落語ってむずかしくないの? 初心者が落語カフェに行ってみた
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落語ってむずかしくないの? 初心者が落語カフェに行ってみた

古典がわからなくても大丈夫!
伝統芸能を楽しむって、ちょっぴり大人で粋な趣味ですよね。でも「内容は理解できるのか?」とか「チケット代が高そう」とか、ちょっと敷居が高いイメージがあるかも。そんな人にオススメしたいのが落語です。落語初心者の筆者が、実際に落語を聴きに行ってみました!

■知識がなくてもOK! 気になる噺(はなし)や噺家さんを見つけよう

まずは落語の楽しみ方について学ぶため、落語ライターの桜庭由紀子さんにお話を伺いました。

──落語とはどのような伝統芸能なのでしょうか?

「落語は江戸後期に確立した話芸で、高座(こうざ)で座布団に座り、『サゲ』と呼ばれる“落ち”がある噺をかけます。扇子や手ぬぐいを小道具に見立て、基本的に声色を変えることなく、口調や仕草のみで一人で何役も演じます」

──歴史や古典文学を知らなくても楽しめますか?

「落語は古典文学の知識がなくても大丈夫。口語なので言葉が理解できないことはないでしょうし、最近馴染みがなくなってきた言葉や慣習は『枕』という前振りで説明を入れてくれることが多いです。ただ、演目がわかっていれば、事前にあらすじを調べていくと、より楽しめるでしょう」

──初めて観に行く時は、どのように公演を決めれば良いでしょうか?

「まずは『テレビで見た』『噺家さんの顔が好き』など、きっかけは何でも良いと思います。漫画『落語心中』に出てきた演目が聴きたいと寄席にやってきた若い女性も見たことがありますよ。何度か通ううちに、『この噺が好き』『あの師匠の話し方が好き』など、自分の好みの傾向がわかってくるでしょう」

──ALICEY世代にオススメの演目を教えてください。

「紹介しきれないほどありますが、『紙入れ』『町内の若い衆』『お見立て』など、男と女のおかしさを描いた噺は、20~30代女子が共感するところも多いでしょう。落語の良いところは、登場人物の女性が大概男性よりたくましいこと。作中のセリフや所作も、恋愛の戦略の参考になること請け合いです(笑)」

■いざ、初めての落語会へ!

落語の楽しみ方を学び、いよいよ初めての落語会に向かいます。場所は桜庭さんにオススメしてもらった東京・神保町にある「らくごカフェ」。客席と噺家が上がる高座が近く、噺家の肉声で落語が聴けるそう。
落語関連の書籍やCD、DVDなどがずらりと並んだカフェで、夜はドリンクを片手に、気軽に落語が楽しめる実演スペースに早変わりします。
天井には小道具として使われる手ぬぐいがびっしり!
開場時間近くになると、続々とお客さんが入場して席が埋まっていきます。この日は平日の夜ということもあり、仕事帰りの20~30代の人の姿も多く見られました。らくごカフェの店長・青木さんは「当店は落語界では珍しく、若い女性のお客さんも多いんですよ」と教えてくれました。

■いよいよ開演です!

開演時間を過ぎると、会場に出囃子(でばやし)の音が鳴り響きます。この出囃子は噺家が高座に上がる時に流れるテーマ曲で、噺家一人ひとりで異なるのだそう。

この日の噺家は柳家わさびさん。
わさびさんは笑点の若手大喜利にも出演している、二つ目の噺家。二つ目とは3~5年の前座修行を終え、プロとして自分で仕事を取ることや落語会を開くことが許される身分の人を指します。

■羽織を脱いだら本題がスタート

落語は噺家が高座に上がると、噺に入る前に、まずは「枕」と呼ばれる前振りで会場を温めます。この日の枕は、わさびさんが観たテレビ番組に関するお話でしたよ。
噺家が羽織を脱いだら、「ここから本題が始まりますよ」の合図。枕の勢いや盛り上がりを止めることなく、あまりにも自然に羽織を脱いだので、「いつの間に脱いでいたの!?」と驚きました。
1本目は「秘伝書」という古典作品。「釜なくして米を炊く方法」「酒なくして酔える方法」など、人生を変える方法が書かれた秘伝の書をめぐる、学生と古本屋のやりとりなどをおもしろおかしく描きます。

わさびさんは正座をしたままその場から少しも動きませんが、表情や手の仕草、高座を叩く音などでシチュエーションの変化がわかります。お客さんたちが大きな声で思いっきり笑うので、わさびさんの声がかき消されそうになることも(笑)!

■3つのお題で噺を作る「三題噺」

一席目が終わり、一旦退場していたわさびさんが高座に戻ってくると、三題噺がスタート。三題噺とは、お客さんから寄せられた3つのお題を盛り込んで創作するオリジナル噺です。

今回のお題は「あじさいの花言葉はね……」「還付金」「最近あたらないんだけど」。前回のわさびさんの公演でお客さんから選ばれたお題だそうです。
一見すると何の関連もなさそうなワードを見事に回収しつつ、最後に納得できる「落ち(サゲ)」がしっかりと用意されているところに思わず感動!

■まずは気負わずに足を運んでみよう

最後は、古典落語の名作の一つと言われる「紺屋高尾」を披露。江戸を舞台にした紺屋職人と花魁との心温まるラブストーリーで、落語ファンなら誰もが知る有名な作品なんだとか。

「落語=年配の人の楽しみというイメージがあるかも知れませんが、若い人が多いと噺家たちもテンションが上がるんです(笑)。まずは気負わずに来てみてください!」と柳家わさびさん。
くるくると変わる噺家さんの表情や仕草、笑いがあふれる会場の雰囲気……皮肉なのに嫌味っぽく聞こえない洗練された笑いはクセになりそう。意外だったのは、おひとりさまもたくさんいたこと!

落語は思った以上に敷居が低く、親しみやすい伝統芸能なのかも。しかも2時間以上たっぷり楽しんで料金は1000~3000円前後! あなたも落語でひと笑いしてみませんか?


(五十嵐綾子+ノオト)
五十嵐綾子
五十嵐綾子
ALICEY世代ど真ん中のフリーランスライター・編集者。史学科出身&世界遺産検定1級の世界史系歴女でもあります。知らない世界に飛び込むことや新たな発見をすることが大好きなので、読者の皆さまの世界が広がる記事をお届けします! ※背景画像撮影:中里健太(@LENS_BLOG_)
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女性向けに情報を発信するWebメディア「アリシー」は、2019年6月13日をもってサービスを終了しました。グルメやファッション、マンガ・エッセイなどアリシーの一部コンテンツは、姉妹サイト「ママテナ」に移管しております。引き続きお楽しみください。
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