主人公と離婚後、元夫が泥酔して不倫のことを暴露したことで、不倫相手はインフルエンサーとしての地位を失い、元夫も左遷されることに。どん底を乗り越えたゆうかは、娘との穏やかな生活を送るのでした。
生活が一変した彼ら
離婚して数か月が経ち、新しい生活にもすっかり慣れたころ、私は日下部さんから、ある驚きの話を聞くことになった。
「ゆうかさん、実はこの前、基樹が飲み会で泥酔したらしくて…」
日下部さんは、少し言い淀みながら話を切り出した。基樹は離婚で解放された気持ちになったのか、社内の飲み会の席で、舞子との関係を洗いざらい話してしまったというのだ。その場に居合わせた社員の中に舞子の“アンチ”がいたらしく、その内容を舞子のSNSに書き込んだという。匿名だったが、その内容は舞子を軽蔑し、糾弾するような趣旨だったようだ。
「それがきっかけで、舞子のSNSが大炎上したんです。これまで築き上げてきたインフルエンサーとしての地位はなくなったでしょうね」
あろうことか、元夫が図らずして舞子を制裁したのだ。これで舞子のインフルエンサーとしての道が断たれた。その言葉に、私の胸の奥に燻っていたわだかまりが、少しずつ溶けていくのを感じた。彼女は何も失わないと思っていたけれど、承認欲求が強い彼女にとって、手軽に称賛を浴びることができたSNSに居場所がなくなるのはとんでもないダメージだったようだ。
その後も舞子は基樹と交際しているものの、精神的にもかなり病んでいるという。
彼らのその後には同情しない
そして、基樹自身も、この騒動で会社から降格処分を受け、さらには遠方への左遷を言い渡されたそうだ。
「基樹は、養育費の分も必死に働かないといけなくなって、かなり大変みたいですよ」
基樹が養育費を払えないなら立て替えるだなんて言っていた舞子も「踏み倒したら訴えてもいい」と言ったのを、後悔しているかもしれない。
彼らの生活は一変してしまったようだが、私も穂希も、もう彼らとは何の関わりもない。彼らの不幸を願っていたわけではないけれど、どこか溜飲が下がる思いがしたのも事実だ。

