「インフルエンザの初期症状」はご存知ですか?セルフチェック法も解説!【医師監修】

「インフルエンザの初期症状」はご存知ですか?セルフチェック法も解説!【医師監修】

毎年のように流行するインフルエンザは、発熱や咳など風邪に似た症状を示すため、「ただの風邪かもしれない」と判断することがあります。しかし、インフルエンザは短い潜伏期間を経て急に高熱や強い全身のだるさが出るのが特徴で、重症化すると合併症につながる可能性もあります。特に高齢の方や小さなお子さん、持病のある方、妊娠中の方は重症化しやすい傾向です。

この記事では、インフルエンザの初期症状やセルフチェックのポイントや風邪との違い、検査や治療の流れ、受診すべきタイミングを解説します。

居倉 宏樹

監修医師:
居倉 宏樹(医師)

浜松医科大学卒業。初期研修を終了後に呼吸器内科を専攻し関東の急性期病院で臨床経験を積み上げる。現在は地域の2次救急指定総合病院で呼吸器専門医、総合内科専門医・指導医として勤務。感染症や気管支喘息、COPD、睡眠時無呼吸症候群をはじめとする呼吸器疾患全般を専門としながら一般内科疾患の診療に取り組み、正しい医療に関する発信にも力を入れる。診療科目
は呼吸器内科、アレルギー、感染症、一般内科。日本呼吸器学会 呼吸器専門医、日本内科学会認定内科医、日本内科学会 総合内科専門医・指導医、肺がんCT検診認定医師。

インフルエンザの初期症状チェック

インフルエンザの初期症状チェック

インフルエンザに感染してから発症するまでにどの程度の期間がかかりますか?

インフルエンザは、ウイルスに感染してからすぐに症状が出るわけではありません。身体のなかでウイルスが増え続ける時間が必要であり、その潜伏期間は通常1〜3日程度とされています。

風邪の場合は、のどの違和感や鼻水などが出始めて、数日かけて少しずつ咳や熱などの症状が現れることが多くみられるのに対し、インフルエンザは短い潜伏期間を経て急激に症状が現れるのが特徴です。例えば、朝まで普段どおりに生活していた方が、夕方から高熱を突然発症することも珍しくありません。

参照:『インフルエンザ施設内感染予防の手引き』(厚生労働省)

インフルエンザの初期症状にはどのようなものがありますか?

インフルエンザの発症時に、多くみられるのは 38〜39度あるいはそれ以上の高熱です。加えて、強い寒気(悪寒)、全身のだるさ、頭痛、関節痛や筋肉痛といった全身症状が現れます。また、これらの症状と同時かあるいは少し遅れて、鼻汁、のどの痛み(咽頭痛)、咳などの呼吸器症状が現れることもあります。

さらに、小児では発熱に伴いけいれんを起こすことや、中耳炎や気管支炎などの合併症を併発することがあります。一方で高齢の方では、肺炎を合併して重症化することも少なくありません。年齢や身体の状態によって症状が異なる点も、インフルエンザの特徴といえます。

参照:『インフルエンザ施設内感染予防の手引き』(厚生労働省)

インフルエンザのセルフチェック方法を教えてください

自宅で風邪とインフルエンザの違いを正確に区別することは難しいですが、いくつかの視点が判断の目安です。例えば、インフルエンザの流行期に38度以上の高熱や、強い頭痛、筋肉痛、全身のだるさを同時に感じる場合は、インフルエンザを疑いましょう。

また、学校や職場など身近な場所でインフルエンザが流行しているかどうかも重要な判断材料です。これらの条件が重なっている場合は自己判断をせず、できるだけ早く医療機関を受診することが推奨されています。

インフルエンザと風邪やほかの感染症などとの違いと検査

インフルエンザと風邪やほかの感染症などとの違いと検査

インフルエンザと風邪やほかの感染症の初期症状は異なりますか?

インフルエンザも風邪も発熱や咳、のどの痛み(咽頭痛)などの症状がみられるため、区別がつきにくいことがあります。しかし、症状の現れ方にはいくつかの違いがあります。

風邪はのどの違和感や鼻水から始まり、体温が少しずつ上がっていく傾向があります。それに対してインフルエンザは38度以上の急な高熱が特徴で、それに伴い身体の痛みや強い倦怠感が現れやすいのが特徴です。また、感染力も高いため、同じ時期に周囲で複数の方が発症している場合には、インフルエンザを疑う必要があります。

さらに、以下のようにインフルエンザや風邪と似た症状を起こす感染症もあります。

感染症 主な初期症状

新型コロナウイルス感染症 発熱、咳、のどの痛み、味覚障害、嗅覚障害

RSウイルス感染症 発熱、鼻水、咳、ゼーゼーする呼吸

医療機関におけるインフルエンザの検査・診断方法を教えてください

医療機関では症状や周囲でのインフルエンザ流行の状況などを聞き取ったうえで、インフルエンザの可能性があると判断された場合には、迅速診断キットを用いた検査がよく行われます。

この検査では、鼻やのどの粘膜を綿棒でぬぐって調べ、15分程度で結果が出るのが一般的です。ただし、発症直後はウイルス量が少ないため、検査の正確性が低くなることもあります。なお、発症早期に行う検査では偽陰性となる可能性があり、発症から24時間たたない間の検査では感度が下がります。重症や合併症が疑われる場合など、早期に診断が必要な場合は、PCR検査などの精密検査が行われることもあります。

検査の目的は、診断を確定することだけではありません。治療を始めるかどうかを判断するための材料にもなります。ただし、陰性と出てもインフルエンザを完全に否定できるわけではないため、症状が強い場合には結果に関わらず医師の判断で治療を進めることもあります。

症状が出てから時間が経過していないから検査できないと自己判断して受診を遅らせず、症状がある場合は速やかに医療機関を受診しましょう。

参照:『新型インフルエンザ 診療ガイドライン(第1版)』(一般社団法人日本感染症学会)

インフルエンザの検査キットは市販されていますか?

近年では、薬局やドラッグストアなどで購入できるインフルエンザのセルフ検査キットも登場しています。抗原検査キットには医療用、一般用医薬品(OTC)、研究用の3種類があります。
このうち研究用キットは検査性能が公的に保証されていないため、誤った判定につながるおそれがあります。したがって、研究用の検査キットを使用するのは避けましょう。

また、市販の検査キットは医療機関で行う検査に比べて精度が劣る場合があります。特に発症から間もない時期は、陰性でも実際には感染していることがあるため、インフルエンザを完全に否定することはできません。

そのため、検査結果が陰性だからといって自己判断せずに、強い症状が認められる場合や持病のある方は、医療機関を受診して専門的な診断と治療を受けることが推奨されます。市販の検査キットは、あくまで補助的な手段として参考にする程度にとどめるのが適切です。

配信元: Medical DOC

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