冬は、街でマスクをした人をたくさん見かけます。病気の予防として着ける人が多いですが、中には「顔を隠したい」「マスクをしていると落ち着く」という人もいるようです。なぜマスクで顔を覆ってしまうのか、心療内科・ベスリクリニックの田中遥先生にお話を伺いました。
■マスクは社会と自分を隔てる“壁”
──なぜ顔をマスクで隠してしまうのでしょうか?
「風邪予防や、保湿・すっぴん隠しなどの健康や美容目的以外で考えられる原因は、対人恐怖症や自己肯定感の低さです。マスクをすると表情がわからなくなり、何を考えているか判別しづらくなります。周囲に近寄りがたい印象を与えることで、他人と接することを拒絶できるのです。
また、マスクを着けるとその人が誰なのかわかりにくくなります。自分に自信がなく、周囲から見られたくないと思っている人も、マスクで自分の存在を消すことで、他人の視線を避けられるのです」
──顔が隠れると落ち着くのはなぜですか?
「マスクで顔が隠れると、自分と周囲の間に壁ができ、ある意味社会と隔絶されたことになります。自分だけの世界に閉じこもることができ、摩擦が起こりうる社会との関係性も薄れるので、落ち着けるのだと考えられます。
さらに、マスクをしていると周囲から見られる箇所が減る一方、自分は視野を確保し、周囲の様子を慎重に観察できます。外部からのストレスを受けずに周囲を見渡せることも安心できる要因の一つでしょう」
「風邪予防や、保湿・すっぴん隠しなどの健康や美容目的以外で考えられる原因は、対人恐怖症や自己肯定感の低さです。マスクをすると表情がわからなくなり、何を考えているか判別しづらくなります。周囲に近寄りがたい印象を与えることで、他人と接することを拒絶できるのです。
また、マスクを着けるとその人が誰なのかわかりにくくなります。自分に自信がなく、周囲から見られたくないと思っている人も、マスクで自分の存在を消すことで、他人の視線を避けられるのです」
──顔が隠れると落ち着くのはなぜですか?
「マスクで顔が隠れると、自分と周囲の間に壁ができ、ある意味社会と隔絶されたことになります。自分だけの世界に閉じこもることができ、摩擦が起こりうる社会との関係性も薄れるので、落ち着けるのだと考えられます。
さらに、マスクをしていると周囲から見られる箇所が減る一方、自分は視野を確保し、周囲の様子を慎重に観察できます。外部からのストレスを受けずに周囲を見渡せることも安心できる要因の一つでしょう」
■マスク依存者は増加中!? 女性は特になりやすい
──「マスク依存」の人は増えているのでしょうか?
「日本衛生材料工業連合会の調査によると、マスクの販売数はここ数年増加しています。これは花粉症や受験期の感染症対策など、マスクをする機会が増えているということですが、マスクの使用頻度が増えるにつれて、多くの人がマスクの『壁』としての効果を実感しているということでもあります。
感染予防効果だけでなく、対人関係の恐怖が軽減したように感じるという経験をすることで、マスク依存になる人が増えている可能性は高いです」
──「マスク依存」になりやすい人の特徴を教えてください。
「20代〜30代の女性が多いと思われます。自分に自信がなかったり、周囲と接することに恐怖を感じてしまったりする人の男女比率はほぼ同じなのですが、女性は美意識が高く、自分が周囲からどう見られているかという意識が強いです。自分に自信が持てず、社会とのつながりを拒否したいと考える女性はマスク依存になりやすいでしょう」
「日本衛生材料工業連合会の調査によると、マスクの販売数はここ数年増加しています。これは花粉症や受験期の感染症対策など、マスクをする機会が増えているということですが、マスクの使用頻度が増えるにつれて、多くの人がマスクの『壁』としての効果を実感しているということでもあります。
感染予防効果だけでなく、対人関係の恐怖が軽減したように感じるという経験をすることで、マスク依存になる人が増えている可能性は高いです」
──「マスク依存」になりやすい人の特徴を教えてください。
「20代〜30代の女性が多いと思われます。自分に自信がなかったり、周囲と接することに恐怖を感じてしまったりする人の男女比率はほぼ同じなのですが、女性は美意識が高く、自分が周囲からどう見られているかという意識が強いです。自分に自信が持てず、社会とのつながりを拒否したいと考える女性はマスク依存になりやすいでしょう」
■人前ではマスクをはずす配慮を 難しければ医師に相談しよう
──マスクに依存してしまうことは、良くないことなのでしょうか?
「生活する上で本人が困らなければ問題ないでしょう。ただ、風邪以外でマスクを常用していると、周囲の人を拒絶しているような印象を与えてしまい、社会的なコミュニケーションが取れなくなってしまうことが懸念されます。極端な例ですが、海外ではマスクをしていると『重症感染者だから近寄るな』というメッセージを伝えてしまうこともあります。人と会っている時、人前で話す時などは、マスクを取って話した方がコミュニケーションとしては適切でしょう」
──マスク依存を治すには、どうしたら良いですか?
「治療は薬を使う方法と使わない方法があります。薬に頼らず治すには、まず『暴露療法』が挙げられます。これは少しずつマスクをはずす機会を増やし、マスクなしの状態に慣れさせていくというものです。最初は特定の短い時間だけはずし、だんだんとはずす時間や頻度、場所を増やしていきます。時には、マスク依存者同士でお互いの印象を伝え合う、ということも行いますよ。
また、薬を希望される方には、抗不安薬や抗うつ薬などを処方します。これらは社会不安障害や強迫障害の治療に使うものと同じです」
マスクをしていること自体は悪いことではありませんが、人と接する場面では良くない印象を与えてしまうかも知れません。「マスクがないと外を出歩くのが辛い……」などと悩んでいる人は、医師に相談してみると良いでしょう。
(五十嵐綾子+ノオト)
「生活する上で本人が困らなければ問題ないでしょう。ただ、風邪以外でマスクを常用していると、周囲の人を拒絶しているような印象を与えてしまい、社会的なコミュニケーションが取れなくなってしまうことが懸念されます。極端な例ですが、海外ではマスクをしていると『重症感染者だから近寄るな』というメッセージを伝えてしまうこともあります。人と会っている時、人前で話す時などは、マスクを取って話した方がコミュニケーションとしては適切でしょう」
──マスク依存を治すには、どうしたら良いですか?
「治療は薬を使う方法と使わない方法があります。薬に頼らず治すには、まず『暴露療法』が挙げられます。これは少しずつマスクをはずす機会を増やし、マスクなしの状態に慣れさせていくというものです。最初は特定の短い時間だけはずし、だんだんとはずす時間や頻度、場所を増やしていきます。時には、マスク依存者同士でお互いの印象を伝え合う、ということも行いますよ。
また、薬を希望される方には、抗不安薬や抗うつ薬などを処方します。これらは社会不安障害や強迫障害の治療に使うものと同じです」
マスクをしていること自体は悪いことではありませんが、人と接する場面では良くない印象を与えてしまうかも知れません。「マスクがないと外を出歩くのが辛い……」などと悩んでいる人は、医師に相談してみると良いでしょう。
(五十嵐綾子+ノオト)
五十嵐綾子
ALICEY世代ど真ん中のフリーランスライター・編集者。史学科出身&世界遺産検定1級の世界史系歴女でもあります。知らない世界に飛び込むことや新たな発見をすることが大好きなので、読者の皆さまの世界が広がる記事をお届けします!
※背景画像撮影:中里健太(@LENS_BLOG_)
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※背景画像撮影:中里健太(@LENS_BLOG_)
女性向けに情報を発信するWebメディア「アリシー」は、2019年6月13日をもってサービスを終了しました。グルメやファッション、マンガ・エッセイなどアリシーの一部コンテンツは、姉妹サイト「ママテナ」に移管しております。引き続きお楽しみください。
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