妊娠が安定期に入り、おなかが大きくなったゆきえは、ついにえみこに妊娠を伝えます。えみこは祝福の言葉一つもかけず、不安をあおるような言葉をかけてきて…。
おなかが目立つ時期になった
結婚式から数か月が経ち、私の妊娠は順調に進みました。安定期に入ったことをきっかけに、職場のメンバーには意を決して妊娠を伝えることに。
えみこ以外のメンバーは「もしかして…と思ってたよ!」「体調優先でね!」などとても温かい言葉をかけてくれました。幸いつわりは軽く仕事を続けてくることができましたが、もしも何かあったら休んでねと言ってくれたことで心は軽くなりました。
そんな中、えみこは薄ら笑いを浮かべてこちらをちらっと見るだけで、業務の手を止めてくれもしませんでした。まるで、私の妊娠報告なんて仕事の邪魔だから聞きたくないとでも言うように。
ついに直接マタハラを受ける
その後、職場全体の食事会があって、えみこと席が隣になってしまいました。ビクビクしながらえみこの隣に座ると、えみこはなぜかとてもにこやかに話しかけてきました。
「ゆきえさん、お疲れ様!」
「え、えみこさんも…」
こんなににこやかなことはあまりない。なぜだろう…と怖ささえ感じました。
「ねえ、妊娠中だと座りっぱなしも大変なんでしょう?デスクワークは大丈夫なの?」
えみこが体調の心配をしてくるなんてびっくりしましたが、答えない理由もないので回答します。
「あ、はい。まだそんなにおなかも出てきていないし大丈夫ですよ」
そう答えると、えみこの目の奥がにぶく光ったように感じ、背筋がヒュッと冷える感じがしました。えみこはにこやかな表情のまま、食事会のために集まった周囲の同僚に声をかけます。
「あの~、高齢出産って何歳からだっけー?」
大きな声で尋ねながらわざとらしく、少し首を傾げています。
「え、た、たしか35歳からじゃないですか?」
近くに座った男性の同僚がそう答えました。彼の奥さんは昨年出産したばかりです。
すると、えみこは私の顔をまじまじと見て、こう言います。
「ゆきえさんは、今何歳ー?」
「…35歳ですけど」
するとえみこの顔がパッと明るくなります。
「そっかー、じゃあ高齢出産だ!大変だよね~」
えみこは私の年齢をずいぶん前から知っているはずです。この場で聞いたのは、まさにつるし上げのようなことだと思いました。極めつけは、まるで脅すような一言です。
「2人目を急がないとね?1人で終わらせる気がないのなら」
この人になぜそんなことを言われなきゃいけないのでしょう。わたしはイライラが止まりませんでした。

