平祐奈と丸山隆平がW主演を務める新感覚刑事ドラマ「FOGDOG」(毎週月曜深夜1:29-2:09、読売テレビ／TVer、Leminoほかにて配信)の第9話が、9月15日に放送された。未解決事件の捜査に当たる狗飼錐(平)と猿渡響(丸山)が、周囲の仲間と捜査を繰り広げた。(以下、ネタバレを含みます)
■欠落を武器に変える“バディもの”刑事ドラマ
本作は、相貌失認(そうぼうしつにん)を抱える休職中の警察官と破天荒な先輩刑事が、未解決事件の“霧”を晴らす完全オリジナルのサスペンス。気鋭の制作スタジオBABEL LABELの澤口明宏とナカモトユウ、そして「絶メシロード season2」(2022年、テレビ東京系)などの名倉良祐の3人が監督となり、バディものの刑事ドラマならではの軽妙な掛け合いをアップデートする。
狗飼錐(平)は、“人の顔を識別できない”相貌失認を抱える23歳で、現在休職中の警察官。もう1人の主人公・猿渡響(丸山)は、捜査一課で抜群の検挙率を誇るも、度重なる暴力行為から左遷されてしまった“昭和の熱血刑事”。世の中とうまくなじめない凸凹コンビだが、錐の驚異的な記憶力と、猿渡の型破りな行動力で難事件に立ち向かう。
■“父の手帳”奪還によって明らかになる高橋克典“鬼頭”の正体
療養を続けていた錐（平）は、初回で猿渡（丸山）とすれ違った「親子連れ」が“カッパ男”だったと確信する。猿渡に再捜査を直訴するも拒まれてしまった錐は、牛尾健司（梶原善）と豹頭敦史（八村倫太郎）を呼び戻し、解体された〈みかん部屋〉のかつてのメンバーで秘密作戦を決行する。標的は鬼頭康臣（高橋克典）の執務室にある、亡父・狗飼十四郎（山口馬木也）の手帳。牛尾が鬼頭を動かし、錐と豹頭が潜入し、錠前の数字「9279」を突破して手帳の奪還に成功する。
十四郎の手帳や鬼頭の捜査ノートの中身から、鬼頭が真犯人でないと確信した錐は、鬼頭にそのことを告げる。鬼頭は「人員が割けぬ中、十四郎の遺志を一人で追っていた」と告白。錐まで危険な目に合わせてしまったことから、みかん部屋の解体も決意したのだという。手帳と記憶を突き合わせた錐は、“自分が相貌失認である事実を犯人が前から知っていた”“未報道の失踪情報を握っていた”という二点から「犯人は谷中署の内部者＝警察官」と推理する。捜査を進めるなか、生活安全課の横河（波岡一喜）という男が錐に接近するところで、今回の幕は下ろされた。
■ 再集結メンバーのなかに見当たらない丸山”猿渡”という存在
“父の手帳”奪還作戦を結構する旧〈みかん部屋〉のメンバーが呼吸を合わせるなか、かえって際立ったのが猿渡の不在だ。牛尾と豹頭、そして錐が息を合わせるたび、そこに“もう一人”の声量や勢いが足りないことを視聴者ははっきり自覚する。再集結のワクワク感と、画面の片隅に残る違和感の同居が今回のカギだった。
また、鬼頭（高橋）のかつての姿も興味深い。殉職した狗飼十四郎（山口馬木也）とチームを組んでいた頃の鬼頭は、今の冷静沈着な管理職の顔とは別に、現場へ前のめりで飛び込む熱を持った人間だった。その像は、どこか猿渡を彷彿とさせる。十四郎を思う鬼頭の吐露が、錐には“父の相棒”の温度として届き、視聴者には“今ここにいない猿渡”の輪郭を浮かび上がらせる。不在を主役に据えるような演出が、過去と現在、喪失と再起を一本の線で結んでいた。
■畳みかけるように展開するストーリーに「手に汗」「鬼頭が味方？」の声
SNSでは“父の手帳”を巡る潜入劇のテンポに沸騰。「手に汗」「早く錐ちゃん助けて！」とクライマックスへ向けてボルテージが上がる一方、鬼頭の言動から「実は優しい一面が見えた」「敵か味方か揺れる」と受け取る投稿も目立った。離ればなれだった面々が再び“仕事”で呼吸を合わせる姿に、「旧みかん部屋の再集結が胸熱」といった感想が並んだ。いよいよ最終回へ向けた“追い視聴”ムードも加速し、「9話で一気に加速、来週が待てない」「変装＆潜入パートがクセになる」と、余韻と期待を両立させる声がタイムラインを占めていた。
◆文＝ザテレビジョンドラマ部
