突然のウトウト…眠気に逆らえない「マイクロスリープ」が危険
この記事は「アリシー」から提供を受けて掲載しています

突然のウトウト…眠気に逆らえない「マイクロスリープ」が危険

\眠気は体のSOS?/
気を抜いた瞬間、眠気に逆らえず、眠りに落ちてしまう「マイクロスリープ」をご存知でしょうか? 時間にして、数秒〜数分。ほんのわずかな間です。「フラッシュスリープ」と呼ばれる場合もあるこの症状。

今回は、国立研究開発法人、国立精神・神経医療研究センターの睡眠・覚醒障害研究部で部長を務める栗山健一先生に、マイクロスリープの原因と対策について伺いました。

■体からのSOS! マイクロスリープとは?

──マイクロスリープとはどういう症状なのでしょうか?

「文字通り、通常の睡眠より短い睡眠で、日中に生じるものを指します。周囲から見て寝ているとわかる居眠りレベルから、一見すると起きているにもかかわらず、脳の活動が著しく低下しているレベルまで、まとめてこう呼んでいます。時間にすると秒~分単位のものをマイクロスリープと呼びますよ」

──どんな時に眠りに落ちてしまうのでしょうか?

「緊張しているシーンで起こることはなく、気を抜いても問題ないシーンや気が抜ける場面に生じることがほとんどです。バスや電車の車内などで経験がある人も多いのではないでしょうか? 慣れた単純作業をしている間や、退屈な授業・会議中などにも眠ってしまうことがありますよ」

──急に眠りについてしまうのでしょうか?

「単調な作業をしている時には、突然眠ってしまうように見えることがあります。極度の睡眠不足や、重症の睡眠時無呼吸症などの疾患が背景にある場合は、急に寝入ってしまうこともあり得るので注意しましょう」

──マイクロスリープによって、トラブルに繋がる場合はありますか?

「作業や思考能力、効率の低下に関わるので、作業中のミスの原因となります。交通事故などの原因にもなるので、大変危険です」

──それは恐ろしいですね。とはいえ、「寝る」というのは体にとって悪いことばかりではないと思います。メリットはありますか?

「マイクロスリープは、脳が休息を求めるSOSサインだと考えられます。短時間眠ることで、脳の活力が回復するメリットが認められていますよ」

■無自覚の睡眠不足に要注意

──マイクロスロープはどんなことが原因でなるのでしょうか?

「多くは睡眠不足です。若い世代の人は、夜更かしして趣味に興じることも多いため、マイクロスリープを生じる可能性も高いと思われます。

不規則なシフトワークに従事している方も、睡眠不足になりやすいため要注意です。実は、自分が睡眠不足だと自覚していない人も多いと思いますよ」

──確かに知らずに睡眠不足になっていることはありそうです。この他にも原因はありますか?

「睡眠時無呼吸症などの疾患により、睡眠不足になることもありますよ。このような場合は、無自覚のことも多く、詳細な検査を受けないと原因が判明しないことも多いと思います。

また、体質的に10時間以上寝ないと睡眠不足に陥ってしまう方もいます。このような長時間睡眠者と呼ばれている方々も、寝不足になりがちなためマイクロスリープを生じやすいです」

──急に眠ってしまう病気として、ナルコレプシー(居眠り病)を思い浮かべる方もいると思います。違いはありますか?

「ナルコレプシーは、覚醒を維持するオレキシン神経系の制御不良により、突然の脱力・傾眠(睡眠発作)を特徴とする神経疾患です。寝入る時に幻覚、金縛りなどを伴ったり、笑った時や驚いた時に体の脱力が生じたりします。

マイクロスリープは神経系の異常が原因ではないので、このようなことが起きることはありません」

──寝ているという状態だけ考えると、周りの人はどちらか判断できないのではないでしょうか。

「そうですね。マイクロスリープの場合、眠ってはいけない状況で、突然眠りに入ることは稀ですが、睡眠不足が蓄積すると、ナルコレプシーの睡眠発作と似ているように見えるかもしれません。

そんな時は、寝入った直後に『強制的に覚醒させることができる』かが見極めポイントになるでしょう。ナルコレプシーの場合は耐えられないほどの強い眠気に襲われるので、直後に起こそうとしてもなかなか起きません」

■寝だめはできない! 規則正しい睡眠とランチ後の昼寝がベスト

──予防はできますでしょうか。

「睡眠不足を溜めないことが一番大切です。週末に寝だめをする習慣がある方は、ほぼ睡眠不足といえるので要注意。実は週末の寝だめにより、平日の睡眠不足を補うことはできません。ですので、毎日規則正しく十分な睡眠をとることが重要です」

──どの程度寝れば大丈夫なのでしょうか?

「5時間以下でOKな人もいれば、10時間以上の睡眠を必要とする人もいます。個人差はありますが、一般的に20代〜30代の人は、6.5〜8時間の睡眠時間が必要と言われていますよ。女性の場合は、生理前の1週間程度は女性ホルモンの影響により、眠くなりやすい期間なのも覚えておきましょう」

──どうしても眠たくなってしまう場合はどうしたら良いでしょうか?

「昼休みに短時間の昼寝を積極的にとってみましょう。多くの方が昼食後のタイミングで眠気を感じたことがあると思います。この時間帯には、生理的に覚醒度が低下することが分かっているので、このタイミングで行うと良いでしょう。

ただし、長時間の昼寝は夜間の睡眠の質の低下に繋がります。結果的にマイクロスリープを増やしてしまう危険性もありますよ。基本的には、10〜20分程度に留めるのがベター。

どうしても夜間に睡眠時間を確保できない場合は、もう少し長い昼寝で睡眠不足を補うことも必要ですよ」
栗山先生によると「睡眠を十分にとっているのにマイクロスリープを頻回に経験する場合は、睡眠・覚醒障害が隠れている場合があるので、専門医に相談してください」とのこと。

睡眠不足のサインとも言えるマイクロスリープ。思い当たる症状がある人は、自分の睡眠習慣と向き合ってみませんか?

(まつだあや+アリシー編集部)
まつだあや
まつだあや
鳥取産、九州在住のフリーライター。 ファッション、コスメ、アプリ、簡単レシピなど女子の「欲しくなる!」「やってみたい!」気持ちを刺激する記事を主に随筆中。 写真を撮るのが好きで、フィルム一眼も所持している。ライフワークは音楽を聴くこと。 この道に導いてくれた師匠がおり、弟子として恥ずかしくないライターになるを目標に活動中。
鳥取産、九州在住のフリーライター。 ファッション、コスメ、アプリ、簡単レシピなど女子の「欲しくなる!」「やってみたい!」気持ちを刺激する記事を主に随筆中。 写真を撮るのが好きで、フィルム一眼も所持している。ライフワークは音楽を聴くこと。 この道に導いてくれた師匠がおり、弟子として恥ずかしくないライターになるを目標に活動中。
女性向けに情報を発信するWebメディア「アリシー」は、2019年6月13日をもってサービスを終了しました。グルメやファッション、マンガ・エッセイなどアリシーの一部コンテンツは、姉妹サイト「ママテナ」に移管しております。引き続きお楽しみください。
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