
横浜流星が主演を務める大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」(毎週日曜夜8:00-8:45ほか、NHK総合ほか)の第41回「歌麿筆美人大首絵」が10月26日に放送された。かつて幼かった蔦重(横浜)を捨てた母・つよ(高岡早紀)。当時の本当の理由が明らかになった。(以下、ネタバレを含みます)
■数々の浮世絵師らを世に送り出した“江戸のメディア王”の波乱の生涯を描く
森下佳子氏が脚本を務める本作は、18世紀半ば、町民文化が花開き大都市へと発展した江戸を舞台に、“江戸のメディア王”にまで成り上がった“蔦重”こと蔦屋重三郎の波乱万丈の生涯を描く痛快エンターテイメントドラマ。
蔦重はその人生の中で喜多川歌麿、葛飾北斎、山東京伝、滝沢馬琴を見い出し、また日本史上最大の謎の一つといわれる“東洲斎写楽”を世に送り出すことになる。
美人画が大評判となる喜多川歌麿役で染谷将太、蔦重の妻・てい役で橋本愛らが出演。語りを綾瀬はるかが務める。
■蔦重の母・つよの心強い存在感
蔦重と同じ身上半減の処分を受けてしまった書物問屋の須原屋(里見浩太朗)。会いに来た蔦重に引退を告げ、「正しい世の中のためにいいことを知らせてやるっていう務めがある」という本屋としての思いと、「浮かれて、華やいだ江戸の町」を見たいという願いを託した。その思いを胸にとどめ、蔦重が歌麿の「婦人相学十躰」を売り出すという展開が描かれた第41回。
そんな中、大きな反響を呼んだのが、蔦重の母・つよだ。幼いころに両親と生き別れとなった蔦重は、吉原で引手茶屋を営む駿河屋(高橋克実)に育てられた。しかし、日本橋に店を構えた蔦重の元につよがやって来て、一緒に暮らすようになった。
蔦重の人たらしの才能は、この母から受け継いだものと分かる性格で、髪結いとして店を訪れる客の髪を無料で結いながら本の宣伝をするなど、商売も助けるつよ。
また、蔦重の周りの人々をさりげなく助けたり、その人の気持ちをすくい取ったりする優しさもある。その優しさが大きく向けられたのが歌麿だ。妻を亡くしたばかりの歌麿が仕事で栃木に行くときも寄り添った。
■歌麿にも向けられる、つよの母としての大きな愛
そんな歌麿に、蔦重の店の手代に新たになった、のちの戯作者・曲亭馬琴となる瑣吉(津田健次郎)が「おぬし、男色ではないのか」と無礼にも面と向かって言い放った。
歌麿は「俺はそもそも男か女かで人を分けたりしねえんだよ。俺は好きな人とそれ以外でわけてるもんでさ」と見事な切り返しをしたが、つよは歌麿の家に行って、あらためて瑣吉の無礼を詫びた。
歌麿の蔦重への繊細な思いに気付いているつよ。ポツリポツリとその思いを話すことができた歌麿は「聞いてもらえるってなあ、心が軽くなるもんだな」としみじみする。すると、「私、来るよ、もっと」とつよ。歌麿が忙しいだろうと気遣うと、「遠慮してんじゃないよ、おっかさんの前で」とぴしゃり。
歌麿は蔦重の義理の弟的存在。だから「あんたも、私の息子さ」と言い、歌麿は「…じゃあ、よろしく頼むよ、おっかさん」とほほ笑んだ。
歌麿の実の母は、歌麿のことを「鬼の子」と言い捨てた、いまでいう毒親だった。そんな歌麿がうれしそうに「おっかさん」と言えたことは感慨深かった。
■両親の真実を知った蔦重の「おっかさん」が胸を打つ
このあと、蔦重も初めてつよのことを「おっかさん」と呼ぶことに。これまで蔦重は「ばばあ」呼ばわりだったが、何があったのか。
ていの発案による書物が完成し、蔦重は尾張の書物問屋に交渉に向かうことに。旅の準備をする蔦重の髷を結い直してやるとつよ。蔦重はいつも髪結い床に行くため、これが初めてだ。
つよは、蔦重が父親と同じ頭の形だと言う。つよの夫婦仲に思うところがあったのか、蔦重は、かつて夫婦げんかをして、蔦重のことを互いに自分の子と認めずに置き去りにしたことが本当だったのかと問い掛けた。
つよは、口の堅い駿河屋が守り抜いた真実を話し始める。蔦重の父親は博打でたちの悪い相手から借金を作ってしまい、江戸から逃げることに。先行き不透明な暮らしを思うと蔦重を吉原で育ててもらったほうがいいのではないかと駿河屋に頼み込んだ。さらに万が一からも蔦重を守るため、自分たちが親だと言いたくないように、両親ともに色に狂って子捨てをしたことにしてもらったのだった。
その後、蔦重の幼名である「柯理(からまる)」と呼び掛けたつよ。強く生きざるを得なかったなかで、ここまでやってこれたことが立派だと褒めつつ、「たいていの人はそんなに強くもなれなくて、強がるんだ。口では平気だって言っても、実のところ平気じゃなくてね。そこんとこ、もうちょっと気付けて、ありがた~く思えるようになったら、もう一段、男っぷりも上がるってもんさ」と語った。
つよの親としての思いがこもった言葉。蔦重は、そんなつよに「行ってくらぁ」のあいさつのあとに、咳払いをしてあらためて「おっかさん」と続け、それを聞いたつよは「重三郎」と返した。これも今までにない呼び方だった。
視聴者からは「親子愛に泣いてしまう」「素敵な親子」「母の愛に涙」「なんという名シーン」「やっと心を通わせた母と息子の美しいシーンに号泣」などと反響が相次いだ。ただ、そんな名シーンを生んだつよだが、頭痛に悩まされる描写が何度もあり、「退場フラグ」かと心配の声も寄せられた。
◆文=ザテレビジョンドラマ部

