物忘れと「認知症」の決定的な違いをご存知ですか? 早期発見のために知っておきたい兆候とは?

物忘れと「認知症」の決定的な違いをご存知ですか? 早期発見のために知っておきたい兆候とは?

認知症は誰にでも起こり得る疾患であり、早期の段階で予兆を捉えることが適切な対応につながります。初期段階では症状が軽微なため見過ごされがちですが、日常生活における微細な変化や言語機能の変化に注意を払うことで、早期発見が可能です。ここでは、認知症の初期に現れる具体的な予兆について、日常生活で見られる変化と言語機能に関する変化の2つの観点から詳しく解説します。

伊藤 たえ

監修医師:
伊藤 たえ(医師)

浜松医科大学医学部卒業。浜松医科大学医学部附属病院初期研修。東京都の総合病院脳神経外科、菅原脳神経外科クリニックなどを経て赤坂パークビル脳神経外科菅原クリニック東京脳ドックの院長に就任。日本脳神経外科学会専門医、日本脳卒中学会専門医、日本脳ドック学会認定医。

認知症の初期予兆を見逃さないために

認知症の予兆を早期に発見することは、適切な治療や生活の質の維持において重要です。多くの場合、認知症の初期段階では症状が軽微で見過ごされがちですが、注意深く観察することで早期発見につながる兆候を捉えることができます。

日常生活で現れる微細な変化

認知症の初期予兆として、まず注目すべきは日常生活における微細な変化です。これまで問題なく行えていた家事や仕事の手順を忘れる、慣れ親しんだ場所で道に迷う、物の置き場所を忘れて探し回るといった行動が見られます。
特に顕著なのは、新しい情報を覚えることが困難になることです。人の名前や約束事を覚えられない、同じことを何度も聞き返す、直近の出来事を思い出せないといった記憶に関する問題が現れます。これらの症状は単なる加齢による物忘れとは明らかに異なり、日常生活に支障をきたす程度まで進行している点が特徴的です。
また、判断力や計画性の低下も重要な予兆として挙げられます。これまで適切に管理できていた家計や投資について判断を誤る、料理の段取りが悪くなる、時間の管理ができなくなるといった変化が観察されます。これらの症状は徐々に進行するため、周囲の方が気づくまでに時間がかかることも少なくありません。

言語機能に関する早期の変化

認知症の予兆として、言語機能の変化も重要な指標となります。適切な言葉が思い浮かばない、会話の途中で何を話していたか忘れてしまう、複雑な内容を理解することが困難になるといった症状が現れます。
特に注意すべきは、語彙力の低下や表現力の変化です。これまで豊富な語彙を使って流暢に話していた方が、簡単な言葉しか使わなくなる、同じ表現を繰り返し使うようになる、抽象的な概念を説明することが困難になるといった変化が見られます。
また、文章の理解力や書字能力の低下も予兆として重要です。新聞や本を読む際の理解度が低下する、手紙やメールの文章が以前より稚拙になる、漢字を思い出せなくなるといった症状が徐々に現れます。これらの変化は、脳の言語中枢の機能低下を示唆する重要なサインです。

まとめ

認知症は誰にでも起こり得る疾患ですが、予兆の早期発見、適切な予防策の実践、そして理解に基づく対応により、その影響を軽減することが可能です。記憶や言語、行動の変化に注意を払い、運動や栄養、社会参加を通じた予防に取り組むことが重要です。また、認知症の方の言語パターンや表現を理解し、共感的なコミュニケーションを心がけることで、よりよい生活の質を維持できるでしょう。

参考文献

厚生労働省 – 認知症施策

国立長寿医療研究センター – 認知症情報ポータル

日本神経学会 認知症疾患診療ガイドライン2017

配信元: Medical DOC

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