筋トレは継続がなにより重要
やる気になって筋トレを始めても結局飽きてしまう、辛くて続かない、など挫折経験のあるトレーニーは少なくないのではないだろうか。
「でも、一瞬とはいえ運動したんだし、全くしないよりはマシじゃない?」と、忙しさを言い訳に怠惰な自分をやんわり肯定するトレーニーに、
「筋トレは、生活の一部として習慣化すべきです!」
と一刀両断するのは、過去記事でも数多くの種目を指導してくれたパーソナルトレーナーの重松祐介さん。
筋トレを3日程度したくらいでは筋力の増加にほぼ効果は感じられないし、トレーニングを中断すればたちまち元のカラダに戻る。継続しなければ向上どころか維持もできない。そういった筋肉の「見栄え」への影響だけではなく、重松さんは「健康」にとって筋トレがいかに重要か主張する。
「怪我をしてしまったから、太ったから、体力が低下したから……。こういった何か課題が起きたことをきっかけに運動の重要性に気づく人が多い。でも本来は、そういう問題が起こる前に予防するのが望ましい姿です。健康で健やかに暮らすためにも、是非運動を習慣として生活に取り入れていただきたいですね」
長寿化し、高齢社会である日本において、莫大な医療費は国の財政を圧迫することが予見される。寿命における、「健康寿命」を伸ばすことがナショナル・アジェダとして提唱されて久しい。日頃からの運動が、健康維持・増進にとって有益なのは言うまでもないだろう。
継続するにはモチベーションが必要
とはいえ、「トレーニングが体にいい」と頭ではわかっていても続けることができない……。どうしたらモチベーションを高め、継続に一歩近くのだろうか?
重松さんは、こうアドバイスする。
「まず、『トレーニング』という言葉が強制的な響きをもっていることが倦厭される一因では。『トレーニング』=つまらない、辛い、やらされている、といった言葉を想起される方も多いのではないでしょうか。実は、欧米では筋トレを『ワークアウト』と呼びます。これだと自発的な響きに感じられませんか?『健康のために、いい体づくりのために、自分の意志で進んでやっている』ととらえられるだけで、モチベーションが変わってくるはずです」
確かに、「人にやらされていること」よりも「自分で決めたこと」の方が前向きに取り組めるし、責任感も増す。
さらに重松さんは、「スクワットのようなハードなトレーニングでなくても、一駅歩くとか、階段を使ってカーフレイズをするとか、簡単にできることから始めればいいんです」と進言する。
だからといって、「日常生活の延長で筋肉を何かしら使っている状態」は、「簡単にできる運動」ではないと重松さんは注意する。
実は我々は、通勤のために歩いたり、営業中走ったり、荷物の上げ下ろしなど、無意識のうちに筋肉を使って過ごしている。それがなぜ、「簡単な運動」の代用にはならないのだろうか?
「意識せずに行う筋肉の動きって、いつも一緒なんです。なぜならば、人の行動パターンも、動作のクセも同じだから。例えば、右利きの人なら利き腕を使って物を書く、カバンを持つ、パソコンのキーボードを叩く、洗濯物を干す……。といったように、意識しなければ、筋肉をくまなく使うことはできない。だから、日常の筋肉を動かしている状態だけでは、運動というには足りないんです」
そればかりか、同じ筋肉ばかり使うことによって、筋や関節を消耗して慢性痛を招き、膝、腰の原因になったり、怪我を招いたりすることもあると言う。
また、鍛えたい筋肉を意識することでトレーニング効果が高まるというMMC(mind muscle connection:マインドマッスルコネクション)の影響を鑑みても、「ワークアウト」のための時間を取る方が、成果にもつながると言えそうだ。
筋トレのモチベーションアップのコツ
1.スケジュールに入力する
「『家でやる』『毎日筋トレをする』という曖昧な条件のもとでは強制力が弱く、自分を律することはなかなかできません。ワークアウトを1つのタスク化してスケジュールに組み込みましょう。友達と約束するように、いつ、どこで、ワークアウトするのか予定を固定することで、時間になったら『行かなきゃ!』と駆り立てられるはずです」
まずはスケジュールアプリに、「ワークアウト」と入力しよう。時間と場所を固定すれば、さらに習慣化されて継続しやすくなる。
2.パーソナルトレーナーにつく
時間と場所を決めても、人の出入りが激しく、特定のトレーナーもつかないフィットネスクラブでマシンを使うだけではいまひとつモチベーションが上がらない。誰かに見られているわけではないので、緊張感は低下するしサボっていてもバレない。
「相手が自分を待っていると思えば、多少気持ちが乗らない日でも休むわけにはいきません。だからこそ、パーソナルトレーナーにトレーニングを指導してもらうのは継続の大きな秘訣です」
パーソナルトレーナーに指導してもらうとなると、トレーニングの充実度も我流とは雲泥の差だ。自分のワークアウトの目的を共有すれば、その達成に向けてのプランを現状と照らし合わせてオーダーメイドで提案してくれる。体の変化や課題も把握してくれるので、相談がしやすい。
「プロのトレーナーなら、同じメニューであってもお客様によって指導の仕方を変えます。ストイックなお客様、楽しく優しく教えた方が響くお客様。お客様の目的、トレーニング歴、パーソナリティに合わせて個別指導を行えるので、満足度も高まると思います」
長くお付き合いできる相性の良いトレーナーと巡り会えれば、波及効果は筋トレの成果にとどまらず、精神面にも及ぶ。
「ワークアウトを通じていろんなお話をする中で、トレーニング以外のご相談を受けることがあります。ワークアウトの効果を高めるだけでなく、精神面でもお客様のサポートができれば」
良いパーソナルトレーナーとの出会いが、人生を変えることもある!
3.誰かと一緒にやる
パーソナルトレーナー同様に、「一人ならサボってしまうけど、誰かと一緒ならがんばれる作戦」の続編として、友人や配偶者、同僚など、「誰かと一緒にやる」のも継続のコツだと重松さんは話す。
「親子やご夫婦でいらっしゃるお客様もいらっしゃいますよ。一緒にワークアウトすることでお互い刺激を受けたり、良いコミュニケーションの時間になっているようです」
パーソナルトレーナーってなんだか敷居が高い、費用的にも心配……、という方はグループレッスンなら料金が割安なスタジオも多いし、同じくらいのレベルの仲間と一緒にレッスンを受ければ励みにもなり一石二鳥だ。
4.成功体験を積む
「一番の継続の秘訣は、『トレーニングをやっていてよかった』と、そのメリットを享受した経験」と重松さんは語る。
「トレーニングを継続されている方は、『体を鍛えることで体調がよくなって仕事の効率が上がった』『自信がもてた』といった、なんらかの成功体験を得て、筋トレの良さを実感している方が多い。やはり、一度ワークアウトの効果を享受する経験があると、運動しない理由が見当たらなくなるのだと思います」
いやはやごもっとも。卵が先か鶏が先かといった感はあるが、一度筋トレによって自分が変わったという体験をもてれば、そこから前と後ではワークアウトに対するイメージが大きく変わりそうだ。
今すぐパーソナルトレーナーに申し込むべし!
長かった冬も終わり、春の兆し。フットワークが軽くなる季節の到来とともに、「いつかはやる」を卒業し、とにかくパーソナルトレーナーに申し込んでみよう。今から始めれば、夏には思わず見せたくなる体に変化しているかも!?
Text by Naoko Takeda