漏斗胸とは、胸のあたりの一部が陥没してしまう病気のことです。乳幼児期に陥没がみられることもあり、見た目の問題で精神的負担となることもあります。
また、陥没がひどい場合には、心肺機能に異常が見られることもあるため、注意が必要です。
そこで本記事は、漏斗胸がどのような病気なのかをご紹介します。
※この記事はメディカルドックにて『「漏斗胸」とはどのような病気かご存じですか?症状や原因など医師が解説!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
郷 正憲(徳島赤十字病院)
徳島赤十字病院勤務。著書は「看護師と研修医のための全身管理の本」。日本麻酔科学会専門医、日本救急医学会ICLSコースディレクター、JB-POT。
漏斗胸(ろうときょう)の予後と術後経過

漏斗胸(ろうときょう)は普段の生活に何か支障はありますか?
この病気は、先述したようなさまざまな症状が現れます。そのため、治療を行わずにいると生活への支障が出る可能性が高いです。特に心肺機能の低下などによって大きく影響するでしょう。また、手術後の生活にも支障が出ることがあります。特に中学生や高校生以上の方が手術を行った場合には学校生活や仕事の部分で支障が出やすいです。さらに、成人の場合のNuss手術では、肋軟骨が硬くなっていることから金属のバーを2本入れるケースもあります。その場合、入院期間が延長することもあるため、生活に支障が出る可能性があるでしょう。
手術後に運動制限はありますか?
手術後の運動制限はあります。Nuss手術を行った場合、手術後3ヶ月は運動が制限されるのです。そのため、これを理由に生活に支障が出る可能性は高いです。また、先述したような金属のバーを2本入れる手術の場合、手術後の入院期間の延長が考えられるため運動の制限も長引くケースがあります。
最後に、読者へメッセージをお願いします。
漏斗胸は、幼児期から発見されることもある病気です。胸の陥没という見た目で発見できますが、症状の度合いによっては発見が遅れたり、診断で確定されないケースもあります。そのため、あらかじめ主な症状や治療法などを知っておくことが大切です。しかし、陥没した胸を大きく改善する治療法は、現状手術しかありません。そのため、手術による後遺症や運動制限などのこともしっかりと把握しておきましょう。万が一、お子様に胸の陥没といった違和感を覚えた場合には、専門の医療機関を受診しましょう。
編集部まとめ

漏斗胸は、決して珍しい病気ではありません。
しかし、はっきりとした原因は未だ分かっておらず、陥没した胸を治す方法も手術が最も有効とされています。
胸の陥没の度合いが軽度であれば必ずしも手術が必要なわけではありませんが、重症となると心肺機能の低下などを起こすため、手術も視野に入ってくるでしょう。
症状・生活への支障・手術後の後遺症などをあらかじめしっかりと把握しておき、万が一お子様などに違和感を覚えた場合には、専門の医療機関を受診しましょう。
参考文献
漏斗胸とは(川崎医科大学小児外科学教室)
漏斗胸とは(香川大学医学部附属病院)
マルファン症候群センター(東大病院)

