腕だけなく腹筋にもダンベルが効く?
ダンベルといえば腕を鍛えるものと思われがちだが、腹筋を鍛える時にも実は有効らしい。
「ダンベルを使えば自重筋トレの負荷が高まり、狙った筋肉を刺激することに効果的です」そう教えてくれたのはパーソナルトレーナーの寺田真也さんだ。
自重筋トレとは、自分の体重を負荷にして行う筋トレのこと。特別な器具などが必要ないので、ジムに通う必要がなく自宅で始められるのがメリットだ。これにダンベルを取り入れれば、さらに筋トレを進化させることができるというのが、今回ご紹介する主題だ。
ダンベルはそこまで場所をとるものではないので、トレーニングを続けるなら必須アイテムとして持っていて損はないだろう。しかし、今現在持っていない場合はわざわざ買い必要はないという。
「ペットボトルで代用できます。むしろ初心者の方はペットボトルから始めていただき、筋肉の収縮・伸長を感じられるようになってからダンベルを使ったトレーニングに移行するのがよいのではないでしょうか」(寺田さん。以下同)
ダンベルを使った部位別腹筋筋トレ3選
腹直筋上部に効くトレーニング
<行い方>
1.床に寝そべり、ダンベルを両手で掴んで腕を上げる。肘が曲がらないようにまっすぐに伸ばす
2.足を上げて、膝を90度に曲げる。股関節も90度に曲げる
3.ダンベルをさらに真上に上げるイメージで上体を起こす
4.上体を下ろす
5.3・4を繰り返す
「腹直筋下部」に効くトレーニング
<行い方>
1.ベンチに腰掛け、ダンベルを膝にはさむ
2.ベンチの後ろをしっかりと両手で握り、両足を床から浮かせる
3.太ももを胸に近づけるイメージで上げていく
4.両足を伸ばす
5.3・4を繰り返す
<ポイント>
3の時、足の力ではなく、お腹の筋肉で足を引っ張り上げるイメージで行うと下腹部を鍛えるのに効果的
腹斜筋に効くトレーニング
<行い方>
1.床に座る。床から足が浮かないよう、おもり(ダンベル等)を使って固定する。
2.両膝を立てる。膝が開かないようにくっつけた状態を保つ
3.ダンベルを両手で持ち、上体を後方に倒す
4.上体を左右にひねる
<ここがポイント!>
・体をひねるトレーニングなので、足が浮かないようにおもりを使って固定する
・より負荷を感じたい場合は腕をまっすぐに伸ばして上体を左右にひねるとよい
ダンベルを使った腹筋トレーニングのポイント
正しい呼吸
トレーニングの効果は、正しい呼吸の上に成り立っていると言っても過言ではない。なぜそれほどまでに呼吸が重要かといえば、「腹腔内圧が高まり、体幹が固定されることで四肢が正常に動き、正しい筋肉が使えるから」だと寺田さんは言う。つまり、狙った筋肉を効かせるには正しい呼吸ができている前提が必要となる。
人間は息を吸う時、横隔膜と共に骨盤底筋が下がり、吐く時は反対に上がる。この時、上と下から横隔膜と骨盤底筋が蓋をすることになるので、腹腔内圧が高まる。これにより体幹が安定して姿勢を維持することができ、四肢は機能を果たすことができる。
しかし、横隔膜と骨盤底筋群の向きが違っていた場合、うまく蓋ができないので腹腔内圧は低下して体幹は不安定になり、それを補おうとして体のあちこちに余計な負担がかかる。人間は1日2万回呼吸をするというのだから、それが間違っていたとすれば体への負担は相当なものだということは察しがつくだろう。
「呼吸が乱れていると正しい姿勢が保てず、トレーニングを行っても結果的に狙った筋肉に効かないこともあります」
「リブフレア」に注意
呼吸が間違っていると腹筋を鍛えるのはより難しくなる。呼吸の乱れの原因として、「リブフレア」の可能性もあるという。
リブフレアとは、肋骨が開いてしまっている状態のこと。本来、息を吐くと腹横筋(腹筋の深くにある筋)が肋骨を引き下げるのだが、その腹横筋や内腹斜筋(肋骨に付いている腹筋の一つ)が働いていないのが原因だ。
「肋骨の角度は70°〜90°が正常。100°以上に開いていて肋骨が浮き上がって見える人は要注意。逆に60°と狭い人は猫背が疑われます」
さらに、通常息を吐くときに横隔膜が弛緩するのだが、リブフレアの状態だと、横隔膜が常に緊張していることになる。すると、呼吸が浅くなり、姿勢も歪んでしまう。
正しい姿勢でトレーニングを行わなければ狙った筋肉は鍛えられず、効果は半減するだけでなく、姿勢が歪むんで体に余計な負担がかかり怪我や不調のもととなる。さらには自律神経の乱れを引き起こすことすらあるというので注意が必要なのだ。
効かせたい筋肉を意識する
「MMC(mind muscle connection:マインドマッスルコネクション)という鍛えたい筋肉に意識を集中させることで、筋繊維が活性化するという説があります。あらゆるトレーニングにおいて有効でしょう」
ただ、その「意識する」ということが素人には難しい。そのためには、「鍛えたい筋の走行を理解することが大切」だと寺田さんは助言する。書籍はもちろん、インターネットで検索すれば筋肉の構造は簡単に知ることができる。筋肉は奥が深いので、調べ始めると面白くなるはずだ。トレーニングの理解が深まり、精度を高めることができるので是非おすすめしたい。
ダンベルを使って腹筋を効果的に鍛えよう
自宅ですぐに始められるダンベルを使った腹筋トレーニングをご紹介した。マンネリ化したいつものトレーニングに取れいれれば、バリエーションが増えてモチベーションも上がるはず。リゾート地で水着姿に自信のつく腹筋を目指そう。
Text by 武田尚子