
映画好きで知られるお笑い芸人・加藤浩次と映画ライターのよしひろまさみちが、毎週おすすめ作品を紹介する「とよしひろのサンデーシネマ」(日曜午前10:30〜9:00、BS10)。9月21日(日)の放送では、1995年に公開されたパンデミックスリラー「アウトブレイク」が特集される。
■パンデミックの教訓として「定期的に見続けるべき映画」
本作はエボラ出血熱を題材にしたノンフィクション作品「ホットゾーン」を映画化。当初はリドリー・スコット監督、主演ロバート・レッドフォード、共演ジョディ・フォスターという豪華な顔ぶれで企画されていたが頓挫し、プロットのみをワーナー・ブラザースが引き継いで誕生したという経緯がある。当初の企画には、改めて加藤も「すごいメンツだな」と驚きを見せていた。
作中に登場する「モターバウイルス」は架空の存在であるが、ウイルスの写真は実際のエボラ出血熱のものが用いられている。しかし血清合成には数カ月かかる、投与後すぐに効果を発揮するといった科学的には誤解を招く描写が多く、公開当時は学者からの指摘が相次いだという。また2011年に公開された映画「コンテイジョン」と比較されることも多く、“詰めの甘さ”が目立つ作品でもあったようだ。
そんな評価を受けつつも、2020年のコロナ禍には配信ランキングで4位に急浮上。よしひろは「コロナ禍で多くの人が“パンデミック”というワードを検索した。その結果、本作品に触れる視聴者が爆発的に増えたのではないか」と分析した。
本作品のラストシーンは当初、街ごと爆破して壊滅させるバッドエンドが予定されていたという。ところがテスト上映で大不評を買ったことで、“救済シナリオ”へと修正されたのだとか。よしひろが「最後がバッドエンディングだったら、ここまでヒットしていなかったと思う」と評論すると、加藤も「映画としては万々歳じゃないですか」と肯定的に語る。
コロナ禍を経た今、本作品で描かれている世界は決して他人事ではなく、リアルに起こり得るテーマであると多くの人が痛感しているはずだ。加藤も「この作品は、定期的に見続けるべき映画だと思います」と総括。パンデミックへの危機感、対応のミスに対する緊張感を記憶する意味でも、重要な作品といえるだろう。
■「アウトブレイク」あらすじ
米国陸軍伝染病医学研究所のチーム・リーダー、サム・ダニエルズ大佐が指揮官フォード准将の命令で、アフリカのモタバ川流域にある小さな村に派遣された。そこであるウイルスに冒された住民たちの悲惨な死を目のあたりにしたサムは、モタバ・ウイルスと名付けられたこのウイルスの研究とアメリカ本土での感染蔓延の危険性を進言する。その直後、カリフォルニア州のとある町で、住民たちの間に伝染病が発生し…。


