸せ。このありがたみをきちんと好きな人にも還元できるようになりたい。そのためには、結局私がご機嫌でいることが大切だったりするのかな。

私の努力よ、早く実を結べ。
毎日、そう思っています。

(藤田佳奈美)
藤田佳奈美
藤田佳奈美
創作ダンスや女子ひとり飲み、七号食ダイエットなど、興味はあるけど苦手なことに果敢に立ち向かうスタンスで頑張るのがモットー。 ジャンル問わない雑食系編集ライターでもあるが、最近は若者の離婚や恋愛離れなどの男女問題や、オカメインコ愛について語らせると暑苦しくなる。 だいたいマガジンハウスにいる。だいたい隅田川沿いで飲んでる。
創作ダンスや女子ひとり飲み、七号食ダイエットなど、興味はあるけど苦手なことに果敢に立ち向かうスタンスで頑張るのがモットー。 ジャンル問わない雑食系編集ライターでもあるが、最近は若者の離婚や恋愛離れなどの男女問題や、オカメインコ愛について語らせると暑苦しくなる。 だいたいマガジンハウスにいる。だいたい隅田川沿いで飲んでる。
女性向けに情報を発信するWebメディア「アリシー」は、2019年6月13日をもってサービスを終了しました。グルメやファッション、マンガ・エッセイなどアリシーの一部コンテンツは、姉妹サイト「ママテナ」に移管しております。引き続きお楽しみください。
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