刑務所を出た出所者らを受け入れる施設が、国の予算不足を理由に運営の危機に直面している。
今年6月には、立ち直りを重視する新たな刑罰「拘禁刑」が導入されたばかりだ。しかし、国が掲げる理念とは逆行する現状に、関係者からは「再犯して刑務所に戻ったほうがいいと思う人も出てくるかもしれない」との不安の声が上がっている。(弁護士ドットコムニュース・一宮俊介)
●「委託費を出せない」突然の知らせに困惑
刑務所などを出た後、再び事件を起こす人の多くは、帰る家や仕事がないという問題を抱えていることが珍しくない。
そうした人たちを一時的に受け入れ、宿泊・食事・就職支援などを提供するのが「更生保護施設」や「自立準備ホーム」だ。
これらの施設は、受け入れ人数に応じた国の委託費やボランティアの寄付で運営されており、滞在期間は原則6カ月までとされている。受刑者らの社会復帰や再犯防止に不可欠な役割を担っている。
ところが今、施設の主な収入源である委託費について、「予算が足りなくなり、1〜2カ月しか委託費を出せなくなった」という連絡が全国で相次いでいるという。
関東地方の自立準備ホームの関係者は、10月に「委託費は1カ月しか出せない」と知らされ、こう嘆く。
「自立準備ホームには、満期出所して帰る場所がないなど、より大変な人がくる。国は『息の長い支援を』と言っているのに、いきなり『お金を出せません』というのはひどすぎる」

●委託費、前年度から8900万円減少
法務省保護局は、弁護士ドットコムニュースの取材に対して、委託費の予算が足りなくなっている事実を認めたうえで、その原因を「予算の総額が減ったことが大きい」とした。
法務省によると、2024年度の委託費の当初予算は約53億9200万円だったが、2025年度の当初予算は8900万円の減額となったという。減額理由について法務省は次のように説明する。
「財務省からはっきりとした説明を受けたわけではないが、2023年度まで新型コロナの影響などで委託費が抑えられ、不要な額があったということで削られたのではないか」
また、今年度の補正予算での穴埋めの見通しも立っていないという。
一方、同省の担当者は「今年5月当初から厳しい状況にあると伝えていた。9〜10月になって急ブレーキを踏んだわけではない」と述べた。


