厚生労働省が実施した国民生活基礎調査(2019年)有訴者率(病気やけが等で自覚症状を持つ者の割合)によると、腰痛は男性では第1位、女性では肩こりに次ぐ第2位でした。
しかし、一言で腰痛といっても様々で、部位・疾患によって治療法・リハビリ内容も変わってきます。
仙腸関節痛というのは聞きなれない病名かもしれませんが腰痛の一種であり、あなたが今抱えている痛みは、もしかするとそれに分類されるかもしれません。
こちらでは仙腸関節痛のリハビリの内容についてもご紹介致します。
※この記事はメディカルドックにて『「仙腸関節痛」になると現れる症状・原因はご存知ですか?医師が監修!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
郷 正憲(徳島赤十字病院)
徳島赤十字病院勤務。著書は「看護師と研修医のための全身管理の本」。日本麻酔科学会専門医、日本救急医学会ICLSコースディレクター、JB-POT。
仙腸関節痛のリハビリ

仙腸関節痛のリハビリについて教えてください。
仙腸関節痛のリハビリには、ストレッチ・筋力強化・屈伸を取り入れた体操等がありますので、いくつか内容をご紹介します。腰から臀部を伸ばす:仰向けで片膝を抱え、ゆっくりと自分の胸に近づける。反対側の足の膝は床に押し付ける。さらに、抱えた片膝を反対へひねることで臀部の筋肉を伸ばす。
太もも(前面)を伸ばす:横向きで踵を臀部につけるようにゆっくりと膝を曲げる。腰を反らないように注意する。
太もも(後面)を伸ばす:立った状態で片足を膝の高さほどの段差や椅子に乗せてて膝を曲げ、乗せていない側の太もも後面を伸ばす。股関節のストレッチにもなる。
他にも足首の曲げ伸ばし(底背屈運動)・膝の屈伸運動・壁を使ったスクワット・つま先立ち・骨盤周囲や腰背部を中心とした筋力強化訓練等、患者さんの状態に応じて医師・理学療法士等でそのメニューを決めます。
仙腸関節痛と診断された場合にやってはいけないことはありますか?
仙腸関節痛と診断された場合、その原因として考えられることは避けなければなりません。中腰での作業・長時間椅子に座ること・重たい物を持つこと・急な動作等は更に痛みを増強させるのでやめましょう。また、自己流のストレッチ等ではなく、必ず医師や理学療法士等の専門家の指導の下で運動療法を行うようにしてください。
最後に、読者へメッセージをお願いします。
仙腸関節痛は妊娠や出産を経験した女性に多いイメージでしたが、老若男女問わず、誰でもなりうる身近なものであることがお分かりいただけたと思います。しかし、たかが腰痛だと軽く考えてしまうと、悪化や長期治療が必要となってしまうことがあります。その原因や治療法を知って、悪化・慢性化しないように気を付けることが重要です。痛みは我慢するものではありません。早めに専門医を受診して、快適な生活を取り戻しましょう。
編集部まとめ

仙腸関節痛について詳しくまとめました。仙腸関節痛を引き起こしてしまう原因をしっかり知っておくことで、発症を防ぐことも十分にできます。
日常生活における動作の1つ1つをもう一度見直して、痛みの原因を取り除いていきましょう。
また症状が出た場合は、どこにでもある腰痛だと放置せずに早めに受診し、早期診断・適切な治療を受けて慢性化・難治化しないようにしましょう。
参考文献
Ⅲ 世帯員の健康状況(厚生労働省)
仙腸関節障害(せんちょうかんせつしょうがい)(日本仙腸関節研究会)

