2012〜2013年の流行以来、再び感染者が急増している「風疹」。はしかとよく似た疾患ですが、妊娠中の女性がかかると赤ちゃんに悪影響を及ぼす可能性もある、とても危険な病気です。
では、妊娠中または妊娠を希望している女性以外は気にしなくてもよいのか……というと、そういうわけではありません。今回はがん・感染症センター都立駒込病院の今村顕史先生に取材し、風疹の基礎知識と、私たちが風疹とどう向き合えばいいかについてお話しいただきました。
アラサー独身女性も決して他人事ではない風疹の話、ぜひご一読ください!
では、妊娠中または妊娠を希望している女性以外は気にしなくてもよいのか……というと、そういうわけではありません。今回はがん・感染症センター都立駒込病院の今村顕史先生に取材し、風疹の基礎知識と、私たちが風疹とどう向き合えばいいかについてお話しいただきました。
アラサー独身女性も決して他人事ではない風疹の話、ぜひご一読ください!
■そもそも、風疹ってどんな病気?
画像提供/今村顕史先生(転載不可)
──風疹流行のニュースを最近よく見かけますが、風疹とはどういう病気でしょうか。
「風疹は、咳やくしゃみなどによる飛沫感染でうつる感染症です。主な症状は、発熱、発疹、リンパ節腫長など。はしか(麻疹)と似ていますが、子どもがかかると風疹のほうが経過が短く、軽症で済むことが多かったので、昔は『三日はしか』とも呼ばれていました」
──軽いはしかと捉えると、そこまで怖い病気には感じませんが……。
「そうですね。実際、成人でも軽症で済む人や、かかっても無症状のままで気付かない人もいます。重篤な合併症も非常に稀です。
ただ、怖いのが『先天性風疹症候群』です。妊婦さん、特に妊娠初期の女性が風疹に感染すると、赤ちゃんが難聴や白内障、先天性心疾患などにかかることがあります。前回の2012〜2013年の流行時には、45例の先天性風疹症候群が報告されました」
「風疹は、咳やくしゃみなどによる飛沫感染でうつる感染症です。主な症状は、発熱、発疹、リンパ節腫長など。はしか(麻疹)と似ていますが、子どもがかかると風疹のほうが経過が短く、軽症で済むことが多かったので、昔は『三日はしか』とも呼ばれていました」
──軽いはしかと捉えると、そこまで怖い病気には感じませんが……。
「そうですね。実際、成人でも軽症で済む人や、かかっても無症状のままで気付かない人もいます。重篤な合併症も非常に稀です。
ただ、怖いのが『先天性風疹症候群』です。妊婦さん、特に妊娠初期の女性が風疹に感染すると、赤ちゃんが難聴や白内障、先天性心疾患などにかかることがあります。前回の2012〜2013年の流行時には、45例の先天性風疹症候群が報告されました」
■風疹の感染力はインフルエンザの2〜5倍
──現在は、どれくらい感染拡大が広がっているのでしょうか?
「先進国では、年間50〜100人くらいしか出ない国々も増えてきており、すでに風疹が排除されている国もあります。それに対し、日本では今、毎週100人ずつのペースで風疹患者が出ています」
──なぜ日本では、そんなに多いのですか?
「風疹はワクチンで予防できる疾患ですが、日本では特に30〜50代の成人男性を中心に、子どもの頃にワクチンを接種していない人、あるいは1回しか接種していない人が多く、その層を中心に感染が広がっています。
風疹は、免疫がなければインフルエンザの2〜5倍うつりやすいという報告もあり、感染力が割と強いんですよ。潜伏期間が14〜21日と長く、気づかないうちに周りの人たちにうつしてしまうことも……。日本にはまだ風疹の免疫がない人も多いので、ある程度広がると流行を抑えられなくなってしまいます。それが今の状態です」
「先進国では、年間50〜100人くらいしか出ない国々も増えてきており、すでに風疹が排除されている国もあります。それに対し、日本では今、毎週100人ずつのペースで風疹患者が出ています」
──なぜ日本では、そんなに多いのですか?
「風疹はワクチンで予防できる疾患ですが、日本では特に30〜50代の成人男性を中心に、子どもの頃にワクチンを接種していない人、あるいは1回しか接種していない人が多く、その層を中心に感染が広がっています。
風疹は、免疫がなければインフルエンザの2〜5倍うつりやすいという報告もあり、感染力が割と強いんですよ。潜伏期間が14〜21日と長く、気づかないうちに周りの人たちにうつしてしまうことも……。日本にはまだ風疹の免疫がない人も多いので、ある程度広がると流行を抑えられなくなってしまいます。それが今の状態です」
■昔1回かかったからと言って、安心はできない
──過去に風疹にかかった人は、もう心配いりませんか?
「そうは言い切れません。本当にしっかり免疫がついていれば大丈夫ですが、昔の既往歴って意外と信用できないんですよ。
子どもがたくさん風疹にかかっていた時代は、小児科の先生が見た目で判断していたので、ほとんど風疹の検査をしていませんでした。それで『風疹らしき症状=風疹』と確定していたケースもあるので、はしかや他の疾患を間違えて風疹と診断された人も一定数いるはずです。だから『昔、風疹にかかったことがある』という人も、その既往歴が正しいとは限りません。
それから、『子どもの頃、予防接種を1回打った』という人も要注意です。1回のみのワクチン接種では免疫のつき方が弱く、徐々に下がってきてしまうので」
──時間が経つと免疫力が下がるのですか?
「はい、加齢とともに抗体が低下することがあるので、1回だけでは安心できません。そのため今は、ワクチンは2回打つことが推奨されています」
「そうは言い切れません。本当にしっかり免疫がついていれば大丈夫ですが、昔の既往歴って意外と信用できないんですよ。
子どもがたくさん風疹にかかっていた時代は、小児科の先生が見た目で判断していたので、ほとんど風疹の検査をしていませんでした。それで『風疹らしき症状=風疹』と確定していたケースもあるので、はしかや他の疾患を間違えて風疹と診断された人も一定数いるはずです。だから『昔、風疹にかかったことがある』という人も、その既往歴が正しいとは限りません。
それから、『子どもの頃、予防接種を1回打った』という人も要注意です。1回のみのワクチン接種では免疫のつき方が弱く、徐々に下がってきてしまうので」
──時間が経つと免疫力が下がるのですか?
「はい、加齢とともに抗体が低下することがあるので、1回だけでは安心できません。そのため今は、ワクチンは2回打つことが推奨されています」
■ワクチンでも、風疹を100%は防げない
──風疹の治療や予防について教えてください。
「風疹に対する特別な治療薬はありません。したがって風疹はワクチンでの予防が基本です。とはいえ、中にはワクチンを接種しても十分な免疫がつかない人もいますが……。
ワクチン接種は1回で約95%、2回で約99%の人に免疫がつきます。ただ逆に言うと、妊娠を希望する女性100人のうち1人は、2回接種しても免疫がつきません」
──そう考えると怖いですね。他に何か対策はあるのでしょうか?
「周囲の人たちが風疹を広げないように努力するしかありませんね。ワクチンを接種しても十分な免疫がつかない人もいますし、妊婦はそもそも風疹のワクチンを接種できないので、それ以外の人たちが免疫をつけて感染拡大を防ぐことが大切です」
「風疹に対する特別な治療薬はありません。したがって風疹はワクチンでの予防が基本です。とはいえ、中にはワクチンを接種しても十分な免疫がつかない人もいますが……。
ワクチン接種は1回で約95%、2回で約99%の人に免疫がつきます。ただ逆に言うと、妊娠を希望する女性100人のうち1人は、2回接種しても免疫がつきません」
──そう考えると怖いですね。他に何か対策はあるのでしょうか?
「周囲の人たちが風疹を広げないように努力するしかありませんね。ワクチンを接種しても十分な免疫がつかない人もいますし、妊婦はそもそも風疹のワクチンを接種できないので、それ以外の人たちが免疫をつけて感染拡大を防ぐことが大切です」
■妊娠を希望していない女性も、風疹と無関係ではない
──最後に、アリシーの読者層であるアラサー女子に向けて、メッセージをお願いします。
「風疹流行によってワクチンが不足してきている中で、最優先でワクチンを接種してほしいのはやはり妊娠希望の女性ですが、『今は絶対妊娠しない』という人にも、ぜひ当事者意識を持ってほしいです。
アラサー女性だったら、きっと周りに同世代の女性がいますよね。友達だったり、職場の同僚だったり。もしかしたら、そのうちの誰かは妊活中かもしれません。あるいはすでに妊娠初期かもしれません。自分が風疹にかかったら、他の女性にうつしてしまう……という可能性は十分に考えられます。
だから、周りの妊婦を守るためにも、同じ女性として、風疹の抗体があるかどうかをきちんと検査する。あるいは予防接種を2回受けたかどうか分からなければ、最初からワクチンを打つ。そうした行動をぜひ取っていただければと思います」
「風疹流行によってワクチンが不足してきている中で、最優先でワクチンを接種してほしいのはやはり妊娠希望の女性ですが、『今は絶対妊娠しない』という人にも、ぜひ当事者意識を持ってほしいです。
アラサー女性だったら、きっと周りに同世代の女性がいますよね。友達だったり、職場の同僚だったり。もしかしたら、そのうちの誰かは妊活中かもしれません。あるいはすでに妊娠初期かもしれません。自分が風疹にかかったら、他の女性にうつしてしまう……という可能性は十分に考えられます。
だから、周りの妊婦を守るためにも、同じ女性として、風疹の抗体があるかどうかをきちんと検査する。あるいは予防接種を2回受けたかどうか分からなければ、最初からワクチンを打つ。そうした行動をぜひ取っていただければと思います」
風疹の影響を受けやすいのは妊娠初期の女性ですが、その頃はまだ妊娠の自覚がなく、気づかないうちに風疹にかかってしまう人もいるそうです。また、かかったことにすら気づかず、障害のある赤ちゃんが生まれてしまうケースも……。
こうした被害は、私たち1人ひとりが当事者意識を持って行動すれば、減らすことができます。「自分には関係ない」と思わず、ぜひこの機会に風疹予防のアクションを起こしましょう。まずは抗体検査をしてみるのも、大きな一歩ですよ。
(谷村あすか+アリシー編集部)
こうした被害は、私たち1人ひとりが当事者意識を持って行動すれば、減らすことができます。「自分には関係ない」と思わず、ぜひこの機会に風疹予防のアクションを起こしましょう。まずは抗体検査をしてみるのも、大きな一歩ですよ。
(谷村あすか+アリシー編集部)
谷村あすか
東京と埼玉のはざまに住んでいる、フリーのライター・編集者。
趣味はTwitterで息子(5歳)や夫との日常を綴ること。最近ややツイ廃気味。
月1で少女漫画(別マ)を読むのをいちばんの楽しみにしている。
東京と埼玉のはざまに住んでいる、フリーのライター・編集者。
趣味はTwitterで息子(5歳)や夫との日常を綴ること。最近ややツイ廃気味。
月1で少女漫画(別マ)を読むのをいちばんの楽しみにしている。
女性向けに情報を発信するWebメディア「アリシー」は、2019年6月13日をもってサービスを終了しました。グルメやファッション、マンガ・エッセイなどアリシーの一部コンテンツは、姉妹サイト「ママテナ」に移管しております。引き続きお楽しみください。
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がん・感染症センター都立駒込病院感染症科の部長。専門分野は感染症学一般とHIV感染症。日本感染症学会理事や、感染症学会評議委員、感染症学会専門医・指導医などの資格も保有している。