肩の筋肉、三角筋後部まで鍛えられてる?
広くて美しい肩幅を手にいれるためには、三角筋の前部・中部・後部すべての部位をバランスよく鍛えることが必要だ。しかし、自己流で筋トレをしていると、自分の目で見える範囲の筋肉をついつい優先して鍛えていないだろうか。
「丸みをおびたきれいな分厚い肩を手にいれるためには、特に三角筋の後部を鍛えることが大切です。でも、体の後ろ側なので見えづらく、鍛えることを忘れてしまっている人が実は多いんです。」(寺田さん。以下同)
三角筋の3つの部位と役割
三角筋とは、肩を覆うようにしてついている上半身の中で最も大きな筋肉だ。広げると二等辺三角形になることが「三角筋」という名称の由来となっている。
「前述の通り、三角筋は前部(フロント)・中部(サイド)・後部(リア)の3つの部位にわかれています。ローテータカフ(回旋筋腱板)と機能しあいながら、それぞれの部位が、肩関節の各種運動において重要な役割を担っているんです。」
肩のほぼすべての動きに影響を及ぼしているという三角筋。以下、3つの部位の役割についてそれぞれご紹介しよう。
三角筋前部の役割
「三角筋前部の役割は、肩関節の屈曲と内旋です。」
屈曲とは脇に下ろした腕を前に上げていく動作のことで、日常生活でもよく使われる。また内旋は、垂直に下ろした腕の親指が外側から内側に向くように捻る動きのことをいう。
鎖骨外側端から上腕骨につながっている三角筋前部を鍛えると、正面や横から見た時の肩のシルエットが美しくなる。
三角筋中部の役割
「三角筋中部の役割は、肩関節の外転です。」
中部の役割はただ1つ、腕を垂直に下ろした位置から外側に向かってひらいていく動きだ。
肩峰から上腕骨につながっている三角筋中部は、肩幅を広げて逆三角形の上半身を作るために欠かせない筋肉といえる。
三角筋後部の役割
「三角筋後部の役割は、肩関節の伸展と外旋です。」
肩関節の伸展とは、腕を垂直に下ろした位置から後方に引くような動作のこと。また外旋は、前述の内旋と反対の外側に腕を回していく動きのことだ。
肩甲棘下縁から上腕骨につながっている三角筋後部が発達すると、肩の厚み・丸みを作り出してくれる。
三角筋後部の3つの特徴
三角筋は、各部位の役割からわかるようにそれぞれが異なる動きをするため、部位ごとに鍛え方や特徴も異なる。今回は、自己流のトレーニングでは疎かになりがちな「三角筋の後部」に着目し、その特徴を3つにまとめた。
特徴1:プッシュ系ではなくプル系のトレーニングが向いている
まず、上半身の筋トレの動作は大きく2つにわけられる。それは、「プッシュ系=押す動き」と「プル系=引く動き」だ。
「三角筋後部の役割である肩関節の伸展と外旋動作は、『プル系』です。そのため、例えば『プッシュ系』のトレーニングで三角筋前部を鍛えていると、拮抗筋(*)である三角筋後部の筋肉はゆるんだ状態になってしまいます。三角筋後部を鍛えるには、『プル系』のトレーニングを取り入れてください。」
*拮抗筋とは…筋肉運動の際に反対の動きをする筋肉のこと。
特徴2:後ろなので見えにくく、さぼってしまいがち
三角筋後部は、前部や中部と比べて鏡で見えないため意識しづらく見落とされやすい。
肩に丸みを出すためには三角筋後部を鍛えることが必須だが、「そのメリットがあまり理解されていないんです」と寺田さんは言う。
前側ばかり鍛えて、後ろ姿は貧弱というアンバランスな体型になったのではせっかくのトレーニングも台無しだ。どこから見ても完璧な上半身を手にいれるためには、三角筋後部を優先的に鍛えるくらいがよいだろう。
特徴3:三角筋後部は鍛えにくい
「三角筋後部を鍛えるトレーニング方法として後ほど紹介する『リアレイズ』『フェイスプル』は、自己流でやると肩甲骨が大きく動いてしまいがち」と寺田さんは指摘する。肩甲骨が動くと、僧帽筋や菱形筋などに負荷が逃げてしまい、三角筋後部に適切な負荷がかからない。自分でトレーニングする時は、肩甲骨を寄せず三角筋後部にしっかり負荷がかかっていることを意識しながらやってみよう。
三角筋後部を鍛えてみよう!
ここからは、三角筋後部を効果的に鍛えるためのトレーニング方法とコツを「自宅編」と「ジム編」の2つにわけて動画でご紹介しよう。
自宅で簡単に三角筋後部を鍛える!
まずは、通勤前や寝る前などすきま時間に、自宅で気軽に取り組める簡単な「リアレイズ」。ダンベルを使った単純な動作だが確実に三角筋後部を鍛えられるので、ぜひ覚えてほしい。
リアレイズの行い方とポイント
<リアレイズの行い方>
1、ダンベルを両手に持ち、上体を倒す
2、ダンベルを持ったまま、両腕を横にひらく
3、両腕を元に戻す
(2、3を繰り返す)
<トレーニング時のポイント>
・ダンベルが準備できない場合は、水の入ったペットボトルを使っても良い
・腕を出す位置が前や後ろになりすぎないよう、体の真横にひらくイメージで動かす
・肩甲骨がなるべく寄らないように注意。三角筋後部が動くことを意識して
・故障の原因となるので、腰は丸めない
<使用器具>
・ダンベル
ジムで本格的に三角筋後部を鍛える!
ジムのマシンを使って本格的に三角筋後部を鍛える場合は、「フェイスプル」がオススメ。マシンを使用するが、動きは簡単なのでぜひマスターしたい。
フェイスプルの行い方とポイント
<フェイスプルの行い方>
1、ケーブルにロープをつなぐ
2、ロープの先端を握る
3、片足を少し前に出し、スタンスを作る
4、肘を外に開きながら、ロープを自分の顔に近づくよう引っ張っていく
5、ゆっくりと肘を元に戻す
(4、5を繰り返す)
<トレーニング時のポイント>
・顔をロープに近づける際、肩甲骨が寄らないように三角筋の後部の筋肉を動かす
・肘の向きが真っ直ぐだったり内側に入ったりすると効果がないので、外側に開くことを意識する
<使用器具>
・ケーブルマシン
・ロープ
鍛えたい筋肉に意識を集中して効果UP!
三角筋後部を鍛えるためのトレーニングをご紹介したが、トレーニングの効果がさらにあがる方法があると寺田さんは言う。「マインドマッスルコネクション(MMC)といって、鍛える筋肉に意識を集中し、効いている感覚をつかむことで筋トレの質を高めることができるという説があります。」
とはいえ、筋トレ初心者は普段意識することの少ない三角筋後部の感覚はわかりづらいかもしれない。
「そんな時は、ぜひ一度プロのトレーナーに指導してもらってください。筋肉についてわかりやすく説明しながら、お客様一人ひとりに合ったメニューを提案します。」
三角筋後部を鍛えて、男らしい肩幅を手に入れよう!
360度どこから見ても完璧な広くて盛り上がった逞しい肩は、「包容力があって頼りになりそう」と女性からの高い評価はもちろん、「男らしくて羨ましい」と同性からも羨望の眼差しを得られるはずだ。また、スーツはもちろん、この夏のTシャツスタイルにも自信がもてるに違いない。自宅でもジムでも簡単に鍛えることができる「三角筋後部」のトレーニングをさっそく始めて、男らしい肩幅を手に入れよう。