感情の起伏が激しくなったら危険信号! 「認知症」の行動変化を医師が解説

感情の起伏が激しくなったら危険信号! 「認知症」の行動変化を医師が解説

認知症の予兆は記憶や言語機能だけでなく、性格や行動面にもさまざまな形で現れます。これまで温厚だった方が感情のコントロールが困難になったり、社会的な交流を避けるようになったりするなど、性格や感情の変化が顕著に見られることがあります。また、地域活動への参加を避けたり、金銭管理における判断力が低下したりするなど、社会的行動の変化も重要な予兆となります。これらの行動変化を理解することで、より早期の発見と適切な対応が可能になります。

伊藤 たえ

監修医師:
伊藤 たえ(医師)

浜松医科大学医学部卒業。浜松医科大学医学部附属病院初期研修。東京都の総合病院脳神経外科、菅原脳神経外科クリニックなどを経て赤坂パークビル脳神経外科菅原クリニック東京脳ドックの院長に就任。日本脳神経外科学会専門医、日本脳卒中学会専門医、日本脳ドック学会認定医。

行動面に現れる認知症の予兆

認知症の予兆は記憶や言語機能だけでなく、行動面にもさまざまな形で現れます。これらの行動変化を理解することで、より早期の発見と適切な対応につながります。

性格や感情の変化

認知症の初期段階では、性格や感情面での変化が顕著に現れることがあります。これまで温厚だった方が怒りっぽくなる、社交的だった方が人との接触を避けるようになる、楽観的だった方が悲観的になるといった変化が見られます。
特に注意すべきは、感情のコントロールが困難になることです。些細なことで激怒する、突然泣き出す、感情の起伏が激しくなるといった症状が現れます。これらの変化は、脳の前頭葉機能の低下によるもので、認知症の進行を示す重要な指標となります。
また、不安感や抑うつ症状の増加も重要な予兆です。将来に対する漠然とした不安を訴える、これまで楽しんでいた活動に興味を示さなくなる、意欲や活力の低下が見られるといった変化が観察されます。これらの症状は、認知機能の低下に伴う二次的な影響として現れることが多く、早期の介入が重要となります。

社会的行動の変化

認知症の予兆として、社会的な行動にも変化が現れます。これまで積極的に参加していた地域活動や趣味の集まりに参加しなくなる、友人との交流を避けるようになる、家族との会話が減るといった社会的引きこもりの傾向が見られます。
また、社会的なルールや常識の理解が困難になることもあります。公共の場での適切な行動がとれなくなる、他者への配慮が欠如する、場の空気を読むことができなくなるといった変化が現れます。これらの症状は、社会認知機能の低下を示すものであり、認知症の進行度を評価する重要な指標となります。
さらに、金銭管理や契約行為における判断力の低下も重要な予兆です。詐欺被害に遭いやすくなる、不必要な買い物を繰り返す、金銭感覚が狂うといった問題が生じることがあります。これらの変化は、認知症の方やご家族にとって深刻な問題となる可能性があるため、早期の発見と対策が重要です。

まとめ

認知症は誰にでも起こり得る疾患ですが、予兆の早期発見、適切な予防策の実践、そして理解に基づく対応により、その影響を軽減することが可能です。記憶や言語、行動の変化に注意を払い、運動や栄養、社会参加を通じた予防に取り組むことが重要です。また、認知症の方の言語パターンや表現を理解し、共感的なコミュニケーションを心がけることで、よりよい生活の質を維持できるでしょう。

参考文献

厚生労働省 – 認知症施策

国立長寿医療研究センター – 認知症情報ポータル

日本神経学会 認知症疾患診療ガイドライン2017

配信元: Medical DOC

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