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いまや多くの人が日常的にキャッシュレス決済を利用しています。コンビニでもスーパーでも、スマホをかざすだけで支払いが完結し、クレジットカードや電子マネーをメインに使う人も増えました。小銭を持ち歩く機会が減り、「財布を持ち歩かなくなった」という人も少なくないでしょう。
しかし、災害が起きると、その便利さは一変します。普段は頼りきっているキャッシュレス決済が、いざというときにはまったく役に立たない場面に直面するかもしれません。
キャッシュレスが使えない非常時に気づいたこと
2019年の令和元年房総半島台風で被災した際、私の住む地域では長時間にわたる停電が発生しました。昼間でも電気がつかず、夜は真っ暗。そんな状況の中で、近隣のお店がようやく営業を再開してくれましたが、レジのシステムは動かず、支払いは「現金のみ」。普段はキャッシュレス派の私も、このときばかりは財布に残っていた現金に助けられました。もし現金がなかったら、必要な食料や飲み物を手に入れることすらできなかったかもしれません……。
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停電や通信障害が発生すると、電子マネーやクレジットカードは利用できません。ATMも停止してしまうため、銀行から現金を引き出すこともできなくなります。災害時には自動販売機も動かないケースが多く、キャッシュレスではどうにもならない現実に直面します。便利さに慣れきっている人ほど、「いざという時にお金が使えない」という事態に陥りやすいのです。
どのくらいの現金を備えておくべき?
では、実際にどのくらいの現金を用意しておくのがよいのでしょうか。災害時にはライフラインや物流の復旧に時間がかかります。水や食料、日用品を購入する必要が出てくることを考えると、最低でも1週間程度は手元の現金でやりくりできるよう備えるのが現実的です。
目安としては、1世帯あたり2万円程度が安心です。大きな買い物をするためではなく、日々の生活を回すための現金と考えると、このくらいの額がちょうどよいと感じます。さらに重要なのは、すべてを一箇所にまとめるのではなく、複数の場所に分散しておくことです。自宅の防災バッグ、普段持ち歩くポーチや財布、そして車の中。どこで被災しても取り出せるように備えておけば、いざという時の安心感が違います。
