卵巣がんの前兆となる初期症状
卵巣がんは、症状が現れる前に病気が進行する可能性が高い病気です。そのため、早期発見が困難なケースも多いです。以下のような症状は、卵巣がんに関連している可能性があるため、放置せずに婦人科などの医療機関を受診するようにしましょう。
腹痛
下腹部の鈍い痛みや張り感が続くことがあります。
月経痛や胃腸障害と区別がつきにくいため、見逃されやすい点に注意が必要です。
市販薬で一時的に症状が緩和することもありますが、原因不明の腹痛が長く続く場合は早めの受診をおすすめします。
腹部が膨張し硬くなる
卵巣がんと診断される前の症状として、お腹が持続的に膨らみ、硬く膨張するような症状が現れることもあります。
また、卵巣がんが進行すると腹水がたまり、お腹が急に膨らんで硬さを感じることがあります。
体重は減っているのに腹部だけが張ってくる場合は要注意です。短期間での腹部膨満感は消化器疾患(特に肝硬変などの肝疾患)との鑑別が必要であり、消化器内科、あるいは婦人科受診が勧められます。
腹部のしこり
自分で触れてしこりに気づくことがあります。特に片側の卵巣に限局した腫瘍の場合、数cm以上に大きくなると触診で確認できることもあります。
6cm以上になり、放置すると腫瘍の破裂や捻転による緊急手術が必要になるケースもあるため、違和感があれば早急に受診しましょう。
腟からの出血がみられる
卵巣がんでは頻度は高くないものの、不正出血や血の混じったおりものが出ることがあります。特に閉経後の出血は子宮がんや卵巣がんの可能性があり、放置は禁物です。
軽度の出血でも繰り返す場合は早めに婦人科を受診しましょう。
排尿回数の変化
腫瘍や腹水が膀胱を圧迫すると、頻尿や排尿困難が起こります。膀胱炎と誤解されやすい症状ですが、抗菌薬を使っても改善しない場合は精密検査が行われます。
「卵巣がんとおりもの」についてよくある質問
ここまで卵巣がんとおりものなどを紹介しました。ここでは「卵巣がんとおりもの」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。
卵巣がんの手遅れとなる症状について教えてください。
阿部 一也 医師
卵巣がんは、早期の段階の場合、5年生存率は90%程度です。一方、脳や骨などの遠隔臓器に転移があるような段階では20%程度となります。
卵巣がんの完治が難しいケースとしては、がんがかなり進行している、あるいは再発した場合などがあると考えられます。そのような場合、例えば腹水の貯留によりお腹が大きく膨れる、強い腹痛が持続する、呼吸困難が出る、体重減少や全身の衰弱が顕著になるといった症状が現れます。この段階では治療が難しくなることも多いため、日常的な体調変化の段階で受診することがとても重要です。

