離れた場所にいる人とでも、レシピを介せばコミュニケーションができる〜リュウジさん×つくりおき食堂まりえさん対談・前編〜
この記事は「アリシー」から提供を受けて掲載しています

離れた場所にいる人とでも、レシピを介せばコミュニケーションができる〜リュウジさん×つくりおき食堂まりえさん対談・前編〜

\ あの料理研究家が対談! /
リュウジさんとつくりおき食堂まりえさんのグルメインフルエンサー対談が実現!
今話題の料理研究家で、アリシーでも独創的なレシピを公開してくれているリュウジさんと、つくりおき食堂まりえさん。簡単だけど美味しくできると評判のレシピは、ちょっぴり料理が苦手なアリシー女子にとっての教科書にもなっています。そんな二人が料理の道を歩み始めたのには、一体どんなきっかけがあったのでしょうか? 気になる過去のお話から、レシピづくりへのモチベーションの高め方に至るまで、じっくりと伺いました。

■「つくりおく」「つくりおかない」それぞれのコンセプトの違い

——リュウジさんとまりえさん、以前からお知り合いだったそうですね。

つくりおき食堂まりえさん(以下、まりえ):実は以前、リュウジさんのレシピをアレンジした料理をブログに載せたくて、私から連絡をとったことがあるんです。

リュウジさん(以下、リュウジ):確か無限キャベツのアレンジでしたよね? 「キャベツをもやしにアレンジしたいのですがいいですか?」と連絡をくださって。自分のレシピを使ってもらえるのはすごく嬉しかったし、わざわざ律儀な方だなあ……、と思ったのでよく覚えています。

まりえ:同じようにTwitterでレシピを発信している身としては、バズを連発しているりゅうじさんに憧れを持っていたんです。

リュウジ:ありがとうございます。Twitterをレシピ発信のためのツールに使っているという点では共通していますけど、僕たちの料理のコンセプトは全然違いますよね。

まりえ:そうですね。私は定番メニューが基本ですけど、りゅうじさんのレシピって、味の想像がつかない意外な食材の組み合わせとかアレンジが多い。アボカドのパスタとか、ズッキーニのカルパッチョとか、すごく発明的で……。

リュウジ:いろいろやってみたいんですよね。まりえさんの「つくりおき」に対して、僕のレシピは基本「つくりおかない」んですよ。一人暮らし向けに考えているので、その場で作ってその場で食べるという考え方。まりえさんのレシピは保存がきくので、どちらかというと家族向けですね。

■引きこもり生活から料理の道へ

——確かに対照的かもしれません。そもそも、お二人が料理研究家になろうとしたきっかけってなんだったんですか?

まりえ:大学入学を機に一人暮らしを始めて、そこから料理を作るようになったんです。遊びに来た友達にもしょっちゅう振舞っていました。大学卒業後に、フランスへ1年間留学をする機会があったんですけど、安くて美味しい肉や野菜、チーズに触れて、ますます料理が好きになって……。

リュウジ:そこからシェフを目指したのではなく?

まりえ:ではなく、帰国後は普通に会社員として就職しました。その後結婚してからも料理愛は冷めやらず、妊娠して産休がとれたのをきっかけに料理ブログを開設して、そこから毎日更新し始めたんです。育児アカウントとして使っていたTwitterで料理の投稿を続けていたら、少しずつバズるようになりました。

リュウジ:なるほど、そうだったんですね。僕が料理に目覚めた経緯を話すと、結構過去に遡る事になるんですが……。高校時代、僕、引きこもりだったんですよ。

——意外な一面ですね……!

リュウジ:そうでしょ? 半分ニートみたいだったので、働く母親の代わりに料理を始めたんです。最初はパスタを茹でるくらいだったんですけど、段々はまっていって。そんな頃、友達の誘いでピースボートの世界一周旅行に出たんです。そこで世界中の料理を食べて、「やっぱり日本の料理って素晴らしいな」と思って。

まりえ:イタリア料理とかじゃなかったんですね。

リュウジ:もともとイタリアンが好きだったので、僕も意外でした。やっぱり日本人の舌には日本料理が合っているみたいですね。帰国後はいくつか職を転々として、高齢者専用分譲マンションの事務職に就きました。そこでいつの間にか、僕が料理を作ることになったんです。

まりえ:事務職なのに、料理を?

リュウジ:マンションに入っているレストランがおいしくなくて、入居者から不評だったんです。そこで僕に白羽の矢が立った。「お前、料理できるんだよな?」
ということで、月に2回、夜のバータイムに僕が料理をつくることになったんです。

それが口コミで広がって、いつしか大盛況になりました。僕の著書「お手軽食材で失敗知らず! やみつきバズレシピ」(扶桑社)に掲載されているメニューの多くは、この仕事のために開発されたものなんです。代表作の無限キャベツも「一度に40人分の、しかもお年寄りでも食べられる柔らかいキャベツ料理を作るにはどうしたらいいか?」という悩みから発想を得ています。

■見えない場所にいる人に自分のレシピが届く喜び

——そんな背景があったのですね。レシピを考えられる時って「誰かに食べてもらいたい」というモチベーションがやっぱり強いのですか?

リュウジ:もちろんそれはありますし、「どんな食材にも使い道があることを証明したい」ということがモチベーションになっていたりもします。僕は野菜が嫌いで、本当はずっとラーメンを食べていてもいいくらいなんですけど、そんなわけにもいかない。

「じゃあどうやってこの野菜を食べようか?」そう考えた時に、ちょっと濃い目の味付けをしてみようとか、他の食材と合わせたら青臭さや苦味が消えるかな? とか。そんな実験を、あらゆる食材で試したいという気持ちですね。

まりえ:私の場合、初めはやっぱり「自分の子どもが食べてくれたらいいな」という気持ちでした。ブログを始めてからは、目の前にいる人から、見えない場所にいる人にまで広く届けることができるようになったのがすごく嬉しかった。彼氏や旦那さんが喜んでくれたとか、好き嫌いのある子どもが食べてくれた、とか。

——家族や友人、あるいは自分の好奇心が原動力になって始められた料理が、少しずつ「仕事」になっていく過程で、葛藤はありませんでしたか?

まりえ:現状では、純粋に自分のレシピが広まることに対する喜びの方が大きいですね。最近テレビに出る機会もあるんですが、自分のレシピを映像で見てくれた人が、ちょっとした発見や驚きを感じてくれたらいいな、と思っています。

リュウジ:僕は自分が「料理研究家」になったことで、料理の話がいくらでもしていられることが嬉しいです。昔は料理について熱く語っていると「でも別に料理が仕事の人じゃないですよね……?」って引かれてしまうことが多かった。でも今は心おきなく語れるし、発信もできる。これから僕は“自炊文化”をもっと広めていきたいんです。料理って老若男女問わずに使えるコミュニケーションツールだから、みんなが自炊をするようになったら、世の中もっと面白くなると思うんですよね。
〜後編へ続く〜
(波多野友子+アリシー編集部)
アリシー 編集部
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アリシー編集部は、30代を目前に漠然とした不安を抱くも、なかなか一歩前に踏み出せない女性(=いもむし女子)に向けて、いつもの日常がちょっと豊かになるようなコンテンツを提案しています。きっと自分らしい生き方を見つけるきっかけになるかも。
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女性向けに情報を発信するWebメディア「アリシー」は、2019年6月13日をもってサービスを終了しました。グルメやファッション、マンガ・エッセイなどアリシーの一部コンテンツは、姉妹サイト「ママテナ」に移管しております。引き続きお楽しみください。
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