強膜炎とは、眼球を強固にする役割を持つ強膜が炎症を起こし、目が充血したり強い痛みが生じたりする病気です。
症例はそれほど多くありませんが、他の目の炎症に比べて症状が強く出る傾向があります。
特に目の痛みは日常生活に支障が出るほど悩まされるケースが多く、最悪の場合は失明する可能性もあるため、早めに病院を受診し治療することが大切です。
今回は、強膜炎の予後について詳しく解説します。
※この記事はメディカルドックにて『「強膜炎」を発症すると現れる初期症状・原因はご存知ですか?医師が監修!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
郷 正憲(徳島赤十字病院)
徳島赤十字病院勤務。著書は「看護師と研修医のための全身管理の本」。日本麻酔科学会専門医、日本救急医学会ICLSコースディレクター、JB-POT。
強膜炎の予後

再発することもあるのでしょうか?
強膜炎が再発するケースは珍しくありません。治療が遅れると重症化するリスクも高いため、早期に治療を開始することが非常に大切です。特に壊死性強膜炎に至った場合、症状の進行が早かったり手術が必要になったりと、治療に猶予がなくなる可能性が高まります。一旦症状が治まったからと自己判断で通院を止めるのではなく、必ず医師と相談しながら再発のリスクに備えてください。
死亡率を教えてください。
壊死性強膜炎に至った患者のうち基礎疾患で全身性血管炎がある場合、最大50%の人が10年以内に死亡するといわれています。その大半は心筋梗塞が直接の死因になりますが、強膜炎が関連している死亡例といえます。なお、強膜炎のみの発症で死に至るケースはほとんどみられません。検査で合併症の有無を早期発見することが非常に重要になります。
最後に、読者へメッセージをお願いします。
強膜炎が発症するケースはあまり多くはないものの、一度発症すると再発するケースも多い厄介な病気です。また壊死性強膜炎になると穿孔によって失明するリスクがあるため、早期に治療を開始することが非常に大切です。失明までには至らなくても、数年以内に視力が低下するケースが多くみられています。そして何より目に強い痛みが出るため、様子を見ているのは身体的にも精神的にも大きな負荷がかかるでしょう。
病院ではステロイドを使用して痛みを緩和させると同時に、検査によって可能な限り原因を調べ、一人一人に適した治療を行います。目に痛みがあったり充血したりといった症状が出た場合はぜひ早めに病院を受診し、医師と相談しながら治療を続けてください。
編集部まとめ

強膜炎は失明する可能性もある危険な病気ですが、早期に治療を開始することでリスクは回避できる可能性が高いです。
目に痛みが出た場合は我慢せず、できるだけ早く病院を受診しましょう。上強膜炎であれば自然治癒する可能性もありますが、自己判断するのはほぼ不可能です。
医師のアドバイスを受けながら、治療方針に沿って通院を続けることが再発予防に繋がります。
大切な視力を失わないためにも、早めの行動と継続的な治療を心がけましょう。
参考文献
強膜炎・上強膜炎(池袋サンシャイン通り眼科診療所)

