ダイエットの大敵とも言われるストレス。ストレスがホルモンの分泌に影響を及ぼしていることはわかっているものの、肥満へと繋がる仕組みについてはあまり知られていません。ストレスと肥満の関係性や対処法について、かたやま内科クリニックの片山隆司院長に聞きました。
■ストレス=肥満に関係するとは言い切れない?
──ストレスと肥満の関係性について教えてください。
「まず前提として、全てのストレスが肥満に悪いとは言いきれません。大きくわけて、ストレスには急性と慢性があります。急性のストレスは、失恋や大事なプレゼンなどの単発的なできごとにより、大きな負担を感じた時に起こるもの。交感神経が活発に働くことにより、アドレナリンやストレスホルモンが過剰に出てしまい、胃酸の分泌が多くなってしまいます。この場合はむしろ、食欲が減退することが多いのです」
──緊張しすぎるあまり、食事を摂れなくなってしまう。自分にも身に覚えがあります。
「一方で、急性ストレスをよく感じやすい人は、反動として過食に走りやすい傾向にあります。特に女性が気をつけたいのは、『ナイト・イーティング・シンドローム(夜間大食症候群)』です。夜にドカ食いをしたせいで朝食を摂れなくなってしまい、夜にたくさん食べる食習慣へと変化した結果、体脂肪が蓄えられやすくなってしまいます。
もう一つは、“気晴らし食い”です。ストレスで負担のかかった胃の調子を整えようとして、なんとなくだらだら食べてしまった結果、トータルで高カロリーを摂取してしまう。これらが、急性のストレスによって起こり得る肥満につながる悪い食習慣です」
──慢性的なストレスとは、どういうものでしょうか?
「仕事の悩みや友人・家族関係など、持続的にかかる負担を指します。本来は、活動する昼間に交感神経が優位に働き、夜は副交感神経に切り替わって疲れた体を休めようとします。しかし、慢性的なストレスは、副交感神経を優位に刺激するのです。副交感神経にはエネルギーや体脂肪を蓄えようとする働きがあることから、慢性的なストレスが続くと体は体脂肪を蓄えやすくなると考えられます」
「まず前提として、全てのストレスが肥満に悪いとは言いきれません。大きくわけて、ストレスには急性と慢性があります。急性のストレスは、失恋や大事なプレゼンなどの単発的なできごとにより、大きな負担を感じた時に起こるもの。交感神経が活発に働くことにより、アドレナリンやストレスホルモンが過剰に出てしまい、胃酸の分泌が多くなってしまいます。この場合はむしろ、食欲が減退することが多いのです」
──緊張しすぎるあまり、食事を摂れなくなってしまう。自分にも身に覚えがあります。
「一方で、急性ストレスをよく感じやすい人は、反動として過食に走りやすい傾向にあります。特に女性が気をつけたいのは、『ナイト・イーティング・シンドローム(夜間大食症候群)』です。夜にドカ食いをしたせいで朝食を摂れなくなってしまい、夜にたくさん食べる食習慣へと変化した結果、体脂肪が蓄えられやすくなってしまいます。
もう一つは、“気晴らし食い”です。ストレスで負担のかかった胃の調子を整えようとして、なんとなくだらだら食べてしまった結果、トータルで高カロリーを摂取してしまう。これらが、急性のストレスによって起こり得る肥満につながる悪い食習慣です」
──慢性的なストレスとは、どういうものでしょうか?
「仕事の悩みや友人・家族関係など、持続的にかかる負担を指します。本来は、活動する昼間に交感神経が優位に働き、夜は副交感神経に切り替わって疲れた体を休めようとします。しかし、慢性的なストレスは、副交感神経を優位に刺激するのです。副交感神経にはエネルギーや体脂肪を蓄えようとする働きがあることから、慢性的なストレスが続くと体は体脂肪を蓄えやすくなると考えられます」
■“ストレスホルモン”の過剰分泌は体に悪影響を与える
──ストレスからくるホルモンへの影響が、どのように肥満につながるのでしょうか?
「慢性的なストレスは、グルカゴンという血糖値を上げるホルモンの分泌を活発にします。グルカゴンが多くなると、今度は反動でインスリンがたくさん分泌されて血糖値を下げようとします。これにより、体は『血糖値を下げてはいけない』と糖を欲するようになるのです。ストレスが溜まった時に甘いものを食べたくなるのは、このためです」
──“ストレスホルモン”と呼ばれるホルモンについて聞いたことがあります。
「コルチゾールのことですね。本来、体にとってなくてはならないホルモンではあるものの、過剰に分泌されることにより、食欲の面で色々と悪さをします。まず、食欲を増進させるグレリンというホルモンがストレスで刺激されることにより、コルチゾールが過剰になり、過食に陥りやすくなってしまいます。
もう一つは食欲を抑えるレプチンへの影響です。コルチゾールはレプチンの分泌や働きを抑えてしまうため、満腹感を感じにくくなってしまいます。その結果、“ダラダラ食い”につながってしまうのです」
──コルチゾールによる影響は、他にもあるのでしょうか?
「“幸福ホルモン”と呼ばれるセロトニンの働きを抑えてしまいます。ストレスの影響でもセロトニンには抑えられてしまいますが、コルチゾールによってさらに抑制されることにより、幸福感を得られにくくなってしまうのです。セロトニンを上げる手っ取り早い方法は糖質を摂ること。体が糖質を欲するようになり、過食に走ってしまいます」
──「ストレスに弱い人ほど太りやすい」というのは、本当なのでしょうか?
「“ストレスに弱い”というのは非常に難しい表現です。ストレスによる体への影響は気質や遺伝など様々な要因があるものの、近頃は環境的要因の方が強いと言われています。誰もがストレスにさらされている今、“ストレスを抱えこみやすいか、解消する術を持っているか”によって肥満への影響も変わると考えられます」
「慢性的なストレスは、グルカゴンという血糖値を上げるホルモンの分泌を活発にします。グルカゴンが多くなると、今度は反動でインスリンがたくさん分泌されて血糖値を下げようとします。これにより、体は『血糖値を下げてはいけない』と糖を欲するようになるのです。ストレスが溜まった時に甘いものを食べたくなるのは、このためです」
──“ストレスホルモン”と呼ばれるホルモンについて聞いたことがあります。
「コルチゾールのことですね。本来、体にとってなくてはならないホルモンではあるものの、過剰に分泌されることにより、食欲の面で色々と悪さをします。まず、食欲を増進させるグレリンというホルモンがストレスで刺激されることにより、コルチゾールが過剰になり、過食に陥りやすくなってしまいます。
もう一つは食欲を抑えるレプチンへの影響です。コルチゾールはレプチンの分泌や働きを抑えてしまうため、満腹感を感じにくくなってしまいます。その結果、“ダラダラ食い”につながってしまうのです」
──コルチゾールによる影響は、他にもあるのでしょうか?
「“幸福ホルモン”と呼ばれるセロトニンの働きを抑えてしまいます。ストレスの影響でもセロトニンには抑えられてしまいますが、コルチゾールによってさらに抑制されることにより、幸福感を得られにくくなってしまうのです。セロトニンを上げる手っ取り早い方法は糖質を摂ること。体が糖質を欲するようになり、過食に走ってしまいます」
──「ストレスに弱い人ほど太りやすい」というのは、本当なのでしょうか?
「“ストレスに弱い”というのは非常に難しい表現です。ストレスによる体への影響は気質や遺伝など様々な要因があるものの、近頃は環境的要因の方が強いと言われています。誰もがストレスにさらされている今、“ストレスを抱えこみやすいか、解消する術を持っているか”によって肥満への影響も変わると考えられます」
■“ニセの食欲”に対抗するには●分待つべし!
──ストレスを溜めすぎないために、日常的に取り組めることを教えてください。
「まずは体を動かすこと。日光を浴びるだけでも改善されるため、昼間は外に出る習慣をつけるといいでしょう。慢性的なストレスを抱える方の中には、オンとオフの切り替えができていない方も多いようです。よく『一駅手前で電車を降りて歩きましょう』と言われますが、これはただ体脂肪を燃やすだけでなく、気持ちを切り替えるためにも有効です」
──ストレスによる食欲に対して、できることはあるのでしょうか?
「“5分ルール”を推奨しています。食べたくなったら、メールをする、歯を磨くなど5分間別のことをしましょう。ストレスからくる “ニセの食欲”は5分以上続かないと言われています。最初は苦痛かもしれませんが、1週間ほど続けているうちに習慣化して“ニセの食欲”も湧かなくなりますよ」
「まずは体を動かすこと。日光を浴びるだけでも改善されるため、昼間は外に出る習慣をつけるといいでしょう。慢性的なストレスを抱える方の中には、オンとオフの切り替えができていない方も多いようです。よく『一駅手前で電車を降りて歩きましょう』と言われますが、これはただ体脂肪を燃やすだけでなく、気持ちを切り替えるためにも有効です」
──ストレスによる食欲に対して、できることはあるのでしょうか?
「“5分ルール”を推奨しています。食べたくなったら、メールをする、歯を磨くなど5分間別のことをしましょう。ストレスからくる “ニセの食欲”は5分以上続かないと言われています。最初は苦痛かもしれませんが、1週間ほど続けているうちに習慣化して“ニセの食欲”も湧かなくなりますよ」
ストレスと肥満には、ホルモンや自律神経など複合的な要因があることがわかりました。“5分ルール”や適度な運動のほか、自分なりの解消法を見つけてストレスとうまく付き合う術を身につけたいものです。
(畑菜穂子+アリシー編集部)
(畑菜穂子+アリシー編集部)
畑菜穂子
フリーライター。1児の母。スタイリッシュなものより、まぬけ要素があるものが好き。「嫌いまではいかないけど、好きでもない」日々のごはん作りを楽しむための方法を模索している。
フリーライター。1児の母。スタイリッシュなものより、まぬけ要素があるものが好き。「嫌いまではいかないけど、好きでもない」日々のごはん作りを楽しむための方法を模索している。
女性向けに情報を発信するWebメディア「アリシー」は、2019年6月13日をもってサービスを終了しました。グルメやファッション、マンガ・エッセイなどアリシーの一部コンテンツは、姉妹サイト「ママテナ」に移管しております。引き続きお楽しみください。
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医学博士。かたやま内科クリニック院長。専門は、糖尿病の患者教育と薬物療法・足病変についての研究や肥満の行動修正療法。肥満・糖尿病に関する書籍を多数監修。著作『あなただけのやせ方がある!オーダーメイドダイエット』(MCプレス)。