画面の向こうで、冷たくなっていく言葉
とある日の夕飯後。母はまた叔母と通話で口論しているようで、リビングの外から怒声が漏れ聞こえていた。不安がっているとメッセージが届いた。従姉妹の彩花だった。
「お母さんから介護費用の話聞いた。そっちの家計も大変なんだろうけど、もう少し検討してもらえない?」
「そっちだって仕事があるとはいえ、当初の介護当番できずにこっちが代わったりしてるんだしさ……。美咲からも由紀子さんに言ってくれない?」
一見すると穏やかな文面の中に、従姉妹の静かな憤りを私は感じていた。介護を巡る母と叔母の不和が、私と彩花の間にも冷たい影を落とそうとしていた。
あとがき:想いがすれ違う瞬間に、家族は試される
介護は、誰かの善意だけで続けられるものではありません。仕事、生活、心の余裕──それぞれの事情が絡み合う中で、誰かの「頑張り」が誰かの「不満」になる。母も叔母も、祖母を思う気持ちは同じだったのに、それを確かめ合う余裕すらなくなっていました。家族の“想いのずれ”が、人をどれだけ孤独にするのかを痛感するエピソードでした。
※このお話は、ママリに寄せられた体験談をもとに編集部が再構成しています。個人が特定されないよう、内容や表現を変更・編集しています。
記事作成: tenkyu_writing
(配信元: ママリ)

