卵巣がんを発症するとおりものの色はどんな変化が現れる?
正常なおりものは、通常は乳白色あるいはサラサラとした透明な液体です。しかし、卵巣がんによって、以下のような色になる可能性があります。おりものの変化があり、長く続くような場合は注意が必要です。特に閉経後の女性で、不正性器出血や茶色のおりものが出る場合は、放置せずに婦人科を受診しましょう。
白色
卵巣がんが進行し、壊死した組織に細菌などが感染している場合、白く濃厚なおりものが出る場合も考えられます。
ピンク色
卵巣がんから出血があり、おりものに混じると、ピンク色として現れるケースもあるでしょう。ごく少量でも繰り返し出る場合や、閉経後に出血がみられる場合は注意が必要です。ホルモンバランスの変化による出血と区別がつきにくいため、一度婦人科で検査を受けると安心です。出血の時期や量をメモしておくと診断の助けになります。
茶色
出血してから時間が経つと、血液中の鉄分が酸化して茶色〜黒っぽく見えることがあります。月経の終わりかけにもみられる現象ですが、月経周期と関係なく続く場合は、腫瘍性の出血が疑われます。特に閉経後や、下腹部の張り、体重減少を伴う場合は卵巣がんのサインである可能性もあるため、早めに医療機関を受診しましょう。
卵巣がん以外でおりものに変化が生じる原因
おりものに変化が現れる原因としては、卵巣がんだけでなく、炎症や感染、ホルモンの変動などさまざまな要因があります。以下に代表的なものを紹介します。
細菌性腟炎
細菌性腟炎は、腟内の常在菌であるデーデルライン桿菌が減少し、代わりに嫌気性菌が増えることで発症します。
おりものは灰色がかった薄い色で、魚が腐ったような独特の臭いを伴うのが特徴です。かゆみや強い痛みは少ないものの、不快感や性交痛を伴うことがあります。抗菌薬による治療が必要になる場合が多いため、症状が続く際は婦人科を受診することが望ましいです。
放置すると骨盤内感染に進展するリスクもあるため、早めの受診が推奨されます。
トリコモナス腟炎
トリコモナス原虫という寄生虫の感染によって起こります。性交渉でうつる性感染症の一つで、鮮やかな黄緑色のおりものが増え、泡立つような性状や強い悪臭を示すのが特徴です。30〜40代に多く、外陰部のかゆみや灼熱感も伴います。
診断には顕微鏡検査や培養検査が行われ、抗原虫薬による治療が基本です。そのほか、クラミジアや淋菌感染などが原因になることもあります。
放置すると慢性化し、不妊の原因となる可能性もあるため、早期の治療が重要です。配偶者やパートナーも同時に治療を受けることが推奨されます。
月経前、妊娠中などの生理的な変化
必ずしも病気によらず、ホルモンバランスの変化でおりものが増えたり、性状が変わったりすることもあります。
排卵期には透明で粘りのあるおりものが増え、精子が子宮に到達しやすくなるよう調整されています。妊娠中もエストロゲンの増加によりおりものが増えるのが一般的です。これらは生理的な現象であり、臭いや色に異常がなければ問題ありません。ただし、血が混ざる、悪臭が続く、かゆみを伴う場合は感染やがんの可能性も否定できないため、婦人科で確認することが安心です。

