卵巣がんを発症するとおりものにどのような特徴が現れる?メディカルドック監修医が臭いや色の特徴・卵巣がんの初期症状などを解説します。気になる症状がある場合は迷わず病院を受診してください。

監修医師:
阿部 一也(医師)
医師、日本産科婦人科学会専門医。東京慈恵会医科大学卒業。都内総合病院産婦人科医長として妊婦健診はもちろん、分娩の対応や新生児の対応、切迫流早産の管理などにも従事。婦人科では子宮筋腫、卵巣嚢腫、内膜症、骨盤内感染症などの良性疾患から、子宮癌や卵巣癌の手術や化学療法(抗癌剤治療)も行っている。PMS(月経前症候群)や更年期障害などのホルモン系の診療なども幅広く診療している。
「卵巣がん」とは?
卵巣がんは、卵巣に発生する悪性腫瘍の総称です。日本では婦人科がんの中でも死亡率が高いとされ、特に早期発見が難しいことが課題とされています。
進行すると、腹部周りのサイズが大きくなる、お腹にしこりをふれる、食欲がなくなるなどの症状が現れることがあります。しかし、初期には自覚症状がほとんどないため、健診や婦人科受診の機会が少ないと見逃されやすい病気です。
近年は、卵巣がんのリスク要因として、家族歴、遺伝子変異(BRCA1/2)、未経産、排卵回数の多さなどが知られています。
今回の記事では、卵巣がんを発症した場合に、おりものにどのような変化が現れるのかについて解説します。
卵巣がんを発症するとおりものはどんな臭いがする?
卵巣がんそのものによって、おりものが独特の臭いを生じることは少ないと考えられます。最も一般的な上皮性卵巣がんでは、腟分泌物、つまりおりものや出血はほとんど見られません。しかし、胚細胞がんや間質性がんというタイプの卵巣がんでは、おりものの変化や出血がみられることがあります。
腐った肉のような臭い
がん細胞が急速に増えると、酸素不足となり一部の細胞が壊死する場合があります。壊死した組織に細菌などが感染し、悪臭のあるおりものがでる可能性があります。
壊死し、細菌などへの感染が進行すると、例えば「腐った肉」のような臭いとも表現されることがあります。
不快な臭い
卵巣がんが進行し、壊死し感染を伴っている場合、おりものが増え、強く不快な臭いを生じる可能性もあります。
鉄錆のような臭い
性器からの不正出血があると、おりものにも血が混じることも想定されます。すると、血の臭い、すなわち鉄錆のような臭いとして感じられることもあるでしょう。

